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社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所
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2010年7月 1日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
今回は「事業の廃止と社員の解雇」について解説します。
景気の回復が報道されていますが、
雇用の改善までは光が差し込んでいないのが現状です。
また、中小企業では
○ まだまだ景気は回復していない
○ 人員がダブついている
○ 不採算事業を閉鎖したい
などの声も多く聞かれます。
私のところにも「事業部閉鎖に伴う社員の取扱い」
に関するご相談も多くあります。
そこで「整理解雇のポイント」をお話します。
整理解雇とは
○ 事業を継続することが困難な場合に行なう人員整理
○ 会社から社員との雇用契約を解除すること
です。
つまり、会社の都合で社員が解雇されることなのです。
ただし、単に業績が思わしくないだけの理由で解雇をすると
不当解雇となる可能性があります。
そして、過去の判例をみると、
整理解雇を実施するには、下記の4つの要件が必要とされています。
(1)人員整理の必要性
人員整理をしなければ経営を維持できない状況である。
(2)解雇回避の努力義務
希望退職者の募集、配置転換、出向等により、解雇を避ける努力をした。
(3)人選の合理性
解雇する人の基準は合理的、かつ、公平でなければならない。
この基準は、年齢、勤続年数、職種、資格等が考えられる。
(4)手続きの相当性
手続きの妥当性が非常に重視されている。
段階的に手続きしたことを記録しておくことが重要。
例えば、説明、納得を得るための手順を踏まないと、
(1)~(3)の要件を満たしても「不当解雇」となるケースも多い。
だから、この4つの要件をケアすることが重要です。
たとえば、事業部の閉鎖により整理解雇を実施したケースをみましょう。
この会社の状況は下記の通りです。
○ 研究開発事業部が景気悪化のため閉鎖 → (1)人員整理の必要性
○ この部員を別の部署に配転 → (2)解雇回避の努力義務の履行
○ 契約社員のみ配転先は無し → (3)人選の合理性
○ 契約社員に希望退職を勧める → (2)解雇回避の努力義務の履行
○ 契約社員に対し説明会を実施 → (4)手続きの相当性
そして、整理解雇を実施しました。
ちなみに、この会社は、
○ 希望退職を勧めたときのメモ
○ 説明会のときの記録
を残し、将来に問題が発生しても対処できるようにしてありました。
また、「日時」「発言者」などもを明確に記載し、
裁判等での証拠能力が高くなるようにもしてありました。
ただし、整理解雇を実施するにあたり、
上記4つの要件が絶対的ではなかった判例があります。
<ナショナル・ウェストミンスター銀行事件 東京地裁 平成12年1月>
○ 東京支店の業務の一部を廃止
○ 業務に従事していた社員に対し退職を勧める
○ 社員がこれを拒否
○ 会社は関連会社への出向、給与の減額を申し入れ
○ 出向は承諾、給与の減額は拒否
○ 会社は社員に解雇通告をし、解雇
○ 就業規則に根拠なし、整理解雇の4要件を満たさずということ裁判
そして、裁判所の判断は
○ 会社が雇用契約を解消することは合理的な理由あり
→ (1)人員整理の必要性
○ 会社は社員の生活維持、再就職のために相応の配慮を行った
→ (4)手続きの相当性
○ 雇用契約を解消せざるを得ない理由を繰り返し説明した
→ (4)手続きの相当性
○ 誠意をもった対応をしている
→ (4)手続きの相当性
○ 総合的に考えて、解雇は有効
としたのです。
この裁判では、関連会社の出向※などには、触れていません。
※ (2)解雇回避の努力義務に該当
つまり、整理解雇の4つの要件の「全ては」満たしていないのです。
しかし、裁判所は総合的に考慮して「解雇を有効」としたのです。
4要件は必要条件であって、絶対条件ではないのです。
整理解雇をする場合、多くの社員が会社を去る場合が多いです。
ということは、複数の労基署問題が同時に多発する可能性もあるのです。
大切なことは
○ 就業規則で解雇について適正に記載されている
例:第×条 従業員が次の各号のいずれかに該当する場合は解雇とする。
・事業の縮小その他会社のやむを得ない事由がある場合で、
かつ、他の職務に転換させることもできないとき
(以下、略)
○ 整理解雇の4要件に注意する
○ 4つの要件の全てを満たせない場合、総合的な合理性を考える
○ 法律を離れた部分で、社員の心のケア、再就職の斡旋をする(重要)
ということが大切です。
まだまだ景気回復まで耐えなければならない会社もたくさんあります。
また、人件費は固定費です。
整理解雇をする必要があるならば、早めに決断し、
トラブルが起こらないようにしましょう。
景気が悪い状況で過去の未払い残業代まで請求されたら、
「泣きっ面に蜂」となってしまいます。
ただし、こういう会社も多いことも事実なのです。
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