社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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振替休日と代休の違い


2010年3月 4日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今回は「振替休日と代休の違い」について解説します。


「振替休日」と「代休」という制度は似ていますが、違う制度であり、

誤解している方もたくさんいます。

 

まずは、「振替休日」について説明します。


労働基準法では、休日は最低でも「毎週1日」が原則です。

そして、この休日は固定ではなく、振り替えることが可能です。

たとえば、日曜日休みを火曜日に振り替えるということです。


ただし、振り替えるためには、

「事前に」休日と働く日を入れ替えることが必要です。


社員側の申請ならば、事前に申請することが必要で、

会社都合ならば、事前に通知することが必要ということです。


また、振り替えに関する規定も就業規則などで決めておく必要があります。

 

一方、「代休」という制度は休日出勤した分を【後日に】休むことです。

だから、「事前」である必要はありません。


ちなみに、代休は法律上の制度ではありません。

法律では「休日出勤=割増賃金を支払う」と決められているだけで、

「休日出勤した変わりに代休を与える義務」は書かれていないのです。


しかし、多くの会社では代休の制度を採用しており、

これは就業規則などで決められています。


これらがなければ「社員は代休を請求できない」となるのです。


ということは、就業規則などに代休の記載がなければ、

「休日出勤=割増賃金を支払う」となる【のみ】なのです。


この場合、休日出勤した社員に【代休を与えても】、

割増賃金を支払わなければならないとなるのです。

 

逆にいえば、代休の制度を設けておけば、

休日出勤した分と「部分的に」相殺できるのです。

ただし、相殺できない部分は休日手当を支払わなければなりません。


たとえば、社員の通常の日当が1日1万円としましょう。


この場合、休日出勤1日につき、1万3,500円の支払いが発生します。

※休日手当は+35%となります。


そして、後日に社員に代休を与えた場合、

○ 休日出勤の1万円と代休日の1万円は相殺

○ 差額の3,500円は支払う必要あり

となるのです。

 

少し複雑になったので、まとめます。

○ 振替休日

→ 事前に決めることが必要

→ 就業規則などで決めておくことが必要

→ 休日出勤日したら、事前に決めた別の日に休む

→ 休日手当の支払い義務無し


○ 代休   

→ 事前に決める必要なし

→ 就業規則などで決めておくことが必要

→ 休日出勤したので、後日に休みを与えればOK

→ 相殺できない部分は休日手当の支払い義務あり

 

少し複雑ですが、大丈夫ですか?

多くの会社では、休みの定義がごちゃごちゃになっています。

しかし、法律上は違うので、整理しておくことが必要です。

 

以上が「振替休日」と「代休」の違いとなります。

ここからは振替休日に関する補足説明をします。

 

よくあるご質問で「振替休日は会社全体で統一しなければなりませんか?」

というのがあります。


これは違います。

就業規則などには「振り替えることが可能」と書かれているだけなので、

その単位は社員1人でもOK、1つの課や支店でもOKなのです。


つまり、実施の単位は会社全体でなくてもOKなのです。

 

また、別のご質問で

「忙しくて、振り替える日が決められない場合、どうすべきか?」

というのもあります。


通常の振替休日は

「事前に」休日と働く日を入れ替えることが原則です。

だから、休む日が事前に決まっていることが原則なのです。


しかし、厳密にいうと、「事前に」休むことは決めなければなりませんが、

具体的な日付までは特定しなくてもОKなのです。

 

判例でもこれを認めています。

<大有社事件 平成2年3月 大阪地裁>

○ 労使協定では、3ヶ月以内に振替休日を取得することになっている

○ ある社員が7日間休日出勤した

○ うち、2日分の振替休日を消化した

○ 残りの5日分は3ヶ月以内に消化できず

○ 5日分の休日手当を支給しなかった

○ 社員が休日手当を請求し、裁判となった


これに関する裁判所の判断は、

「5日分の休日手当を支払いなさい」ということでした。


ただし、労使協定に書かれているので、

3ヶ月以内に振替休日として消化することは社員の義務ともしています。


この判例のポイントは、

○ 日付指定はないが、社員は3ヶ月以内に振替休日を取る義務あり

○ 3ヶ月以内に消化できなければ、会社は休日手当を支払う

ということです。


だから、

○ 一定期間内ならば、振替休日は後日に指定でもOK

○ この期間を過ぎた場合は休日手当で対応

→ 就業規則などに規定があれば、代休での対応も可能

→ 代休で対応した場合でも、+35%の差額は支払う

ということです。


結果として、

○ 振替休日の取得が可能な期間を設ける

○ この期間を過ぎた場合は代休で対応する

とすれば、休日手当の支払いを削減できます。

 

この部分は法律も少し難しく、誤解している会社も多い部分です。

しかし、休日手当の支払いにも影響する大切な部分なので、

きちんと決めておきましょう。

 

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