社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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社員が病気などで働けなくなったら・・・


2010年3月18日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今回は「社員が病気などで働けなくなったら・・・」について解説します。


社員が「仕事以外の※」事故、病気、ケガなどで

長期休暇を余儀なくされることがあります。

※仕事中の事故などは労災事故となるので、取り扱いが別となります。


この場合、「休職」という手続きになる場合があります。


「休職」とは

○ 雇用契約は継続している

○ 働く義務は免除されている

という状態です。


そして、就業規則などで休職期間や条件を決めることが「できます」。

逆にいえば、「法的には」必ず決めなくてもいいのです。


だから、

○ 休職という制度を設けるかどうか

○ 設けるなら、休職期間、休職中の条件

などは会社が「自由に」決められるのです。


たとえば、期間については

一律で1年間、6ヶ月間、3ヶ月間などでもOKです。


また、勤続年数に応じて

○ 勤続1年以上3年未満の者 3ヶ月以内

○ 勤続3年以上の者     6ヶ月以内

とすることも可能です。

 

休職となる条件も会社が自由に決められます。

就業規則に入れる具体的な条文の1例を挙げましょう。

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業務外の傷病による欠勤が3ヶ月以内で通算30労働日にわたったときで、

その傷病が治癒※しないとき

※ 治癒とは通常業務をできる程度に回復すること


業務外の傷病により完全な労務提供ができず、

その回復に一定期間を要するとき
---------------------------------------------------------------------

 

次に、休職の与え方について考えてみましょう。

就業規則には、一般的に次の2つのパターンがあります。

(1) 休職を命ずる

(2) 休職を命ずることがある


(1)(2)では、5文字しか違いませんが、内容は大きく異なります。


(1)は休職の条件が発生すれば「必ず」休職させなければなりません。

だから、条件が成立すれば、

○ 会社は休ませる「義務」が発生する

○ 社員は休む「権利」が発生する

となるのです。


しかし、(2)は「必ず」休職させなくてもいいのです。

つまり、会社に決定権があるのです。


だから、休職に該当する条件が発生しても、

会社が認めなければ、「休職」にはならないのです。


この差はとても大きいのですが、

(1)の記載になっている就業規則も「よく」見かけます。

 

「強制的に休職になるか」、「任意で休職させるか」の大きなポイントは

社会保険料の問題です。


休職なので、給料は発生しません。

しかし、社会保険料は「会社分」も「本人分」もかかります。


例えば、休職期間が「6ヶ月」と決めてあれば、

この期間は負担しなければならないのです。


ちなみに、給料0なので本人から徴収することができないため、

本人分も会社が立て替えることになります。

当然、貸し倒れることもあります。


だから、会社にとっては大きな負担となるのです。

 

さらに、問題となるのが「復職できない場合の対応」です。


例えば、うつ病などで休職した社員の休職期間が終わり、

社員は復帰したいと考えていました。

しかし、会社の判断は「ノー」という場合もあります。


会社は「通常業務ができなければ、期間満了で退職」としたいのです。


しかし、社員は「復帰できるのに、認めてくれない」となるのです。


この場合、社員の主治医、会社の指定医などの意見を基に、

会社が判断することとなります。


それでも、社員が納得できなければ、トラブルに発展するかもしれません。

そして、「不当解雇」と裁判所に訴えられる可能性も出てくるのです。


このトラブルを避けるためのポイントは

○ 休職させる前「休職に関する覚書」を交わす

→ うつ病などで休む場合の対応


○ 上記と同じ内容を就業規則に書く

→ 急な事故などで休む場合の対応


ということです。


なぜなら、休職期間が終わっても傷病が治っていない場合、

「自然に退職する」ことを確認するためです。


最初に合意をしておくとトラブルは減少します。

なぜなら、社員は休み始めの段階では「職場に迷惑をかける」

という意識があります。


しかし、時間が経過すると、この意識が薄くなり、

最初の意識とのギャップが大きくなっていく場合もあるのです。


だから、休職する段階での書面での確認が重要なのです。


では「休職に関する覚書」などの内容を具体的にみてみましょう。

○ 休職期間が経過後、復帰できなければ退職することの合意

○ 社会保険料の支払い方法

○ 休職中の連絡先

○ 1ヶ月に1回の報告義務

などです。


これだけでも、トラブルが発生する可能性は低下するのです。

 

休職は会社が「独自」に定義できる制度です。

だから、適当になっていることもよくあり、

トラブル発生の原因にもなっている部分です。


覚書、就業規則に書くべきことを書き、

きちんと運用していくことが大切なのです。


これは「社員のため」でもあるし「会社のため」でもあるのです。

 

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