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2010年5月 6日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
今回は「試用期間が終わった社員を退職させたい場合」について解説します。
4月に入社した新入社員の試用期間も1ヶ月が経ち、
色々な問題点が見えてきた時期かもしれません。
そんな時期だからこそ、会社が考えるべきことがあります。
それは「本採用」についてです。
多くの会社は一定の試用期間後に本採用としています。
ちなみに、試用期間の長さは会社が独自に決めることができ、
法律上の線引きはありません。
ただし、1年半という試用期間が認められなかった判例があります。
長すぎる試用期間は認められない可能性があるので、ご注意ください。
一般的な使用期間は3ヶ月~6ヶ月などでしょう。
この期間の意味は
○ 本採用前のテスト期間
○ 改めて、能力、資質、健康状況を調査・判断する期間
です。
法的にいうと「雇用契約の解約が留保されている期間」となります。
だから、会社が「社員としての適性に欠ける」と判断したら、
労働契約を「解約」することができるのです。
つまり、解雇です。
ちなみに、この解雇の場合、
○ 入社後2週間以内・・・即日の解雇OK
○ 入社2週間経過後・・・解雇予告手当、または、1ヶ月前の通知が必要
となります。
もちろん、解雇に関しては就業規則に記載しなければなりません。
ただし、普通の解雇とは違い、
「本採用しない場合の解雇」は別に決めておくべきです。
具体的な就業規則は下記をご覧ください。
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第○条 試用期間中の従業員が次の各号のいずれかに該当し、
従業員として不適当である認めるときは、採用を取り消し本採用を行わない。
ただし、改善の余地がある等特に必要と認めた場合には、試用期間を延長し
採用取消を留保することができる。
○遅刻及び早退並びに欠勤が多い又は休みがちである等、出勤状況が悪いとき
○上司の指示に従わない、同僚との協調性がない、やる気がない等、
勤務態度が悪いとき
○必要な教育は施したが会社が求める能力に足りず、
また、改善の見込みも薄い等、能力が不足すると認められるとき
○重要な経歴を偽っていたとき
○必要書類を提出しないとき
○健康状態が悪い(精神の状態を含む)
○当社の従業員としてふさわしくないと認められるとき
○その他上記に準じる、又は解雇事由に該当する場合
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また、これに関する具体的な判例をみてみましょう。
○ 日本コンクリート事件(津地裁 昭46年5月)
試用期間中の出勤率が90%未満、
または、3日以上無断欠勤した場合には本採用しない旨の内規あり
→ 出勤率が84.4%、無断欠勤が1日の社員を本採用しなかった
→ 本採用拒否は有効
○ 大同木材事件(松江地裁 昭和46年10月)
業務修得に熱意がなく、
上司の指示に従わず協調性に乏しいことを理由として、本採用せず
→ 本採用拒否は有効
○ 日本精線事件(大阪地裁 昭和50年10月)
大学中退を高校卒とした学歴詐称を理由として解雇
→ 本採用拒否は有効
○ 鶴屋商事事件(東京地裁 昭和60年7月)
他の社員への言葉使い、勤務態度、接客態度が悪く
営業成績も不良であることを理由とする解雇
→ 本採用拒否は有効
これらの判例の詳細を検討すると、
正社員の解雇よりハードルが低くなっています。
これは試用期間が「長期的な雇用を継続するかどうか」
という判断期間だからです。
社員として不適格ならば、本採用拒否は有効なのです。
だから、正社員の解雇とは「別に」、
試用期間中の社員の解雇を定めることがリスクヘッジになるのです。
逆に言えば、別に定めないと正社員と同じ規定が適用されます。
まだどうなるか分からない社員に対して、リスクだけが大きくなるのです。
もちろん、今後の社員教育で問題が解決できる事もあるでしょう。
しかし、勤務態度や協調性といった「人としての基本」が欠けていて、
改善の余地がないと判断したら、お互いのために解雇しましょう。
感情に流され、問題を先延ばしにした結果、
大きなトラブルに発展した事例をいくつも見てきました。
だからこそ、
○ 就業規則の規程を分けること
○ 早めにすべき判断は先送りにしないこと
が大切なのです。
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