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2012年3月29日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
今回は「私用メール、情報漏えいなどの防止策」を解説します。
以前、このメルマガで「情報はメールから漏れる」という話をしました。
現場での情報漏えいの大半はメールからで、
どこまで対策すべきかを悩んでいる会社も多くあります。
私にご相談があった具体的な情報漏えいには
〇 ライバル会社に仕入原価を伝えた
〇 社員、顧客の個人情報を売った
〇 機密情報をライバル会社への転職の材料とした
など、その内容は様々です。
また、インターネットの私的利用に悩んでいる会社も多いです。
例えば、
〇 業務が忙しいと思っていたらチャットをしていた
〇 業務時間中にも関らず、Facebook等のSNSを見ていた
○ 個人アドレスで私的メールのやり取りをしていた
などです。
こういう私的利用から会社のパソコンがウィルスに感染し、
会社のサーバーが止まったという事例もあります。
だから、メールも含めたインターネットの利用に関して、
会社は「業務外のことは一切の禁止」としたい訳です。
しかし、就業規則等に
〇 メール等を私的に利用することの禁止条項
〇 会社の意向でメールチェック等の実施ができる旨
を記載していないと、実行することが難しいのです。
これに関する裁判があります。
<グレイワールド事件 東京地裁 平成15年9月>
〇 就業時間中の私用メールを理由として解雇した(1日2通程度)
〇 社員は「あまりにも厳しい」と解雇無効を裁判所に訴えた
そして、裁判所の判断は下記となりました。
〇 就業規則に私用メールを禁止する規定がない
〇 1日2通程度であれば、業務上の支障にならない
〇 会社にとって、過度のコスト増にはならない
○ 職務専念義務に違反しないので、解雇は無効
この裁判からわかることは、
○ 就業規則等にメール等の私的使用の禁止
○ メールのチェックが可能な旨
という記載の有無で結果が異なるということです。
この記載があれば、
○ 私用メールは禁止
○ 合理的理由が無くても、メールチェックは可能
となります。
しかし、この記載がないと、
○ 私用メールは原則不可だが、軽微な私用メールはOK
○ 合理性がある場合にのみ、メールチェックは可能
となってしまうのです。
だから、就業規則等にメール等の使用規則を設けることが重要なのです。
以下に記載例を掲げます。
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会社は、社員に貸与する情報機器の使用について、次のとおり定める。
1. 会社の情報機器であること
(1) 会社は業務遂行のための情報機器を保有しており、
いずれも会社の財産である。
(2) 会社の情報機器で作成、送受信された内容も、会社の財産であり、
社員の財産ではない。
2. 社員の遵守義務
(1) 会社の情報機器は、私用に使ってはならない
(2) 会社の情報機器は、商業、宗教および政治的理由、外部の組織の
ため、あるいは業務に関連しないことに用いてはならない。
(3) 会社の情報機器は、中傷的、破壊的な表現内容を作成するために
用いてはいけない。
(4) 会社の情報機器を利用して、事前の許可なく著作権、企業秘密
企業の財務情報およびこれらと同様の資料、情報を送受信しては
ならない。
3.社員のプライバシーはないこと
情報機器を使って取得あるいは送受信したいかなる情報もその社員
にプライバシーはない。
情報が消去されても、会社はその情報を復旧することもある。
パスワードの取り扱いも同じとする。
4.会社の権利
会社は、会社の情報機器を使って作成、送受信されたいかなる情報
内容も、検閲、検査、傍受、利用、公開する権利を持つ。
業務目的で取得された音声、電子メールは、社員の許可なしで公開され
ることがある。
5.他の社員の遵守義務
当該情報機器を使った情報は、同機器の使用者によってのみ利用され、
他の社員には機密として扱われる。他の社員がその情報を取得すること
を禁止する。
6.違反した場合の対応
本規程に違反するか、あるいは不当な目的のために会社の情報機器
を使用した場合は、解雇を含めた厳重な制裁処分の対象となる。
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このように就業規則等に記載しておけば、
〇 情報の取り扱い
〇 情報の漏えい
〇 メール等の不正使用
の問題が発生しても、対応が明確になります。
マスコミでも個人情報の流出が常に報道されていますが、
こういう規定がない会社も多く存在します。
間違いなく、これからも個人情報の流出事故は起き続けます。
だから、皆さんの会社がやるべきことは、自社で起きないように
事前対策をしっかりとやっておくことです。
ちなみに、事前対策としては、下記のようなものが考えられます。
○ インターネット環境の整備
→ 例:ウェブの閲覧履歴の記録ができる設定にする
○ サーバー内での管理者権限のレベル分け
→ 例:管理者しかアクセスできないフォルダの作成
○ 社外に持ち出すパソコン、USBにはパスワードをかける
→ 仮に落としたとしても、情報漏えいは防げる
○ 必要に応じて、メールをチェックする旨の周知
→ 罰則も含めて、説明しておく
○ 就業規則などの整備(上記参照)
もちろん、中にはコストがかかるものもありますが、
会社の状況に応じて、やっておくべきことはやらないといけません。
情報漏えいに限りませんが、
多くの会社では事故が起きてから、対策を講じます。
事が起きてから、私にご相談があり、お話しをお聞きしていると、
○ 「なんとなく、いつかは起きるかも」と思いながらも流されていた
○ うちの社員がそんなことする訳がないという性善説に立ち過ぎていた
ということは「本当によくある話」なのです。
「うちの子に限って」的な話はビジネスにおいても同じなのです。
信用すべきことと対策しておくことは【別次元の問題】です。
ここを混同したまま走ることは非常にリスキーなことなので、
やるべきことはやっておきましょう。
流されている会社だからこそ、いつか事故が起きるのです。
社員相互間においても同じですが、
一定の牽制というか、パワーバランスが取れているから、
事故がなく進んでいけるのです。
ここを勘違いしてはいけないのです。
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ご注意ください。
■編集後記
先日、「週刊スパ」という週刊誌のインタビューを受けました。
もちろん、グラビアでありませんが(笑)、顔写真は載っています。
30代男性向けの雑誌ですが、
そこで上司と部下のコミュニケーションについてコメントしました。
今週3/27(火)発売号なので、是非、ご覧くださいね。
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