社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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給料を下げるときの注意点


2012年3月 1日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。


では、1分セミナーに行きましょう。

今日は「給料を下げるときの注意点」を解説します。


社員の給料設定に関するご質問を頂くことは多いのですが、

特に多いのが下記の問題です。


○ 景気の良い時に給料を上げ過ぎた

○ 社員の希望を聞き過ぎて、給料を上げ過ぎた

○ 同業他社との人材獲得競争が激化し、給料水準が上がり過ぎた

○ 業績が好調な時に特別手当を付けて、そのままになっている

などです。


昨今の経済状況では給与負担が重く、

本音では「給料を下げたい」と思っている会社も沢山あるのです。


しかし、労働基準法では「労働者が不利になる改定はNG」と

なっているので、会社が一方的には変更できないのです。 


そんな中、ある社長からこんなご相談を頂きました。

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当社の業界では価格破壊が進み、業績がおもわしくありません。


そこで、生き残りをかけた経費削減の一環として、

社員の給料引き下げを考えています。


どのようなことに注意すべきでしょうか?
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再確認ですが、会社が一方的に給料を切り下げすることは

法的に認められていません。


しかし、合理的な理由があれば、例外的に認められていますが、

社員の同意は必要となります(多数決などでOKの場合もあり)。


この「多数決などでOKの場合もあり」というのは法的な話ではなく、

裁判例でそう認められている事例もあるということです。


当然、その同意を取り付ける際には

○ 給料を下げる理由

○ 不利益となる部分

○ 現状の給与水準を維持する経過期間

などを十分な時間をかけて社員に説明する必要があります。 


実際の作業としては、

○ 就業規則や賃金規程を変更して、給料の改定案をつくる

○ なぜ改定するのかの理由を全社員に説明

○ 改定前と改定後の給料がどうなるのかを全社員、各人ごとに説明

○ 各社員から同意書をもらう

となります。


ここで重要なことは

○ 変更する合理的な理由をきちんと開示すること

○ 十分に時間をかけた説明会を実施すること

です。


これに関して参考となる裁判があります。


<三井埠頭事件 平成12年12月 東京高裁>

○ 同社は資金繰り悪化で会社更生法の適用を受けた

○ 管理職全員の給料額の20%を会社が同意を得ないままカット

→ 一方的ではあるが、通知は出した

→ カットの意思表示はしたが、同意は取っていない

○ このうち3名が給料の減額には同意していないと裁判に訴えた

○ 一審(東京地裁)で会社が負け、会社は控訴した


そして、高裁の判断は

○ 給料カットの通知という手続きは必要なこと

○ 通知だけでは足りず、社員の同意が確認できない

○ 一方的な給料カットは許されない

として会社が負けたのです。


さらに、カットした給料の支払いだけでなく、

損害賠償金の支払いまで認めたのです。


会社更生法の適用を受ける状態まで痛んだ状況であっても、

社員の同意を必要としたのです。


だから、給料を下げる場合は、理由の説明には多くの時間を割き、

誤解の無いように進めることがとても重要なのです。

 


それから、よくある質問に

「何%までならカットしてもOKですか?」というものがあります。


これに法的な基準はありませんが、

労働基準法の「制裁」のための給料カットの上限は10%です。


だから、10%が「1つの基準」となります。


実際、労働法に詳しい弁護士さんも同様にお話しされており、

私もこの意見に賛成です。


もちろん、10%の給料カットでは経営がもたない場合もあるでしょう。


こういう場合は、

○ 10%を超える給料をカットしてでも雇用を維持する

→ 社員の同意が必要であることは同じ

→ 裁判になった場合は、10%超とした合理性の説明が必要

○ 給料カットだけではなく、整理解雇(リストラ)を実施する

○ 金融機関からの返済条件の交渉(=リスケ)

なども検討しましょう。


なかなか業績が回復せず、

人件費に手をつけるしかないという場合もあります。


しかし、そういう場合だからこそ、適正な手順を踏むことが大切です。 


もし、裁判になり、上記のように損害賠償金まで支払うことになれば、

「泣きっ面に蜂」という状況になってしまいます。


もちろん、社員全員の同意が取れればベストです。


しかし、それが無理でも

多くの社員(多数決など)が同意してくれればOKとの裁判例もあります。


そこはケースバイケースですが、 

「準備 → 説明 → 改定」という手順を踏むことが大切なのです。  

 

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ご注意ください。

 

■編集後記

昨日は東京もうっすらと雪景色でした。

そんな中、私は日帰り出張で会津若松へ行ってきました。


猪苗代湖付近を磐越西線で通った時は、外は真っ白・・・。

駅の表示も雪で半分しか見えませんでした。


猪苗代駅、会津若松駅はこんなところです。

http://ameblo.jp/utsumisr/entry-11178959330.html


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