社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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服装、身なりが常識の範囲を超えている社員がいたら


2010年7月22日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今回は「服装、身なりが常識の範囲を超えている社員がいたら」を解説します。


正直、これはよくご相談を頂く内容です。

具体的には、

○ スーツやYシャツの柄、色

○ クツ、靴下の色や形

○ 髪型、髪の色、髪の長さ

○ ヒゲの有無

などです。


女性であれば、化粧の仕方が問題になったケースもあります。


もちろん、これには法的な基準はなく、会社が方向性を出せばOKです。

そのときに「常識を超えたこと」をさせないことが重要なのです。


ただし、人によって、世代によって、

その常識の範囲が違うこともあり、問題になるのです。


例えば、真っ赤なYシャツはアパレルでは許されても、

一般企業では許されないことが多いでしょう。


ここまでのレベルではなくても、

社長、管理職にとっては気になる服装、身なりは沢山あります。


しかし、自由奔放にさせてしまっては、社内の統一が図れません。

ある程度のガイドラインが必要なのです。


参考になる判例を2つご紹介しましょう。


<神奈川中央交通事件 平成6年9月 横浜地裁>

○ バスの運転手が帽子をかぶらないで乗務した

○ 理由は、夏は暑いので生理的な苦痛を伴うとのこと

○ 会社は制帽着用義務を定めた就業規則に違反すると減給処分

○ 減給処分の内容は「平均日額の2分の1」(5,500円)

○ 運転手は「この処分は不当」として裁判を起こした


そして、裁判所は「処分は妥当」としました。


その理由は 

○ 制服、帽子の着用は任務と責任を自覚させる

○ 乗客に信頼感を与える

○ 着用強制を就業規則で定めたことに合理性あり

○ 冷房車での帽子着用は生理的苦痛をともなわない

としたのです。


この額の減給処分でも裁判までいったということは

覚えておくべき事実です。

 

しかし、反対の結果が出た裁判もあります。

<東谷山家事件 平成9年12月 福岡地裁小倉支部>

○ トラック運転手が髪の色を黄色く染めて勤務

○ 会社が取引先から「好ましくない」と連絡があった

○ 会社は髪の色を元に戻すよう指示

○ 運転手は「髪の色で干渉するのはおかしい」と反論

○ 会社は運転手に始末書の提出と理髪店で黒い髪にすることを指示

○ 運転手は始末書の提出を拒み、自ら染髪料で黒く髪を染めた

○ 会社は運転手に対して「就業規則に基づき解雇」と通告

○ 運転手はこれに納得いかず、裁判を起こした


そして、裁判所は「解雇は無効」としたのです。


その理由として

○ 就業規則に記載された懲戒解雇の理由に該当しない

○ 労働者の髪の色等はある程度の制限しかできない

○ 制限は会社の運営上に必要、かつ、合理的な範囲内にとどめるべき

としたのです。


この2つの裁判で結果を変えたものは何でしょう?


それは、

○ 前者は「服装の乱れは乗客への信頼感が損なわれる」

○ 後者は「髪の色は業務に支障が出ない」

ということです。


取引先からのクレームはあったものの、

「業務に支障はない」という部分が大きなポイントです。


この判断は業務内容、職種などによっても変わってくるでしょう。

ただ、社内秩序を維持、確保することは重要です。


お客様からクレームが来るような服装は本来はノーです。

そこまでいかなくても、お客様が「おかしい」と思う服装もノーです。


これを放置したら、「この会社はどういう会社なんだろう」と、

商品の品質以外の部分で疑問を持たれる可能性もあるでしょう。


結果、その本人が良くても、

社外だけでなく、社内秩序も維持できなくなるのです。

 

これをはっきりさせるには

○ 就業規則の服務規定の中で、好ましい服装を明示する

→ クールビス等を採用する場合はドレスコードをもうける

→ ガイドラインを明確にする

○ 違反した場合は懲戒対象とする

ということが重要です。


そして、何をどこまで決めるかは会社次第ですが、

「最低限の基準」を設けておくことは必要でしょう。


特に、若い社員の場合は本人にその意識がなくても、

「ありえない服装」の場合があります。


大切なことはガイドラインを設けると同時に、

ビジネスとしてのマナーを「人として」教えることです。


そして、「何だ!その服装は!」と言う前に、

その理由も含めて伝えることが大切なのです。


結局、お客様からおかしく見られて損するのは本人ですから、

こういうことをきちんと伝えることが重要なのです。


一番いけないのは「おかしい」と思いながら、放置することです。


散々経ってから指示すれば、

「あ~、ずっとおかしいと思われていたんだ」とも思ってしまいます。


服装に限りませんが、

直すべきことは気付いた時点で伝えることが大切なのです。


ちなみに、この考え方は

松下幸之助さん、樋口廣太郎さん※もおっしゃっていることです。

※ 元アサヒビール会長でスーパードライを作り、シェアNO1を達成


伝えるタイミングを図ることも大切ですが、

時間が経ちすぎてもいけないのです(重要)。

 

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