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2010年5月20日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
今回は「労働条件を変更するポイント」について解説します。
前回のメルマガでメルマガのテーマを募集したところ、
「労働条件の不利益変更※について取り上げて欲しい」とご要望がありました。
※ 従業員にとって不利な条件に変更すること
※ 理由無く賃金が下がる、退職金規定の廃止、休日の削減など
そこで、本日はこれを解説いたします。
もちろん、会社がいきなり不利益変更を実行することはありません。
最高裁の判例でも「意味無く労働条件を低下させることは許されない」
とされています。
しかし、景気悪化に伴う経費削減などの理由であれば、
労働条件を変更することは可能である場合があります。
最高裁も「合理的な理由」であれば認めているのです。
最高裁はこの合理的な理由の基準として、
○ 不利益変更の程度
→ 不利益であっても軽微であれば問題ない
○ 不利益変更に伴い、逆に改善された他の労働条件
→ 例:退職金を減額する代わりに、定年制度を延長する
○ 経営上の必要性
→ 変更しなければ、経営が悪化するような場合
○ 労働組合、労働者との交渉の経緯
→ 変更の過程で労使交渉があったかどうかを重視
などを挙げています。
だから、会社が行なう具体的な行動は
○ 労働条件の変更について、理由を明確にして説明会を実施
○ 賃金を下げる場合などは経営情報を開示し、社員から同意書をもらう
○ 社内に労働組合がある場合は、組合と合意をはかる
などが必要となります。
さらに、よくご相談いただくケースが企業再編に伴う場合です。
不況の影響もあり、企業規模を問わず、
合併、会社分割、営業譲渡などの案件が多い時代です。
たとえば、A社とB社が合併する場合、もともとの労働条件は違っています。
そのため、これを統一しようとすれば、
A社にもB社にも不利益変更の要素が【100%】発生するのです。
先日も合併に伴う不利益変更のコンサルティングを行ないましたが、
難しいのは「何を捨てて、何を拾うか」ということです。
就業規則も統一する必要があります。
これに関して、参考になる判例をご紹介します。
(大曲市農業協同組合事件 最高裁 昭和63年2月)
○ 2つの農協が合併した
○ 合併に伴い、退職金の支給基準が変更(支給倍率が低下した)
○ 今までの権利が守られないと職員が裁判を起こす
高等裁判所は「退職金の支給基準の変更は合理性なし」とし、
職員側の勝訴となりました。
しかし、この判決が最高裁でひっくり返ったのです。
最高裁は「退職金の支給基準の変更は合理的」とし、
農協側の勝訴となりました。
これは
○ 退職金の支給倍率は低下しているが、給与は増額されている
○ 給与の増額により、実際の退職金額はそれほど低下していない
○ 単一の就業規則、労働条件の統一は必須
○ 労働条件を統一するための折衝が何度も実施されていた
などの理由により退職金の支給倍率の低下が認められたのです。
この判決からもわかるとおり、
合併による労働条件の統一は「経営的な必須事項」なのです。
この際、注意することは、
○ 一方的な労働条件の低下は許されない
○ 労使の話し合いをできる限り持つ
○ 給与、退職金などを全体から考える
○ 大きく条件が下がる場合、段階的な緩和措置を講じる
などとなります。
合併等があれば、労働条件の不利益変更は「必ず」発生します。
しかし、会社の未来を考えるからこそ、合併などを行なうのです。
社員側は単に「労働条件が悪くなるから拒否する」ということではなく、
労働条件を変更する「理由」に注目しましょう。
会社側は「誠意ある対応」をすることが必要です。
合併、会社分割、営業譲渡などの組織再編が行なわれ、
労働条件を統一する過程でトラブルが起こることはよくります。
これに伴う法的な部分は「労働契約承継法」という法律で整備され、
厚生労働省は下記PDFを公開しています。
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/roushi/dl/01d.pdf
法的な問題をクリアすることはもちろん重要なのですが、
もっと大切なことは「会社と社員の相互理解」です。
この「お互いに理解する」という部分に
どれだけのエネルギーをかけられるかが大きなポイントなのです。
実際、法的ポイントはクリアしたが、
現場レベルでのすり合わせがうまくいかない事例は非常に多いのです。
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