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2011年4月28日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
今回は社会保険労務士の内海正人が
「出勤時間をごまかした場合の対処法」を解説します。
ある会社からこんなご相談がありました。
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「A係長が出勤時間をごまかしています」と部下から報告がありました。
この場合、どうしたらいいでしょうか?
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まずは、この会社の状況を確認しましょう。
この会社は
〇 タイムカードは無い
〇 出勤簿は出社時刻、退社時刻を自分で手書き
〇 給与計算は出勤簿を基に計算
となってします。
そして、このA係長は実際の労働時間よりも長く申告し、
残業代を多くもらっていました。
これは意図的に会社のお金を搾取していることになるので、
会社としては対処しなければなりません。
しかし、現時点では具体的な証拠が無いので、
会社としてはこれを証明しなければなりません。
これが証明できず、会社が裁判に負けた事例もあります。
<大阪地裁 平成11年5月>
〇 出勤簿により、時間管理が実施されている
〇 出勤簿の記載どおりの時間で残業代を計算
〇 社員は出勤簿どおりの残業代が支払われていないと主張
〇 会社は「出勤簿は虚偽申告」なので、残業代は払わないとした
〇 社員は裁判を起こした
そして、裁判所は
〇 もし、虚偽ならそれを【会社が】証明しなければならない
〇 証明できなければ、出勤簿の記載を採用
としたのです。
実際に社員の申告が虚偽だったかどうかは別にして、
会社が証明できなかったので、社員が勝訴したのです。
もちろん、こういう証明はその日その日で記録し、
証明しなければなりません。
そもそも、社員の出社時刻、退社時刻を管理することは
会社の責任なのです。
これを社員任せにした場合、
時間管理を放棄しているとされても仕方がありません。
この裁判例も早めに調査して注意をすれば、
ここまでのトラブルには発展しなかったでしょう。
しかし、ある程度の期間、放置した上で問題にしているので、
トラブルになってしまったのです。
会社がまず行なうべき対応は「服務規定の明文化」です。
さらに、服務規定に違反した場合、
懲戒処分の対象になることも明示しましょう。
具体的には次の記載となります。
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(出退勤の記録)
第〇条 出退勤、外出の際は必ず所定の方法によって、
本人がその時刻を記録しなければならない。
(制裁の事由)
第〇条 従業員が次の各号のいずれかに該当するときは、情状に応じ、
譴責、減給又は出勤停止とする。
また、悪質の場合は別途の処分も検討とする。
<中略>
虚偽の申告、届出を行ったとき
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この記載が無いと、虚偽の申告で懲戒処分をしたとしても
処分無効の訴えをおこされる可能性もあるのです。
それから、「虚偽の申告かどうか」を調査をする場合に
注意する点があります。
それは、上司が虚偽の申告をした場合です。
この場合、告発をしたのがその上司の部下の場合、
この社員を保護しなければなりません。
なぜならば、部下が上司の不正を告発した場合、
上司から嫌がらせ、不当評価を受ける可能性があるからです。
だから、会社としては
○ 告発した社員が誰かという事実を「絶対に」秘密にする
○ 虚偽の申告をした上司を異動させる、降格する、解雇する
という対応が必要になります。
この対応は慎重に行いましょう。
ちなみに、
○ 同僚にタイムカードを何度も不正打刻させた
○ 再三の注意をしても改善されず、懲戒解雇をした
○ 最高裁まで争い、会社が勝訴
という判例もあります(八戸鋼業事件 最高裁 昭和42年3月)。
このように、虚偽が発覚したらきちんと処罰することが重要です。
もっといえば、不正が行なわれる可能性のある体制そのものにも
問題があります。
不正が行なわれる可能性がある手書きなどは事務効率も悪いので、
この意味からも改善すべきです。
たとえば、
○ 給与計算のソフトと連動したタイムカードを導入する
○ ICカードを使って、出社時刻、退社時刻を管理する
○ パソコンのログイン、ログアウトの時間をデータとして採用する
などの方法により、事務効率のアップを図る必要があります。
これらの方法は事務効率のアップだけでなく、
トラブル防止にも役立つのです。
繰り返しになりますが、
社員の時間を管理することは「会社の義務」です。
その義務を果たすための体制、システムの導入は必要ですが、
もちろん100%の保全はできません。
だからこそ大切なのは
○ 不正は絶対に許さない
○ 懲戒処分という厳しい対処をする
という会社の姿勢なのです。
これが再発防止につながるのです。
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