社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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社員がミスをした時の損害賠償は?


2008年8月14日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今日の1分セミナーは

「社員がミスをした時の損害賠償は?」をお伝えします。

 

先日、ある運送会社の社長から質問を頂きました。

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社員が居眠り運転で接触事故を起こしました。

そして、会社のトラックと積んだ荷物が壊れてしまいました。

被害額は数百万円です。

この場合は、社員に損害賠償をしてもらえるのでしょうか?
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さあ、これはどうなるのでしょうか。

 

社員への損害賠償は、労働基準法で次のように決められています。

○ 損害賠償の額を事前に設定してはならない

○ 違約金を支払う約束をしても無効


具体例を挙げると、

○ 遅刻、無断欠勤したら、罰金○○円を払う

○ 不注意により不良品を出したら損害賠償として○○円を負担する

というような場合は【無効】となります。


労働基準法でこのように決めているのは、こんな理由からです。

○ 単なるミスに対して、

  予め決められた損害賠償を負うことは社員にとって不利


○ 社員が損害賠償を負う = 金銭的な拘束

  それが給与天引きという形になれば、一定の労働期間の拘束を受ける

この2つの理由が大きいのです。

 

ここでポイントとなるのは、

「予め損害賠償の額を設定してはならない」ということです。


だから、損害賠償【そのもの】を禁止していないのです。

実際に、損害賠償を請求するケースもあるのです。

しかし、社員に全額を負担させることはできません。

なぜなら、原因の一部が会社にも【必ず】あるからです。


例えば、

○ 過重労働だった

○ 社員のミス防止に十分な予防、配慮をしていたか

○ ミスが起きた場合、被害を最小限に抑えるを対策をしたか

などの【会社側の理由】があるのです。

 

一般的に、業務上の交通事故は、

社員に過失があれば、2割程度の損害賠償額です。

これは裁判の結果も同様です。


しかし、飲酒運転などの悪質な場合は違います。

7割程度の負担を社員に命じた判例もあります。


以下、具体的な過去の事例です。

○ 飲酒運転で死傷事故、積載物も破損(1971年、大阪地裁)

→ 社員負担70%

→ 会社管理のずさんさも問われた


○ 宝石の入ったかばんを置いて作業し、盗難(1994年、東京地裁)

→ 社員負担50%


○ 安全運転を怠りスリップ、トンネルに衝突(2001年大阪地裁)

 → 社員負担5%

 → 会社の安全指導に問題ありと指摘された


このようになっています。

 

冒頭のご質問の事故の場合、連日の深夜勤務が続いていました。

だから、会社の管理や安全教育にも問題があります。

裁判等になれば、会社の責任が大きく問われるでしょう。

結果、数%の損害賠償が妥当と考えられます。


ということは、会社の被害額が数百万円でも、

社員の負担額は数万円~数十万円になるのです。

 

ただ、このような場合で問題となるのは

○ 会社と社員の責任が明確でない

○ 損害の負担割合が明確でない

ということです。


だから、裁判等にならないとその線引きが明確にならないのです。

問題が起こる度に裁判を起こしていたら、組織は崩壊しますよね・・・。


これを防ぐためには、就業規則に事前に定めることです。


例えば、就業規則に

○ 職務上の禁止項目を具体的に記載する

○ 解雇の理由を詳細に記載する

○ 損害賠償をさせる旨を記載する

などです。


確かに、就業規則に「損害賠償」と記載すると物々しくなります。

しかし、ミス防止や事故予防の視点で見てみましょう。


事前に損害賠償、制裁事項を社員に知らせれば、

ミスや事故の予防になり得ます。

この意味から、損害賠償の旨を記載すること意味があります。

特に、運送業などの被害額が大きくなる業種では必要でしょう。


実際に、私が過去にコンサルした会社でも導入実績があります。

ただ、私が重視したのは

○ 就業規則の内容を会社の実態に合わせること

○ それを周知徹底する

ということではありません。


私が重視したのは

○ 業務のオペレーションを見直し、リスクを軽減する

○ 業務の安全性を向上させる

○ 労働環境を整備する

○ 社員のモチベーションが上がる組織を作る

という業務コンサル、人事コンサルの部分です。


この部分は法律ではありません。

会社の運営にはハードとソフトがあります。

就業規則がハードなら、私が重視した4つはソフトです。

その両輪が回り、初めて組織が成り立つのです。

必ず、就業規則を適正に作って下さいね。

 

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