社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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社外での労働時間の取り扱い


2012年2月 9日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人



おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

本題の前にお知らせです。


平成24年度から雇用保険料率が改正されます(0.2%引下げ)。


詳細は厚生労働省のHPに記載されていますので、ご覧ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020wyu.html

 


では、1分セミナーに行きましょう。


今日は「社外での労働時間の取り扱い」を解説します。


先日、ある社長から次のご質問がありました。
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外回りの営業マンに関して、就業規則で「所定労働時間働いたとみなす」

と書いておけば、残業代を払う必要はありませんよね???
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言い換えれば、

○ 社外にいる時間が何時間であれ、通常の範囲の労働時間とみなす

○ 残業代は必要ない

という理解でいいですよね???、ということです。


しかし、この理解は危険で、「残業代の支払いは必要」となります。


たしかに、労働基準法38条では

社外での労働時間を通常範囲の労働時間とみなす「みなし労働」

という制度が定められています。


この「みなし労働」とは

〇 この仕事には大体8時間くらい必要

〇 細かい労働時間の計算を省いて、1日あたり8時間働いた事とする

という制度です。


しかし、「外回りの全ての時間=みなし労働」となるわけではありません。


法律では「労働時間が算定しにくいとき」は

就業規則により「所定労働時間働いたものとみなす」としているのです。


たしかに、1日の大半を社外で費やす営業マンは、

会社や上司の目の届かないところで労働しています。


だから、労働時間を正確にカウントする事が困難です。


このように社外の仕事で直接的な命令・監督を受けずに働く場合は

予め決められた「所定労働時間働いたとみなす」ことができるのです。

 


ただし、社外での労働であっても

〇 指揮・監督する立場の上司などが同行している

〇 予め行き先や業務内容などを具体的に指示されている

〇 携帯電話などで命令を受けながら働いている

などの場合はこの「みなし労働」適用されません。


これに関して参考となる裁判があります。


<光和商事事件 平成14年7月 大阪地裁>

この会社での営業マンの時間管理は

〇 営業マン全員に携帯電話を持たせている

〇 営業マンがその日の行動予定表を会社に提出

〇 業務報告は携帯電話で事務所に連絡

となっていました。


そして、残業代をめぐり、

○ 会社は「みなし労働なので、残業代は不要」

○ 営業マンは「みなし労働ではないので、残業代は必要」

と主張したのです。


そして、裁判所は 

〇 会社が予定を提出させ、報告も受けている

〇 全員に携帯電話を持たせている

ので、会社は営業マンの労働時間の算定は可能」としたのです。


つまり、「みなし労働の適用はできず、残業代は必要」

ということです。


今の時代、携帯電話を持っていない営業マンがいるでしょうか?


もちろん、携帯電話だけが判定の基準ではありませんが、

これが大きな要因になったことも事実です。


結果として、労働基準法で「みなし労働」を定めているものの、

今の時代においては実際の認定が厳しいものとなっているのです。


法律と現実のギャップが生じているのです。


昔は携帯電話が普及しておらず、みなし労働制の通達(昭和63年)では

「無線やポケットベル」と記載されています。


しかし、時代の流れで法律の適用範囲が変わってきています。


特に社外の時間管理は、上記判決の考え方が主流となってきています。


ということは、外回りの営業マンに関して、

みなし労働制を認めてもらう事はかなり難しい状況だということです。


もちろん、営業マンの時間管理が難しいことも事実です。


だから、外回りの営業マンの時間管理は、

○ 直行時・・・始業時刻に業務をスタートしたものとみなす

○ 直帰時・・・報告時刻を業務終了時間とする

○ 定額の残業代(月●時間分)を支給する

○ 月●時間を超過した分は残業代を支給する

という制度を導入しましょう。


そして、これを就業規則などに記載し、きちんと運用するのです。


そうすれば、裁判や労働基準監督署の調査になったとしても

「きちんと時間管理をしている」となります。 


今日の内容は時代の流れに伴う「法律と現実の乖離(かいり)」により

起きている問題です。


法律は法律で今もありますし・・・。


だから、社歴の長い会社の社長の中には勘違いされている方もいます。


ご注意くださいね。


もし、ここが指摘されると、

○ 【後から】多額の未払い残業代を支払わなければならない

○ 既に退職した社員からも未払い残業代を請求される可能性がある

ということです。


なかなか景気が回復しない中、

これを支払っていたのでは会社の資金繰りも厳しくなります。


「備えあれば、憂いなし」です。


早めに「営業マンに対する制度と運用の徹底」を見直してみましょう。


事がおきてから見直していたのでは、遅すぎるのです・・・。

 

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また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

ご注意ください。

 

■編集後記

今週は福岡に出張中で、

博多を中心にお客様のところをまわっていますが、とても寒いですね。


昨晩は少し雪も降りました。


出張前は「福岡は暖かいかな」と思っていたのですが、

福岡は日本海に面しているので東京より寒いです。


ちなみに、昨日2/8の最高気温は

○ 東京・・・ 8度

○ 福岡・・・ 3度

でした。


今週の土曜日まで出張なので、

夜は中州でモツ鍋でも食べて、頑張ります!!!


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