社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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私用メールと懲戒処分の基準


2010年7月 8日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今日の1分セミナーにいきましょう。

今回は「私用メールと懲戒処分の基準」について解説します。


パソコンの普及などにより

○ メールで知人と連絡を取る

○ インターネットで情報を集める

ということが容易にできるようになりました。


そして、社員が勤務時間中に私的にメールやインターネットを

使うことも珍しいことではありません。 


そんな情勢もあり、

○ 私用メールを禁止させるにはどうしたらよいか

○ インターネットの閲覧制限をしたい

などのご相談をお受けするケースが増えています。


技術的には、サーバーなどの設定により、

制限をかけたり、閲覧履歴を保存しておくこともできます。


ただし、これは多額のコストがかかる場合もあるし、

どこまでやるかという側面もあります。

 

今回は労務の側面から考えてみたいと思います。


もちろん、業務連絡や情報収集であれば問題ありませんが、

私的に使用することは業務の妨げになります。


放置すると「仕事をしているフリ」がまかり通ってしまいます。

そこで、対策について考えていきましょう。


2006年に労務行政研究所より

「インターネット等の私的利用に関する実態調査」

が発表されました。


これによれば、就業規則でインターネット、メールの私的利用の

ルールを定めている企業の割合は

○ 定めている企業・・・48.9%

○ 定めていない企業・・・51.1%

となっています。


つまり、ほぼ半数の企業でこのルールが定められています。


これを企業規模で見ると

○ 300人以上の企業・・・72.4%

○ 300人未満の企業・・・32.7%

となっています。

※複数回答のため、合計100%を超えています。


このデータから分かることは

中小企業での対応が遅れているという事実です。


ここでの法的な問題点は

「メールなどの私的な使用がそもそも許されるのか」ということです。


なぜなら、「社員は職務に専念する義務」に

違反する可能性があるからです。

 

参考となる判例をご紹介しましょう。

<日経クイック情報事件 東京地裁 平成14年2月>

○ 他人を誹謗中傷するメールの発信元を調べるため、

  会社は社員(全員)のメールを調査

○ ある社員が多量の私用メールを送信している事実が発覚

○ この社員を懲戒処分とした(処分の内容は不明)

○ これに対し社員は会社をプライバシーの侵害、名誉毀損で訴えた


そして、裁判所は

○ 私用メールは職務に専念する義務に違反

○ 私的に会社の施設を使用することは企業秩序の違反行為

○ 私用メールは一般的に懲戒処分の対象になる

としました。

 

ただし、この判例と逆のものもあります。


<グレイワールドワイド事件、東京地裁 平成15年9月> 

○ 社員が就業時間中に私用メールを送った

○ これを主な理由として解雇

○ 社員は「解雇は無効」とし、裁判を起こした


そして、裁判所は

○ 就業規則で私用メールが禁じられていなかった

○ 社員の送受信した私的メールが1日あたり2通程度であった

などから、「職務に専念する義務に違反しない」としました。


つまり、解雇は無効となったのです。


もし、皆さんの会社で「私的メールを制限する条項を入れたいならば、

次のように記載すればいいでしょう。

-----------------------------------------------------------------------
第●条 従業員はインターネット、電子メール等、会社のパソコンを

業務以外の目的で利用してはならない。

また業務に利用する際は社会的責任、法的責任を十分に認識し慎重に行う

こと。

(2)会社のパソコンを業務以外の目的で利用した場合は第●条の懲戒処分

または第●条の解雇処分の対象となる。

(3)会社は従業員のインターネット、電子メールの利用状況等を従業員の

承諾なく、必要に応じて調べることができる。
-----------------------------------------------------------------------

このように定めれば、「私用メール = 懲戒処分の対象」

という認識が生まれます。


この前提無しでの懲戒処分はしない方が懸命です。


特に、最近のオフィスでは、他人と話をせず、

1人で画面に向かっている時間が長い場合もあります。


何も問題が無ければ、特に制限しない方がいいのですが、

実際の世の中では様々な問題、事故が起きています。


最終的には、就業規則だけでなく、

現場レベルでどれだけ柔軟に運用するかということも大切です。


ただし、問題が起きた時は「就業規則」が大前提となるのです。


「備えあれば、憂いなし」という言葉にもあるように、

モレの無い就業規則を作っておくことは本当に重要なことなのです。

 

私の所には様々なトラブル案件が持ち込まれますが、

そんな報酬を払うことは本当にもったいないことです。


この報酬を就業規則の改定に充てた方が何百倍も有効です。

また、「私も」「社長も」「社員も」みんながハッピーなのです。


内容は違いますが、近江商人の「三方良し」と同じですね。


トラブルのご相談ではなく、事前に就業規則を適正にし、

「内海さんのおかげで、本当にいい就業規則ができました」

とおっしゃって頂ける方が何百倍、何千倍も嬉しいのです。


今日の内容はよくご相談頂く内容なので、覚えておいて下さいね。

 

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