社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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どこまでがパワハラなのか


2010年9月30日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今回は「どこまでがパワハラなのか」を解説します。


最近、ある社長から「自分はパワハラで訴えられる・・・」

とご相談がありました。


お話しをお聞きしてみると、

社員のミスを社長が【怒鳴って】怒ったとのことです。


この翌日、その社員が「もう働けない」といって

「退職届」を出してきました。


そして、退職理由として「社長のパワハラで」と記載されていたのです。

さらに、退職後すぐに、パワハラについて謝罪の要求が

「内容証明郵便」で届いたのです。


【社長が怒鳴る】という会社は【沢山】ありますから、

決して他人事ではありません。 

 

パワハラとは「パワーハラスメント」の略で、

セクハラと並んで、一般的な言葉になりつつあります。


まずは、パワハラについてみていきましょう。

これは、

○ 上司などが部下に対して、

○ 正社員がアルバイト・パートに対して、

その地位と職権を利用して嫌がらせをすることです。


具体的には

○ 気に入らない部下に無理な要求をする

○ 言葉や態度による暴力

○ 多くの人のいる前で非難する

○ 人事評価・業績評価を客観的に行わない

○ 「明日から来なくていい」などと言い、雇用不安を与える

○ 物を投げつける、殴る、蹴る、脅す

など、ざまざまなことがパワハラとなり、これらは「違法」となります。


もちろん、上司と部下の人間関係のトラブルは昔からありました。


しかし、最近は

○ 厳しい経営環境

○ 職場にゆとりがない

○ 管理職自身にもノルマがある

などの理由からよりクローズアップされているのです。

 

それでは、なぜ、パワハラは違法なのでしょうか?

パワハラは「部下などの人格権を侵害する行為」なので、

民法709条の「不法行為」となるのです。


不法行為とは暴力、暴言だけではなく

○ 意味のない作業をさせる

○ 仕事を与えず、待機させる

などの業務命令に名を借りた嫌がらせも含まれます。


パワハラがあった場合、された人は「慰謝料請求」が可能です。

さらに、これが原因で退職してしまった場合、

退職しなかったら得られた賃金(逸失利益)も請求される可能性があります。

 

ただし、不法行為となるか、ならないかの線引きは微妙です。

明らかに、私的な怨念や嫌がらせがあるならば、違法となります。

しかし、多くの場合は微妙なので、状況判断となるのです。


結果として、「著しい被害」が無いと、違法とは言いにくいのです。

ここがパワハラの判断の難しいところです。

 

セクハラに関しては「男女雇用機会均等法」で定義されています。

さらに、判例等も豊富にあります。


しかし、パワハラに関しては先ほどの民法のみでの判断となります。

つまり、不法行為かどうかという判断です。

判例も多くありません。

 

ただし、「嫌がらせ」でパワハラが認められた判例もあります。

<日本ファンドのパワーハラスメント裁判 平成22年7月 東京地裁> 

○ 喫煙をする契約社員3人に部長が「たばこ臭い」と指摘

○ 冬でも大型扇風機の風を当てられ、うち1人はうつ病となる

○ 3人は会社側に嘆願書を送ったり、労組が団体交渉を行ったが解決しない

○ 裁判所にパワハラ被害で損害賠償を求め、訴えを起した


その結果、

○ パワーハラスメントと認定

○ 同社と元部長(判決時は退職していた)に146万円の支払いを命じる

となったのです。

 

このように、裁判でパワハラも認められるようになってきました。

また、この判決のポイントは「会社の責任も問われた」ということです。


だから、会社もパワハラを放置できず、

改善しないとその責任を問われることとなるのです。


冒頭のケースでは、社長が退職した社員に「直接」謝罪し、

事なきを得ました。

【ごまかさずに】誠実に対応した結果が吉と出たのです。

 

もし、皆さんの会社でパワハラが発生したらどうしますか?

「発生したら考える」では遅すぎます。


社長でも管理職でも「怒鳴る」という人はよくいます。


しかし、それがパワハラとも受け取られる可能性があるならば、

管理職としては「不適」です。


社長の降格はできないことが多いでしょうが、

管理職であれば、降格させることも検討すべきです。


しかし、就業規則に「降格の規定」が無ければ、

ポストから外す事もできません。


そのためにも就業規則でパワハラを禁止し、

行き過ぎた場合の対応も記載しておく必要があるのです。

 

ただし、一番大事なのは日常的にパワハラを防止することなのです。


そのために、日ごろから管理職に対し、

○ 職場管理のあり方

○ 具体的な指導方法

などの教育を実施することが重要です。


そして、意識改革とともに、法的な最低限の知識も知ることが

管理職以上には求められている時代です。


先日もある会社の管理職研修の講師としてお話しをしたのですが、

ほとんどの方の管理手法に問題がありました。


法的な最低限の知識もありませんでした。


ただ、この状態で潜在的なリスクをはらんだまま、

進んでいる会社は本当に多いのです。 

 

不況のため、厳しい経営環境が続いています。

こんなときは「行き過ぎた指導」が行われる可能性も高くなります。


指導なのか、そうでないのかは状況次第ではあります。


しかし、

○ 最低限の法的な形式(就業規則など)の整備

○ 管理職以上のマネージメントに対する意識改革

は行なう必要があるのです。


トラブルになったときは、本当に大きな問題となるのです。

 

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