社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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整理解雇か?退職勧奨か?


2010年10月 7日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今回は「整理解雇か?退職勧奨か?」を解説します。


失業率の改善なども報道され、

一部の業界では「日差し」がみえてきた要素もあります。

しかし、中小企業の多くはまだまだ厳しい状況です。


そんな中、ある社長からご相談を受けました。
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管理職の給与が高く、経営を維持できません。  

また、現状の売上ならば、今の管理職の人数は要りません。

だから、一部の管理職に辞めてもらいたいのですが、

どうしたらいいでしょうか?
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今、様々な企業からご相談をお受けしていると、

「管理職の肩たたきをしたい」というものが沢山あります。


これは不況の影響により、

管理職のコストパフォーマンスが合わない場合が多いからです。

では、この場合はどのように進めていけばいいのでしょうか?

 

まず、管理職に対し「解雇する」のか?「退職を勧める」のか?

どちらを選択するかで変わってきます。


この2つについて、解説していきます。


(1)解雇する

解雇を選択した場合、これは「整理解雇」に該当します。

整理解雇を実施するには、次の4つの要件が必要となります。


○ 人員整理の必要性がある

→ 例:事業部の閉鎖により、今の人数が不要になる場合


○ 人選に合理性がある

→ 例:A事業部の閉鎖に伴い、B事業部の社員を便乗的に解雇できない 


○ 解雇を回避する努力をしたか?

→ 例:別の部署にポジションがあるかを検討する


○ 解雇する手続きは適正であるか?

→ 例:説明会を実施する


この4つの要件が【全て】揃って【初めて】「整理解雇」ができるのです。

逆に言えば、この要件が揃わなければ、実行できないのです。

 

だから、この要件をクリアしてから本人に解雇を伝えます。


そして、

○ 解雇日を設定する(伝えた日の翌日から30日後以降)

○ 解雇予告手当(1か月分の賃金)を支払い、即日解雇する

のいずれかの選択になります。


法的な手続きは以上ですが、実務的には

○ 割増退職金を支払う

○ 再就職支援制度を用意する

などの準備をすることもあります。

 

(2)退職を勧める

辞めてもらいたい対象者に「退職を勧める」ことを「退職勧奨」と言います。


なお、これは法的には「自己都合退職」と同じ取り扱いになります。

会社の事情を話し、「自ら」辞めてもらうことを勧めるのです。


だから、これに「応じるか、応じないか」は「本人」が選択するものです。

応じたくなければ、それまでの話です。

 

実務的には、(1)の整理解雇よりも(2)の退職勧奨の方が多いです。


なぜなら、「整理解雇」の4要件を満たすことは厳しいからです。

これらの要件を満たそうと思えば、

○ 多くの時間

○ 詳細な計画性

○ 事業部閉鎖などの客観的事実

などが必要となります。


これに比べて退職勧奨は本人が「イエス」といえば、

そこで「辞めること」が成立するのです。


これに関して、参考となる判決があります。

<ダイフク事件 平成12年9月 大阪地裁>

○ 管理職が退職勧奨を受け、退職させられた

○ 整理解雇の4つの要件を満たしていない

○ 不意打ちのように辞めさせられた

○ 人選の根拠も告げられていない

○ 退職に応じなければ、配置転換などを強要されると思った

○ 退職勧奨を受けて辞めた管理職が「退職は無効」と訴えた

○ 退職勧奨に関し、合意があったかどうかが争点になった


これに対し裁判所は「合意は成立している」とし、会社側の勝訴としました。

その理由は

○ 退職勧奨については、整理解雇の4要件を満たす必要はない

○ 突然にやめさせられても違法とはいえない

○ 合意をしているので、理由を告げなくても不当ではない

○ 配置転換が予想されても、ただちに違法や不当ではない

としました。


「合意が成立している」と判断した根拠については判例に書かれていませんが、

おそらく、合意を意味する書面があったものと思われます。


結果として、「合意に基づいた退職勧奨」という前提が成り立ったので、

会社側の勝訴となったのです。

 

実際の現場では、退職勧奨に関する合意が強引で、

トラブルになるケースがよくあります。


中には「応じないと後が大変だぞ」などと脅し、

強制的に退職にもっていく会社もあります。


そして、トラブルが発生するのです。

強引に合意を引き出すことは、トラブルの引き金になっているのです。


だから、このトラブルを防ぐには、

○ 退職勧奨の理由を「丁寧に」説明する

○ 本人が「NO」と言ったら、その時点で退職勧奨を止める 

○ 何度も何度も説得しない

などが重要です。


そして、本人が自分で意思決定したことが

客観的にも証明できる状態にすることが重要なのです。

 

また、実務上では整理解雇と同じように

○ 割増退職金を支払う

○ 再就職支援制度を用意する

なども多いです。

 

整理解雇は会社が一方的に通知するものです。

しかし、その4要件を満たすことは容易ではありません。


これに対して、退職勧奨は「本人の合意」があればいいのです。

しかし、「客観的に合意したことを証明」できるようにしないといけません。

これを怠ると、後々でトラブルに発展する可能性があります。

 

ここに「少しでも不備」があえば、

強引に退職勧奨を進めたのと「結果として」同じになる可能性があります。


そして、裁判所に駆け込まれたら、負ける可能性が高いでしょう。


裁判費用、慰謝料、在籍していたら支払われた給料など、

莫大な金額の請求が降りかかります。


退職勧奨の場合、整理解雇に比べ、やるべきことは単純です。

だからこそ、手を抜かず、適正に進める必要があるのです。


しかし、トラブルになる会社は「簡単な部分で手を抜き」、

結果として、問題になるのです。


そして、私のところにご相談があれば、

「メルマガに書いてあった通りですが、危機意識が足りませんでした。」

とおっしゃるのです。


そうならないように、ご注意下さいね。  

 

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