社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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正社員からパートに変更は可能ですか?


2010年11月 2日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

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どうぞ、お見逃しの無いよう、お待ち下さいね。   

 

それでは、1分セミナーにいきましょう。


今回は「正社員からパートに変更は可能ですか?」を解説します。


色々な会社からよく頂くご質問に

「できない正社員をパートに変更できないでしょうか?」 

というものがあります。


まずは、この変更について解説する前に、

それぞれの主な特徴をみてみましょう。


○ 正社員・・・定年まで働ける、フルタイムで働く、給料は月給

○ パート・・・期間が決まっている、働く時間が短い、給料は時給


このように違う部分がありますが、法的には明確な区分はありません。

だから、会社が正社員、パートの定義を就業規則で決めるのです。


ここでのポイントは

○ 正社員用の就業規則

○ パート用の就業規則

を作るということです。


しかし、中小企業の大半は、

○ 正社員用の就業規則はある

○ パート用の就業規則は無い

となっています。


この場合、「労働契約書で詳細に決めているから問題ない」

と思っている方もいますが、そうではありません。


労働基準法第93条では、下記となっています。
-----------------------------------------------------------------------
就業規則で決めた基準に達しない労働条件は無効とする。

そして、就業規則で決めた基準により運用する。
-----------------------------------------------------------------------


だから、パート用の就業規則が無い場合、

○ 労働契約より就業規則が優先される

○ 正社員用の就業規則が準用される可能性がある

ということです。


そもそも、就業規則は社員が10人以上の場合に必要なので、

「9人の正社員+1人のパート」の場合でも必要になります。


だから、この「9人+1人」の場合でも

○ 正社員用の就業規則

○ パート用の就業規則

を作る必要があるのです。


そうしないと、パートにも正社員の就業規則が

準用される可能性が出てくるのです。


もちろん、1つの就業規則の中で両方を取り決めることもできます。


しかし、1つの中では改訂作業なども煩雑になるため、

就業規則そのものを分け、違いを明確にしておいた方がいいのです。

 

最初の問題に戻ります。


結論として、これだけ明確な区分が必要なので、

簡単に正社員からパートへと契約を変更することはできないのです。

 

これに関して参考となる判例があります。

パートへの変更ではありませんが、内容は一緒です。


<倉田学園事件 高松地裁 平成元年>

○ ある教師が生徒指導に関する業務命令に従わなかった

○ 非常勤講師へ降格

○ 教師は裁判所に訴えた


そして、裁判所は

「教師(常勤)から非常勤講師への変更は無効」としました。


その理由は

○ 常勤の教師と非常勤講師では、労働契約そのものが別物である

○ 別物なので、変更すること自体ができない

ということです。 


しかし、これが覆った判例があります。

<第一生命保険事件 東京地裁 平成12年2月>

○ 営業職員が「成績基準を満たさない場合、委任契約に変更」

  という契約を結ぶ

○ 成績が悪く、委任契約となる

→ 委任契約では「成績回復がなければ、6ヵ月後に契約終了」と記載

○ これに疑問を持った営業職員は裁判を起こした


そして、裁判所は

「契約を移行させる合意、規定などがあれば、変更はOK」として、

会社側の勝訴としたのです。


つまり、「本人の同意」があれば、労働契約の変更は可能なのです。


もちろん、この事例のようにならないために、

○ 契約内容を事前にきちんと説明する

○ 変更の話し合いを持つ場合、紳士的な態度をとる

など細心の注意が必要です。


後になって「同意を強要された」と

言われないようにすることが重要です。


例えば、解雇をちらつかせて変更に同意させるのは

強迫といわれてしまうからです。


ちなみに、民法96条では

「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」

とされています。


だから、使えない正社員ならば、

パートへの契約変更ではなく、解雇を考えた方がいいでしょう。


解雇については何度も書いてきたので、復習程度にしますが、

○ 解雇する30日前までに解雇通知をする

または、

○ 30日分の解雇手当を支給し、即日解雇する

のいずれかとなります。

 

過去にも正社員からパートへの変更のご相談は沢山頂きました。

しかし、うまくいったケースはまずありません。

それどころか、トラブルに発展したケースが沢山あるのです。


中途半端な判断ではなく、きちんとした決断をしなければ、

結局は会社が火傷をするのです。


折衷案のような判断をした結果、逆に大火傷を負う・・・。

そんなケースは多いので、ご注意下さいね。

 

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