〒105-0003 東京都港区西新橋1-16-5 コニシビル4F
社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所
E-mail:utsumi@j-central.jp
TEL:03-3539-3047(代表)
2010年7月22日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
今回は「服装、身なりが常識の範囲を超えている社員がいたら」を解説します。
正直、これはよくご相談を頂く内容です。
具体的には、
○ スーツやYシャツの柄、色
○ クツ、靴下の色や形
○ 髪型、髪の色、髪の長さ
○ ヒゲの有無
などです。
女性であれば、化粧の仕方が問題になったケースもあります。
もちろん、これには法的な基準はなく、会社が方向性を出せばOKです。
そのときに「常識を超えたこと」をさせないことが重要なのです。
ただし、人によって、世代によって、
その常識の範囲が違うこともあり、問題になるのです。
例えば、真っ赤なYシャツはアパレルでは許されても、
一般企業では許されないことが多いでしょう。
ここまでのレベルではなくても、
社長、管理職にとっては気になる服装、身なりは沢山あります。
しかし、自由奔放にさせてしまっては、社内の統一が図れません。
ある程度のガイドラインが必要なのです。
参考になる判例を2つご紹介しましょう。
<神奈川中央交通事件 平成6年9月 横浜地裁>
○ バスの運転手が帽子をかぶらないで乗務した
○ 理由は、夏は暑いので生理的な苦痛を伴うとのこと
○ 会社は制帽着用義務を定めた就業規則に違反すると減給処分
○ 減給処分の内容は「平均日額の2分の1」(5,500円)
○ 運転手は「この処分は不当」として裁判を起こした
そして、裁判所は「処分は妥当」としました。
その理由は
○ 制服、帽子の着用は任務と責任を自覚させる
○ 乗客に信頼感を与える
○ 着用強制を就業規則で定めたことに合理性あり
○ 冷房車での帽子着用は生理的苦痛をともなわない
としたのです。
この額の減給処分でも裁判までいったということは
覚えておくべき事実です。
しかし、反対の結果が出た裁判もあります。
<東谷山家事件 平成9年12月 福岡地裁小倉支部>
○ トラック運転手が髪の色を黄色く染めて勤務
○ 会社が取引先から「好ましくない」と連絡があった
○ 会社は髪の色を元に戻すよう指示
○ 運転手は「髪の色で干渉するのはおかしい」と反論
○ 会社は運転手に始末書の提出と理髪店で黒い髪にすることを指示
○ 運転手は始末書の提出を拒み、自ら染髪料で黒く髪を染めた
○ 会社は運転手に対して「就業規則に基づき解雇」と通告
○ 運転手はこれに納得いかず、裁判を起こした
そして、裁判所は「解雇は無効」としたのです。
その理由として
○ 就業規則に記載された懲戒解雇の理由に該当しない
○ 労働者の髪の色等はある程度の制限しかできない
○ 制限は会社の運営上に必要、かつ、合理的な範囲内にとどめるべき
としたのです。
この2つの裁判で結果を変えたものは何でしょう?
それは、
○ 前者は「服装の乱れは乗客への信頼感が損なわれる」
○ 後者は「髪の色は業務に支障が出ない」
ということです。
取引先からのクレームはあったものの、
「業務に支障はない」という部分が大きなポイントです。
この判断は業務内容、職種などによっても変わってくるでしょう。
ただ、社内秩序を維持、確保することは重要です。
お客様からクレームが来るような服装は本来はノーです。
そこまでいかなくても、お客様が「おかしい」と思う服装もノーです。
これを放置したら、「この会社はどういう会社なんだろう」と、
商品の品質以外の部分で疑問を持たれる可能性もあるでしょう。
結果、その本人が良くても、
社外だけでなく、社内秩序も維持できなくなるのです。
これをはっきりさせるには
○ 就業規則の服務規定の中で、好ましい服装を明示する
→ クールビス等を採用する場合はドレスコードをもうける
→ ガイドラインを明確にする
○ 違反した場合は懲戒対象とする
ということが重要です。
そして、何をどこまで決めるかは会社次第ですが、
「最低限の基準」を設けておくことは必要でしょう。
特に、若い社員の場合は本人にその意識がなくても、
「ありえない服装」の場合があります。
大切なことはガイドラインを設けると同時に、
ビジネスとしてのマナーを「人として」教えることです。
そして、「何だ!その服装は!」と言う前に、
その理由も含めて伝えることが大切なのです。
結局、お客様からおかしく見られて損するのは本人ですから、
こういうことをきちんと伝えることが重要なのです。
一番いけないのは「おかしい」と思いながら、放置することです。
散々経ってから指示すれば、
「あ~、ずっとおかしいと思われていたんだ」とも思ってしまいます。
服装に限りませんが、
直すべきことは気付いた時点で伝えることが大切なのです。
ちなみに、この考え方は
松下幸之助さん、樋口廣太郎さん※もおっしゃっていることです。
※ 元アサヒビール会長でスーパードライを作り、シェアNO1を達成
伝えるタイミングを図ることも大切ですが、
時間が経ちすぎてもいけないのです(重要)。
--------------------------------------------------------------------
(株)日本中央会計事務所・日本中央社会保険労務士事務所
取締役・社労士 内海正人(うつみまさと)
住所:東京都港区西新橋1-16-5コニシビル4階
電話:03-3539-3047
○顧問契約、単発のご相談(就業規則、雇用契約書など)のお問合せ
→ https://www.roumu55.com/komon.html
--------------------------------------------------------------------
●ご友人、知人にもこのメルマガをご紹介ください。
→ http://www.success-idea.com/magazine/
●恵まれない方のために
皆さんが1クリックすると
協賛企業が慈善団体に寄付してくれます(1クリック=1円)。
今、自分がここにいられることに感謝し、1日1回クリックしませんか。
私も毎日、ワンクリックしています。 http://www.dff.jp/
●本メールマガジンは専門的な内容を分かりやすくするため、
敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。
お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。
また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、
ご注意ください。
アルバイト禁止と懲戒処分の基準 | 解雇を行うにはどうしたらよいか?
94%の会社が陥る
思わぬ組織の落とし穴!
『組織・人事の解決ノート』
下記にご入力頂ければ、無料レポートをお送り致します。
社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所
社会保険労務士 内海正人
〒105-0003 東京都港区西新橋1-16-5 コニシビル4F
TEL 03-3539-3047 FAX 03-3539-3048
E-mail utsumi@j-central.jp
Copyright 2007-2018. Japan Central Accounting. All Rights Reserved.