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2012年6月15日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
今回は「就業規則はいつから有効となるのか?」を解説します。
お客様の就業規則を作成していて、
「就業規則はどの時点から有効になるのですか?」
とご質問を頂くことがよくあります。
具体的回答の前に、
まずは就業規則が完成したらどのような流れになるかをみてみましょう。
就業規則を作成したら、即、労働基準監督署に提出とはならず、
次の手続きとなります。
1、社員に原案を見てもらう
2、代表社員を決め、原案に対しての意見をまとめる
3、代表社員から会社へ意見書を提出してもらう
→ 代表社員の署名または記名と押印が必要
4、就業規則に意見書を添え、所轄労働基準監督署に提出
5、就業規則の内容が誰でも閲覧できるようにする
→ PDFなどをサーバーに保存している状態でも可能
この場合、多くの会社では
「就業規則は労働基準監督署の受付印が押印された時から有効」
と考えていますが、これは間違いです。
受付印は関係なく、「就業規則を社員に周知させた時から有効」なのです。
そして、周知の方法は法律で決まっています。
それは、
○ 常時、各作業場の見やすい場所へ掲示、または、備え付ける
○ コピーを社員に配布する
○ パソコン等で常時確認できるようにする
となっています。
ここで1つだけ注意点があります。
ここでいう「各作業場」とは、
簡単に書けば、「建物ごと」という意味になります。
たとえば、同じ営業部でも営業1課はAビル、営業2課はBビルという場合、
就業規則はそれぞれの課に備え付けなければならないのです。
それぞれに掲示、若しくは備え付けなければならないのです。
これに関する裁判が以下となります。
<フジ興産事件 最高裁 平成15年10月>
○ 社員が客先でトラブルを発生させたり、上司の指示に従わなかった
○ 会社は就業規則の規定どおりに社員を懲戒解雇とした
○ 社員は解雇以前に会社に就業規則が存在はするが、
自分の作業場に掲示等がされていないことを確認していた
○ 社員は就業規則が見れない状態なので、解雇は無効と裁判を起こした
そして、裁判は最高裁まで行き、その結果は以下となったのです。
○ 会社が社員を懲戒するには、あらかじめ就業規則において
懲戒の種類および理由を定めておくことが必要
○ 就業規則が有効となるためには、社員に周知させる手続きが必要
以上の結果となり、社員側が勝訴したのです。
だから、就業規則は社員に周知して「初めて」効力が発生し、
会社の金庫などに保管しているだけでは駄目なのです。
ということは、何かトラブルがあった場合であっても、
懲戒処分すらすることが違法となってしまうのです。
最高裁の判決により、
「周知させた時から効力が発生」とクリアになったのです。
それから、もう1つのポイントがあります。
それは「何をもって周知があったといえるか」です。
○ 事務所に就業規則を設置すれば、周知といえるのか?
○ 社員を集めて説明会を開催しなければならないのか?
などのご質問を頂くこともよくあります。
これは日音事件(平成18年 東京地裁)で参考になる部分があり、
下記のように定義されています。
周知とは
○ 大半の社員が就業規則の内容を知っている
または、
○ 社員が就業規則をいつでも見られる状態にある
ということです。
具体的な「例」としては、
○ 社員全員に就業規則が配布されている
○ 就業規則が各作業場の書棚などにあり、いつでも見られる状況にある
→ いつでも見られる状態なら、管理職の机の中でもOK
→ サーバーなどのPDFファイルを保存しておくことでもOK
などとなっています。
日音事件では「周知」の定義の1つに
「大半の社員が就業規則の内容を知っている」があります。
しかし、「社員1人1人が就業規則を理解しているか否か」
を検証するのは大変ですし、現実的ではありません。
だから、もう1つの定義である「いつでも見られる状態」
を作っておくことが重要なのです。
どんなに立派な就業規則を作成しても、金庫に保管していては、
「周知させていない → 何の効力も無い」となるのです。
就業規則は「会社を守るために必要なツール」です。
私が就業規則の作成をする場合も
「何かあった場合に、いかにして会社を守るのか?」
ということをメインに考え、作成します。
しかし、今回の周知などのような運用がうまくいっていないと、
全てが「水泡と化す」ということもあり得るのです。
このメルマガで何度もお伝えしていますが、
「形式と運用」の両輪が回って、初めて会社を守ることができるのです。
今日は「周知」という運用面からの解説をしましたが、
もちろん、形式も重要です。
当然ですが、形式あっての運用なので、これにモレがあったのでは、
どんなに運用をきちんとしても意味がありません。
また、「どのひな型がいいですか」などのご質問を頂くこともありますが、
市販のひな型を改定することは危険です。
なぜならば、「会社のリスクヘッジ」という観点から
作られていないからです。
これを使用しても、形式的な就業規則しかできないのです。
だから、会社のリスクヘッジを考えたひな型であれば、
下記DVDのひな型をご覧ください。
テキストが3冊あるのですが、
その中の1冊は「私が実際に現場で使用しているひな型(91条)」です。
これをお客様に応じて、カスタマイズしています。
そのカスタマイズの方法、注意点などをDVDの中で解説していますので、
是非、ご覧ください。
<お客様の声>
● 熊本県熊本市 ハウスアンドホーム株式会社 代表取締役会長 南博 様
就業規則は知っているようで、上っ面だけの理解でした。
また、改めてオーダーメードでなければならない事がわかりました。
● 東京都渋谷区 株式会社アーネスト 営業管理部リーダー 矢口奈々絵 様
就業規則をこれから作っていく上で、労働局のサンプルを調べていましたが、
どこまでが法律で決まっていて書かなければならないか?
会社の実態と合っているか?がわからなかったが、
セミナーを受けスッキリしました。
● 東京都文京区 社会保険労務士 増井いづみ 様
同じ社会保険労務士として"内海先生の就業規則作成上の考え方"を
勉強させていただく目的で参加させていただいたのですが、
たくさんの気付きが得られ、大変満足のセミナーでした。
◎ 就業規則の徹底対策DVD
http://www.success-idea.com/037001/
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(株)日本中央会計事務所・日本中央社会保険労務士事務所
取締役・社労士 内海正人(うつみまさと)
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ご注意ください。
■編集後記
先日ある社長から外国の残業代についてのご質問をお受けしました。
日本は残業代の割増率は25%、休日出勤の割増率は30%です。
しかし、アメリカと韓国は50%(残業、休日とも)
イギリス、マレーシア、シンガポールはそれぞれ50%、100%です。
さらに、ドイツも40%程度、60%程度となっています
(各産業分野の協定で決まるので、幅があります)。
この場合、現地での残業は現地での法律が適用されます。
ただし、外国の場合は残業そのものが少なく、
日本の場合は残業が恒常的で、割増率を上げられないとの話もあります。
日本人は勤勉であることを表してもいるのでしょうね。
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