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2012年2月16日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
今回は「経歴詐称で解雇できるか?」を解説します。
「経歴詐称」というとピンとこないかも知れません。
しかし、
「ソフト開発の技術者として採用したが、実際のスキルが無く、
使い物にならない・・・。」
こんな話は本当によく聞きます。
実際、今年になってからだけで
何件も似たケースのご相談を頂いています。
このような場合、経歴(スキルなども含めて)を
どの程度偽っていたら解雇が可能でしょうか?
まず、解雇の論点を考える前に、
入口である採用についてみてみましょう。
会社は自由に「誰を雇うのか」を決めることができ、
書類選考、面接などを実施して採用を決めます。
その時に応募者は会社に対して
「本当のこと」を告げる義務があるのです。
しかし、採用されたいばかりに、
○ 経歴詐称をする人
○ スキルなどに関してオーバートークしてしまう人
もいます。
しかし、これらの行為が発覚したからといって、
すぐに解雇はできません。
合法的な解雇とするためには、必要な条件があるのです。
逆に言えば、この条件を満たさなかったために、
解雇が無効になった下記裁判もあります。
〇 マッサージ業の従業員が年齢を偽った(大阪地裁 平成6年6月)
→ 「昭和9年生まれ」を「昭和21年生まれ」と偽った
〇 自動車学校のバス運転手が刑罰歴を隠した(名古屋地裁 昭和56年7月)
→ 採用から18年前の窃盗罪の刑事罰を隠していた
この2つの裁判から言えることは、
「経歴詐称をしたからといって、今の仕事に影響が出るわけでは無い」
ということです。
これは経歴詐称しようがしまいが、
担当している仕事に影響が無ければ、解雇は無効ということです。
ということは、担当している業務に支障があれば、
解雇が認められるということです。
実際の裁判例をみてみましょう。
<グラバス事件 東京地裁 平成16年12月>
〇 システム開発のために社員を採用
〇 社員は「担当する業務に関する」プログラミング能力が無かった
〇 採用時の経歴書にはこの能力があるかのように記載
〇 採用面接時にも「できます」と説明
〇 会社は懲戒解雇を実施
○ 社員がこの決定を不服として裁判となった
そして、裁判所は
〇 社員は「担当業務に関する」プログラミング能力は無し
〇 会社はプログラミングができる人を採用したかった
〇 業務にも支障がでた
〇 就業規則の懲戒解雇事由に該当(重要な経歴の偽りにより採用された)
とし、懲戒解雇を有効としたのです。
このように、
○ 経歴詐称、オーバートークの程度
○ 業務に支障が出ているかどうか(重要)
によって裁判所の判断が異なります。
繰り返しになりますが、
業務に支障が出ていなければ、解雇は難しいのです。
本来は内容が何であれ、
経歴を詐称するような人を採用すべきではありません。
しかし、その全てを面接等で見抜けないのも事実です。
だから、事前対策として、
就業規則の懲戒解雇事由に「経歴詐称」の内容を入れるべきです。
そして、その事実が明白になった場合は下記の対応をしましょう。
〇 経歴詐称の事実確認のための書類の作成、準備
→ 履歴書、職務経歴書、同僚、上司、人事担当者の陳述書
→ 採用担当者の採用面接時の記録
→ 本人が認めた場合の経歴詐称を認める上申書
〇 経歴詐称によって業務に支障が出た場合のクレームの文書化
経歴詐称、スキルのオーバートークは
業務に影響が出る場合もあります。
特にご注意頂きたいことは、応募者が高学歴の場合、
「高学歴だから、当然できるだろう」と思い込んでしまうことです。
しかし、高学歴であっても、仕事ができない人はできません。
だから、面接時に履歴書、職務経歴書、言動、態度に
「あれっ?」と【少しでも】感じた時は
その理由を放置せず、必ず確認してください。
経歴詐称、オーバートークを見抜く第1歩がここにあります。
そして、就業規則も整備し、
「経歴詐称は解雇」という規定を盛り込んでおくのです。
この問題は気づいていないだけで、
皆さんの会社でも起きているかもしれません。
また、今は大丈夫でも1年後に起きるかもしれません。
実際、私のところには複数の会社から
同じようなご相談があるわけですから・・・。
「就業規則の整備」と「面接でのチェック」
を忘れないようにしてくださいね。
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■編集後記
先々週、大学のクラブのOB会に参加しました。
卒業して20年以上経ちますが、
当時在籍したクラブが存続しているのは嬉しいことです。
挨拶をして卒業年度を言ったら「おーー!」と歓声が上がりました。
現役生が「私はまだ生まれてません」とのこと・・・。
時代が変わっても共通の話題があると意外と話が盛り上がりますね(笑)
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