社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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辞めた役員、社員が担当先に営業をかけたら


2012年6月 7日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


皆さん、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 


今回は「辞めた役員、社員が担当先に営業をかけたら」を解説します。


社員がライバル会社に転職し、または、独立し、

当社にいた時代の担当先に営業をかけていて、困っている・・・。


そんな話をよく聞きます。


そして、「規定等で防ぐことはできませんか?」

とご質問頂くこともよくあります。


こういうことを防ぐためには、

まずは就業規則に競業禁止の条項を入れましょう。


以下が条文です。
--------------------------------------------------------------------
従業員のうち役職者、又は企画の職務に従事していた者が退職し、

又は解雇された場合は、会社の承認を得ずに離職後6ヵ月間は

日本国内において会社と競業する業務を行ってはならない。

また、在職中に知り得た顧客と離職後1年間は取引をしてはならない。
--------------------------------------------------------------------

ただし、この条文で対象となるのは

○ 役職者

○ 企画の職務の担当者

だけです。


一般の社員には競業禁止の条文があったとしても、

法的に罰することはできないのです。


なぜならば、憲法の「職業選択の自由」に抵触することになるからです。

 


では、一般社員が退職する際にはどのようにすればよいでしょうか?


多くの会社では退職時に「会社の情報を漏洩しない」等の誓約書

をもらっている事が多いでしょう。


この効果について参考となる裁判があります。


<ダイオーズサービシーズ事件 東京地裁 平成14年8月>

○ 元社員が退職後、在職中の担当顧客へ営業活動を行った

○ 会社は元社員の退職時に秘密保持義務の誓約書を取得していた

○ 元の担当先に営業するのは誓約書に反すると裁判所に訴えた


そして、裁判所は

○ 在職中に知り得た顧客情報、取引内容、価格などの情報を利用

→ この情報を利用しての営業行為は違法

○ 元の担当顧客に営業活動を行ったため、会社が被害を受けた

○ 誓約書記載の重要な機密事項は、経営の根幹に関わる重要な情報

○ 元社員は重要機密事項の内容を熟知していた

とし、会社側が勝訴したのです。


この裁判で注目するところは

「退職後の秘密保持義務が明確になった」という点です。


だから「退職したら関係ない」ということではないのです。

 


ただし、ここで注意して頂きたい事があります。


それは、

「退職時に誓約書さえ取れば、上記のようなことが禁じられる」

ということではないということです。


その前に会社として「秘密保持の対象となる情報は何なのか」

を明確に定義し、その範囲を明示しないといけません。


そのために、下記のような条文を就業規則などに入れるのです。

--------------------------------------------------------------------
第○条 機密文書の区分は、次のとおりとする。

1、「極秘」

  機密文書のうち、秘密保全の必要性が特に高く、

  これが漏えいすることによって、会社に甚大な損害や損失を与える

  おそれがあり、指定された者以外に開示してはならないものをいう。


2、「秘密」

  「極秘」以外の機密文書のうち、これが漏えいすることによって、

  会社に重大な損害や損失を与えるおそれがあり、

  取扱い部署の者以外に開示してはならないものをいう。


3、「社外秘」
  
  「極秘」「秘密」以外の機密文書であり、会社の役職員以外に

  開示してはならないものをいう。
--------------------------------------------------------------------

このように最初に情報の定義、優先順位を明確にし、

きちんと管理することにより、

「誓約書」で退職する社員にこれを守らせることができるのです。


また、どこまで縛るかはともかくとして、

本来は在職中、かつ、業務上で取得した名刺なども

「会社の秘密保持の対象となり情報」と定義づけることもできます。


 ここまでしておかないと、

社員が退職した後の営業活動を防ぐことはできないのです。


このトラブルは業界を問わず、常にあるものです。


しかし、それは就業規則などの規定、誓約書を正しく運用することにより、

防ぐことができるのです。


これはよくあるご質問なので、皆さんも覚えておいてくださいね。 

 

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ご注意ください。

 

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