社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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給料を支払うルールについて


2011年10月27日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。


本日の新聞報道で「ノキア所長の過労死認定、接待は業務の延長」

という記事がありました。


この記事によると

〇 ノキア大阪所長が接待中にくも膜下出血で死亡

〇 原因は過労ではないか?

〇 大阪中央労働基準監督署は労災認定せず

〇 遺族がこれを不服とし裁判へ

〇 大阪地裁の判断は労災

となったのです。


今回の裁判で注目すべきところは

〇 接待は業務の延長と判断された

〇 接待中の会話の内容まで踏み込んだ

〇 携帯電話の電源は24時間オンにしてあった

などの「新しい考え方」が導入されています。


今までは「接待=業務外」とされていましたが、

接待中の会話の内容まで踏み込み、業務の延長としたのです。


もちろん、あくまでも地裁の判決なので、

最高裁の判決ほど影響を与えるものではありません。


しかし、この裁判で今後の労災認定の基準が変わるかもしれませんね。


現実問題として、接待中に仕事の話をしないことはありません。

また、死亡しなくても、過労で倒れることはあります。


今後は「接待、過労、労災」ということも意識して、

労働環境の整備をすることが必要になってきます。


ここは就業規則の改定なども含めて考えるべきですが、

別の機会にきちんと取り上げます。 

 


では、1分セミナーにいきましょう。

今回は「給料を支払うルールについて」を解説します。

 

給料は社員が生活するための糧(かて)となっています。


そして、働いた後に支払われる後払いが大半なので、

会社は確実に支払わないといけません。


そこで、法律では「直接本人に対し、通貨で、その全額を支払う」

としたのです。


この「通貨で支払う」ということは「現金で支払う」ということです。


逆に言えば、自社の商品などを支給しても給与にはならないのです。

これは小切手、手形なども同じで認められていません。


あくまでも「現金」で支払うことが必要なのです。

もちろん、現金の手渡しではなく、銀行振込もOKです。

 


ただし、銀行振込の場合、

会社が「勝手に」給与を社員の口座に振り込むだけでは違法となります。

 

銀行振込を利用することにつき、社員の同意が必要なのです。


形式的には入社時に社員から口座指定書をもらい、

同意を確認した方がベストです。


ただし、

(1)社員が入社する

(2)会社が指定した銀行で口座を開設するように指示

(3)新入社員が口座を開設

(4)通帳のコピーなどを会社に渡す

(5)これを以って、同意とみなす

ということも多いでしょう。


この方法は形式的にはベストではありませんが、

法的には問題の無い方法です。

 


それから、振込口座は「本人名義」の口座となります。

当然ですが、妻名義や子供名義の口座に振込むことは許されません。


また、給料日に給与明細書等を交付する義務もあります。


さらに、厚生労働省の通達で
-----------------------------------------------------------------------
給料日の午前10時頃までには引き出し可能なように、

実施する必要がある。
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となっています。


補足的な部分ですが、ここも確認しておきましょう。

 


ここで、給料日が休日の場合の取り扱いに関する注意点を取り上げます。


この場合、給料日を繰り上げるか、繰り下げるかは

会社の自由となります。


そして、この取り扱いは就業規則にその旨を記載します。


具体的には以下のように記載しましょう。

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(賃金の支払方法)

第〇条 賃金は通貨で直接本人にその全額を支払う。

ただし、従業員との書面協定により、従業員が希望した場合は、

その指定する金融機関等の口座への振込みにより賃金の支払いを行う。


(賃金の計算期間及び支払日)

第〇条 賃金は、前月21日から当月20日までの分について、

当月25日に支払う(日にちは任意です)。

ただし、賃金支払日が休日にあたるときは、その前日に支払う。
-----------------------------------------------------------------------


それから、税金や社会保険料は法令で定められているため、

給料から「控除する義務」があります。


しかし、これら以外のものを控除する場合、

「賃金控除協定」が必要なのです。


だから、この協定が締結されていない状態で、

社員の給与から控除することは労働基準法違反となります。


ちなみに、この協定は会社と社員の代表が書面で締結するものです。


たとえば、控除するものとして

〇 労働組合費

〇 昼食代

〇 共済費

○ 社内預金、財形貯蓄の積み立て 

などがあります。


さらに、給与からの控除に関する注意点です。


それは

○ 社員が会社のお金を使い込んだ場合

○ 重過失により、会社に損害を与えた場合

など、会社に損失が生じる場合です。


この場合でも、給料から「勝手に」控除してはいけません。


たとえば、下記の判決などもあります。

〇 関西精機事件 昭和31年11月 最高裁

〇 日本勧業経済会事件 昭和36年5月 最高裁


この2つの裁判は

○ 社員の背任行為等に伴う損害を給与から「勝手に」相殺した

○ 相殺については違法と判断された

ということです。


こういう場合でも社員からの同意をもらう必要があるので、

ご注意ください。


このように、給料の支払いに関しては様々なルールが決められています。

補足的な内容も含めて、今回のメルマガで確認しておいてくださいね。

 


それから、遅刻、早退、私用外出などの場合の取り扱いについて、

よくご質問を頂きますので、ここで回答いたします。


こういう場合、この時間に応じて給料を減額することは適法です。


極端な話をすれば、「1分遅刻したから1分に対する給料の減額」

は法的にもOKなのです。


ただし、ここまでの運用をすると管理が煩雑になるので、

「30分超の遅刻をしたら、30分に対する給料の減額」

などの運用が現実的でしょう。


また、「遅刻を3回したら、懲戒処分として、半日分の給料の減額」

などの措置もOKです。


ただし、この場合は就業規則に懲戒処分の規定を設ける必要があります。

 


給料のことは何かとトラブルに発展しやすい要素を含んでいます。


だからこそ、細かいことも確認し、

会社に合わせたルールでの運用が必要なのです。


今回のメルマガを踏まえ、就業規則や賃金規定をご確認くださいね。

 

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(株)日本中央会計事務所・日本中央社会保険労務士事務所
取締役・社労士 内海正人(うつみまさと)
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また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

ご注意ください。

 

■編集後記

先日、お客様と新宿の「新宿ホルモン」という店で焼肉を食べました。

また、お肉を七輪で焼いて食べるので、雰囲気満点でしたね。


そして、締めはハヤシライス(笑)。


まさに「The 昭和」という感じで、

店にはレトロな自転車も置いてありました。


その様子はこちらです。

http://ameblo.jp/utsumisr/entry-11058081509.html


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