社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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社員の所持品検査、メールチェックの是非


2008年7月31日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今日の1分セミナーは

「社員の所持品検査、メールチェックの是非」をお伝えします。


ある会社で就業規則の作成をしている際、こんな質問がありました。

「社員の所持品検査をしてもいいのでしょか?」


この会社は、引越し専門の運送会社です。

この業界では、たまに顧客の荷物の盗難があるそうです。

そのトラブル防止のため、社員の所持品検査の項目を

就業規則に加えたいとのことです。


所持品検査というと特殊に聞こえます。

しかし、【社員のメールチェック】も【全く同じ考え方】になります。

社員のメールチェックの是非はよく質問される事項です。

さあ、これはどう考えればいいのでしょうか。

 

これは労働基準法で明確な線引きはありません。

しかし、参考にな判例があります。


これはある引越し専門の運送会社での出来事です。

そこの社員が引越し業務を終えて帰社すると、

守衛室に呼ばれました。


そして、「台所に置いておいた財布が無くなったので調べて欲しい」

とクレームがあったとのことです。


ちなみに、この会社の就業規則には次の記載がありました。

「守衛が必要と認めたときは、社員はその所持品検査を拒めない」


そして、守衛室にはその社員の上司もいました。

ポケットの中身を全部出すように言われ、身体チェックもされました。

業務で使用したトラックの荷台や運転席もチェックされました。

 

その後、財布はお客様宅で発見されました。

そして上司は

「後味の悪い思いをさせた。この件は胸の内にしまってくれ」

と話してきました。


しかし、この社員は納得がいかないので、会社を名誉毀損などで訴えました。

そして、会社が負けました。


裁判所は

○ 所持品検査が適法に行われるには、就業規則で根拠が必要

○ 社員に対して、平等に実施する

ということを根拠にしました。


この会社の場合は

○ 検査の【根拠】が規定されていない

→ 検査すること【は】規定されている


○ この会社の就業規則の所持品検査は趣旨が違っていた

→ 危険物の持ち込み禁止を前提としていた

→ 古い就業規則にはありがち


ということで、違法と判断されました。

 

さらに、この裁判では所持品検査に関し、

次の要件が必要という判断になりました。

(1)検査が必要な合理的理由

(2)検査の方法の妥当性

(3)合理的理由に基づき、社員に平等に実施

(4)就業規則等の根拠


これらの要件が無いのに、検査をすることは違法です。

また、この問題は社員の人権に関わるので、慎重に判断すべきです。


しかし、盗難防止、危険物持込禁止などのためであれば、

所持品検査を規定するこも重要です。


このバランスが崩れた就業規則では、大変なことになるのです。

 

それから、実際の検査のルールも重要です。

具体的には

○ 毎日、検査を実施する

○ 理由があるときに抜き打ちに実施する

等のルールも決めておいて、社員に知らせておくことがポイントです。


これらのルールは

○ 現金を扱う会社

○ 携帯可能な物品を扱う会社

などには必要でしょう。

 

私は冒頭のご質問にこう答えました。

すると、「規定さえ作れば、即解決ではないという事がわかりました」

とお話されていました。


この問題は

○ 人権の問題

○ 会社と社員の信頼関係

○ お客様への信用

などの様々な問題が絡みあっています。


規定化する場合のポイントは

○ 具体的場面を想像して明文化する

○ 検査の運用方法も規定する

ということです。

 

皆さんの会社ではいかがですか?

所持品検査は特殊だとしても、

○ 私用のメールチェック

○ 私用のインターネットの閲覧履歴

は多くの会社でチェックできるようになっています。


実際にチェックしていなくても、

いつでもチェックできる設定になっている会社もあります。

もちろん、社員の方は知らないこともあるのでしょうが・・・。

 

本来であれば、こんなチェックはしない方がいいのです。

しかし、業務のリスク回避に必要なこともあります。


もし、皆さんがこれを就業規則に入れるなら、

慎重に判断して改定して下さいね。

人権問題は後で大きな大きな問題になりますから・・・。

 

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