社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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私用メールの禁止について


2012年2月23日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。


先々週、雇用保険料率の変更についてお伝えしましたが、

本日は労災保険料率の変更も決まりましたのでお知らせします。


ご参考になさってくださいね。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001y630.html 

 


では、1分セミナーにいきましょう。

今回は「私用メールの禁止について」を解説します。


パソコンの普及、インフラの発達で以前と比べ、

仕事の状況は大きく変わりました。


しかし、それに伴い、社員が就業時間中に私用でメールしたり、

インターネットを使ったりすることも増加したのです。


実際に、私のお客様からも

○ 社員が勝手に私用メールを送っていて困る

○ 仕事中なのに、業務と関係ないWEBページを見ている

などのご相談もよく頂きます。


これは「就業時間内に私用でメールやネットを利用することを制限したい」

ということなのです。


中には、社員がどのホームページを見ていたかなどのログを記録し、

いつでもチェックできる仕様になっている会社もありますが・・・。


本来、社員は労働契約に基いて仕事をしています。


そして、労働契約では「職務に専念する」という義務が課せられています。


だから、「この義務に違反しているのでは?」と

問題になることがあるのです。


これに関し、

過去に争われた裁判(私用メールを理由とする解雇が争点)があります。


<グレイワールド事件 平成15年9月 東京地裁>

〇 社員が1日2通程度、私用メールをしていた

〇 会社がそれに気が付き、解雇とした

〇 社員は「解雇は無効」と裁判に訴えた


そして、裁判所は

〇 私用メールは1日2通程度なので職務遂行の支障とならず

〇 就業規則に私用メールを禁止する規定がない

〇 労働契約に基づく職務専念義務違反にならない

と判断し、会社が敗訴したのです。


この裁判で注目するところは、

「就業規則に私用メール禁止の規定がない」ことを重要視した点です。


逆に言えば、就業規則に「私用メール禁止」と記載されていれば、

結果が変わったのかも知れません。


もちろん、実際に争われれば、

私用メールや業務とは無関係のインターネット使用が

どの程度、業務の妨げになっているかもポイントになるでしょうが。


だから、私用メールや業務に無関係のインターネット使用を

禁止したいならば、就業規則等にその旨の規定を設けることが重要です。


具体的な記載例は下記となります。

--------------------------------------------------------------------
第〇条 会社に属するコンピュータ、電話(携帯電話を含む。)、

ファクシミリ、インターネット、電子メールその他の備品を無断で私的に

使用してはならない。
-------------------------------------------------------------------- 

 


ここで、注意すべき点が1つあります。


それは「私用メールのチェック」と「プライバシーの侵害」

という問題です。


確かに、過去の裁判でも「会社のメールでもプライバシーはある」と

判断したケースもあります。


しかし、パソコンなどは会社がお金を出して購入したものです。


それなのに、業務をサボって私用メールをし、

さらにプライバシーまでも主張されては困ります。


ここを保全するためには、

就業規則等に「会社がメール等を調査する旨」を記載するのです。

--------------------------------------------------------------------
(電子メール検査)

第〇条 会社は必要に応じて、その理由を明示のうえ、会社アドレスに

限らず、会社が貸与した携帯電話、パソコン、その他情報関連機器を利用

するすべての電子メールの内容、及び相手先の検査を行うことがある。

この場合、従業員はこれに応じなければならない。
--------------------------------------------------------------------


この条項があれば、プライバシーの侵害を主張されることなく、

メールの調査が可能となります。


そして、私用メールが多数であれば、制裁も可能となります。


逆に、この記載が無ければ

業務上の必要性、合理性が無ければ調査はできないでしょう。


もっとも、業務上の必要性、合理性がなく調査することはないのでしょうが、

その分岐点は曖昧な考え方になります。


だから、基準を明確にしておくことが重要であり、

事前に記載があり、理由を明示さえすれば、

「無条件」に調査が可能なのです。


この場合は調査の理由の是非も問われません。


ましてや、プライバシーの侵害という問題に発展することは無いでしょう。

 

今日のテーマはとても重要な問題です。


「たかがメール」とお考えかもしれませんが、

世の中で問題となっている会社の情報漏えいは

メールが原因ということもよくあるのです。


マスコミに報道されているのは一部であり、

実際にはもっと多くの情報漏えいが起きているのです。


もっといえば、情報を漏らした本人自身が

情報漏えいの意識すら無い場合もあります。


会社の内部文書を友人に「参考資料」として送ってしまった、

という事例もあります。


業務とは無関係のことをインターネットで検索していてウィルスに感染し、

会社全体のパソコンがおかしくなったという事例もあります。


結果として、私用メールや業務とは無関係のインターネット検索は

危険な要素をはらんでいるのです。


だから、上記2点の条項を就業規則などに記載するとともに、

社員に情報の大切さを伝え、会社を守ることが重要なのです。


皆さんの会社の就業規則もご確認くださいね。


それから、

○ 就業規則のひな型はどれがいいですか?

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というお問い合わせもよく頂きます。


メルマガでは個別的にしか解説できないので、

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敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。


また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

ご注意ください。

 

■編集後記

先日の日曜日、猛烈な腹痛に襲われました。


身動きが取れないので救急車に乗せられ、病院へ(滝汗)。


レントゲン、CT検査等をしてもらい「腸閉塞」と診断されました。


また、丸一日以上、食事が取れなかったので点滴をしてもらうと、

痛みが治まり、事なきを得ました。


「超閉塞」的な気分になりました(笑)。


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