社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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給料制度を変更するポイント


2010年6月 3日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今回は「給料制度を変更するポイント」について解説します。

 

景気は回復のきざしを見せているという報道がある一方、

雇用の拡大にはまだまだ遠い状況です。


そんな社会情勢もあり、給与体系に関して

「会社に貢献した人には多く、それなりの人にはそれなりに」

と成果の配分をより重視したものに変えたいというご要望がよくあります。


ただし、給与体系の変更は

○ 従業員にとって、不利益変更※になる可能性がある

※ 給与の引き下げなどの労働条件の低下

○ 就業規則、給与規定などの文書の変更が必要である

ということで、法的に押さえるべきポイントがあります。


では、「成果重視の給料体系に変えるときのポイント」を解説しましょう。

 

多くの会社では、給料は年齢を基準に考えられています。

つまり、年功序列ということです。


「この制度は時代遅れ」といわれますが、

多くの会社で根強く残っていることも事実です。 


そして、この年功序列から成果重視の給与体系に変更するのには、

大きな問題があります。


それは上記の通り、「不利益変更に該当しないか」ということです。

法的な原則論は「労働条件の不利益変更」は許されないのです。


しかし、時代に合わせた給与体系に変えるべき場合もあり、

多くの会社が悩むところです。


特に、給与が下がる社員の取扱いには慎重になるべきで、

争いもよく起きている部分です。


ここで、参考となる判例をご紹介しましょう。

<ノイズ研究所事件 東京高裁 平成18年6月>

○ 会社が給与体系を年功序列から成果重視に変更

○ 就業規則を変更して実施

○ 降格、減給される社員も現れた

○ 急激な給料ダウンの社員には、2年間の調整手当を支払う

○ 降格前の待遇に戻すこと、減額分の支払いを求めて、裁判へ

○ 一審の横浜地裁では、会社側が敗訴

○ これに納得できない会社は控訴


そして、東京高裁の判決は、

○ 社員全体の給料総額が減っていない

→ 人件費削減のためではない


○ どの社員にも昇格、昇給の機会が保障されている

→ 平等な機会が与えられている


○ 降格の基礎になった改定後の人事評価制度も必要最低限の合理性あり

→ 制度が定着すれば、公正な人事評価制度


○ 急激な給料ダウンの社員に調整手当を支払うことは合理性あり

→ 社員の生活の保障も考慮してある


などの基準により、会社の勝訴としました。


「どの社員も平等に昇格、昇給の機会があり、変更は合理的」

と就業規則を変更した合理性を認めたのです。


この判決のポイントは

○ 年功序列から成果重視への変更は「給料総額」を下げない

○ 公平な人事制度により、昇格、昇給の機会を平等に与える

○ 急激な給料ダウンの社員には、緩和措置を設ける

ということです。


だから、不利益変更になる可能性がある場合には、

最低でも上記3つのポイントを押さえるべきなのです。


一部の社員の給料が下がっても、

「合理的なもの」となる可能性が高くなるのです。

 

○ 時代に変化に対応するため

○ 会社の成長を促すため、生き残るため

に旧来の制度を変更することはよくあります。


しかし、これには「犠牲」が伴う場合もありますが、

その「犠牲が合理的かどうか」ということが大切なのです。


裁判にまでなるかならないかはともかく、

給与体系の変更に関しては、間違いなく「合理性」が問われるのです。


だからこそ、法律、判例から重要なポイントを押さえるべきなのです。

多くの会社で、このポイントの「一部」がもれているので、

後で大変なことになるのです。

 

追伸  

先週に告知した「就業規則の徹底対策セミナー」ですが、

おかげさまで定員となりました。

誠にありがとうございました。

 

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