社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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会社からの貸付金と給料は相殺できるか?


2011年6月16日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今回は「会社からの貸付金と給料は相殺できるか?」を解説します。


先日、ある社長からご相談がありました。
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金銭管理にだらしない社員がおり、消費者金融への返済がきついようです。

そこで、会社からお金を貸しました。


しかし、「返済は給料からの天引きで回収する」と話したら、

「それは法律違反で、天引きはできないはずだ」と言い張るのです。

これは本当なのでしょうか? 
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こういう事例に限らず、社員の生活費などのために、

お金を貸している会社は沢山あります。


さあ、法的にはどういう取り扱いになるのでしょうか?

 

たしかに、貸付金と給料の相殺は禁止されています。


この根拠は労働基準法17条に次の記載があるからです。
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使用者は、前借金その他労働することを条件とする

前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
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この条文は「お金を貸したこと=働く条件」とすることを

防止しているものです。


ただし、会社と社員の信頼に基づいて、

生活費などを貸す場合は働くことを条件としていない場合もあるのです。


実際に通達(昭和63年3月14日、労働基準局長通達150号)でも

以下のように記載されています。
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生活資金の貸付と返済について、使用者が労働協約もしくは労働者から

の申し出に基づき、生活必需品の購入等のための生活資金を貸し付け、

その後この貸付金を賃金から分割控除する場合にも、労働することが

条件になっていないことが明白な場合には、この規定(労基法17条)

は適用されない。 
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今回のご相談はこの通達に該当するため、相殺禁止にはあたりません。


しかし、どんな場合でも相殺できるのではなく、

上記の通達も下記のことが前提となっているのです。

 

社員の給料は原則として

○ 通貨で

○ 給料の全額を

○ 社員本人に(直接に)

○ 毎月1回以上

○ 一定の期日に

支払わなければなりません。


法的には給料の「全額」を支払わなければならないので、

給与天引きはこれに反することになるのです。


しかし、以下の2つは例外として認められています。

○ 法令に別段の定めがある場合(税金や社会保険料など)

○ 労使協定がある場合


この2つに該当すれば、給料からの天引きが認められるのです。


このうち、労使協定を締結する場合のポイントは次の3点です。

○ 労働者の過半数で組織する労働組合があれば、その組合と締結する

○ 組合等が無ければ、労働者の過半数を代表する者と締結する

○ この労使協定は労働基準監督署への提出義務は無し

 

これをさらに詳しくみていきましょう。 


貸付金と給料を相殺する場合、 

○ 社員が給料から天引きされることに同意している旨

○ 毎月の返済額、相殺される給料日など

を労使協定に記載しましょう。


ここまで明記すれば問題はありません。

逆に言えば、この作業を怠ると、給料からの天引きはできないのです。

 

ちなみに、労働基準監督署の調査があった場合、

給料からの控除項目があれば、労使協定の有無もチェックされます。


そして、無ければ労働基準法違反で是正勧告を受けることになります。

この部分も注意が必要です。

 

それから、少し話が変わりますが、

社員が会社に損害を与え、損害賠償金を請求する場合もあります。


こういう場合でも貸付金の相殺と同様で、

給料からの勝手な天引きは禁止されているのです。

(関西精機事件 最高裁 昭和31年11月)

 

少額の前借りも含め、社員にお金を貸している会社は多いですが、

その「法的な整備」ができていない会社は沢山あります。


ただでさえ、お金の貸し借りはトラブルに発展しやすい問題です。


金銭消費貸借契約書、借用書に利息を記載することなども含め、

整備すべきことは整備しましょう。


それが労使トラブルを防止する第1歩なのです。

 

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また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

ご注意ください。

 

■編集後記

今年4月の終わりから就業規則に特化したブログを開設しました。

タイトルは「内海正人の『就業規則の相談解決室』」です。


このブログでは、就業規則の条文、就業規則にかかわる通達

などを紹介してポイントを解説しています。


どうぞ、ご覧くださいね。

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