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2012年7月26日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
今回は「パワハラと指導の境界線とは?」を解説します。
最近、パワハラについてのご相談も多いです。
特に、社長や部長などの経営職の方から
「部下のためを思って注意したのに、『パワハラではないか?』と言われた」
というご質問が多いのが現状です。
もちろん、業務上は「注意する」「叱る」ということは必須ですが、
部下によってはその受けとめ方も様々です。
また、上司自身が「パワハラと指導の違い」を理解していないと、
「法律の落とし穴」に落ちてしまうこともあります。
そこで今回は「パワハラと指導の境界線」を法的にみていきましょう。
まずパワハラの定義をみてみましょう。
パワハラとは、民法の「不法行為」にあたります。
そして、不法行為とは
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害する」
ことをいいます。
そして、この定義に関する裁判もあります。
<富国生命保険事件 鳥取地裁 平成21年10月>
○ 女性マネージャーが上司から他の社員の前で違法行為の有無を
問いただされ、マネージャー失格であるかの言葉で叱責を受けた
○ これが原因で女性マネージャーはうつ病となり退職した
○ この行為は違法だとし、裁判所に訴えた
そして、裁判所の判断は
○ 上司の発言等は女性マネージャーに対する配慮に欠ける
○ うつ病発症についての原因は上司の発言等による可能性あり
○ 慰謝料300万円を認めるのが相当
として会社が負けたのです。
この裁判でポイントとなるのは「うつ病との因果関係」ですが、
「部下の面前での叱責」により「配慮に欠ける」とも判断されています。
ここに注目してみると、同じような裁判例があります。
○ 三洋電機コンシューマエレクトロニクス事件
広島高裁 平成21年5月
・ 人間性否定の表現で、大声で叱責したことは不法行為として認定
・ 慰謝料10万円認めた
○ 天むす・すえひろ事件 大阪地裁 平成20年9月
・ 社長が社員の働きぶりを一方的に非難し、健康状態が悪化
・ 健康を悪化させる言動を繰り返したことは不法行為
・ 慰謝料150万円認めた
これら3つの裁判を比べてみると
○ 上司が部下を他の社員の前で叱責
○ 他の社員にも聞こえるような大声で叱責
等をすると「配慮に欠ける」と判断される可能性が高くなるのです。
もちろん、実際の現場では部下を叱ることはよくあり、
上司の考え方、部下の受け止め方によっては、双方共に「指導」と考えます。
しかし、
○ 他の社員の前
○ 大きな声で叱る
という2要件を満たした場合、話は変わってくるのです。
こういう場合、上司は「指導」だと思っていても、
部下は「パワハラ」と考えるケースも出てくるでしょう。
ただし、労働法に強い弁護士さんとお話していると、
○ パワハラで会社が負けるケースはほとんど無い
○ 裁判官も「パワハラを簡単に認めてしまえば、世の中が回らない」
と知っているのではないか
ということでした。
だから、実際問題として、パワハラが裁判になるケースは少ないのですが、
裁判になれば、上記2要件は論点になってくるのでしょう。
よくあるケースは
「何かしらの問題が起きた場合、怒りがこみ上げ、
思わず、その場で怒鳴ってしまう」というものです。
しかし、これはいけないのです。
もちろん、【敢えて】他の社員の前で「叱る、指導する」ということは
重要なことです。
しかし、その状況、方法を間違えると、
大きな問題に発展することもあるのです。
最も危険なのは他の社員の前で、感情に任せて怒鳴ることです。
こうなると社員も立場が無くなり、そうなった理由も言えなくなり、
さらに、感情的なすれ違いを生むことにもなるのです。
そうなった理由を改善できなければ、
別の社員がまた同じ問題を起こす可能性もあります。
大切なのは、再度の事故が起きないようにすることであり、
上司と部下との関係です。
パワハラのトラブルは、ほとんどが「感情」の問題です。
だからこそ、感情に任せることを避けることがポイントになってくるのです。
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■編集後記
一昨日の日経新聞に「企業年金がこの10年で7割減」
という記事が載っていました。
主な原因は中小企業が加入していた適格年金制度が
今年の3月末に廃止されたことが大きいのでしょう。
私も適格年金の対応を数年前まで実施していましたが、
多くの社長は「運用が追いついていない・・・」と嘆いていました。
多くの会社は年金制度を辞めて退職金制度に変えたり、
企業年金そのものを廃止しました。
AIJの問題もあり、企業年金や退職金の運用はリスクが潜んでいます。
リスクを正確に理解し、
何を選択するかを慎重に判断することが大切ですね。
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