社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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携帯電話が休日に鳴ったら・・・


2012年8月 7日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今回は「携帯電話が休日に鳴ったら・・・」を解説します。

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休日に携帯電話(会社名義)の電源を入れさせている場合、

電源ONの時間も労働時間となってしまうのでしょうか?


また、休日にお客様から携帯に電話があり、

実際に対応した時間は労働時間に含まれるのでしょうか?
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先日、ある社長からこういうご質問を頂きました。


これは業種を問わず、あり得ることですが、

法的にはどう考えればいいのでしょうか?


まず、「携帯電話の電源ONは労働時間か?」について解説します。


もちろん、「携帯電話(会社名義)の電源は休日でもONにしておく」

ということは業務命令である前提です。


仮に、携帯電話の電源ONの時間が労働時間ならば、

法律で定められている労働時間(1週間40時間、1日8時間)を

大幅に超えてしまいます。


そして、割増賃金がドンドン膨らんでいくことになってしまいます。


しかし、労働時間とは「会社の指揮監督下にある時間」であり、

実際の作業をしている時間だけが該当する訳ではありません。


例えば、工場でラインが動き出すのを待っている時間も労働時間です。


システムトラブルで何もできない時間も労働時間です。


しかし、携帯電話の電源ONという状態は会社の業務命令とはいえ、

指揮監督下にあるといえるのでしょうか?


これに関して、労働法に強い弁護士さんに確認したところ、

次の労働基準法規則23条が「参考になる」とのことでした。


この23条には
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○ 断続的な業務は通常の業務とは別の業務

○ この別の業務は一定の労働時間を超えても、残業代が発生しない
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ということが書かれています。


だから、携帯電話の電源を入れているが、

鳴ったら対応するという断続的な業務は「通常の業務」ではないのです。


この場合、「社員に対する場所的な拘束」が大きなポイントになり、

単に携帯電話の電源ONという状態は場所の拘束がないので、

「通常の業務」ではないのです。


これに関して「参考となる」裁判があります。


<大星ビル管理事件 最高裁 平成14年2月>

○ 月に数回、7~9時間の仮眠を含む24時間勤務の警備員という前提

○ このが仮眠時間も労働時間と主張し、残業手当、深夜勤務手当を請求

○ 会社は「仮眠時間の支払いはしない契約」と主張

○ 警備員は裁判所へ訴えた


そして、最高裁は

○ 仮眠中は仮眠室にいることを義務づけられている

○ 配属先ビルからの外出禁止

○ 何かあれば直ちに行動し、対処することが義務づけられている

○ 仮眠時間も労働時間

と判断しました。


この裁判のポイントは「場所的な拘束」となります。


だから、これを携帯電話の話に当てはめると、

電源を入れているだけでは「通常の業務」とはならないのです。


ただし、「通常の業務」ではないとはいえ、

実際に携帯電話で対応する場合もあるので、手当の支払いは必要になります。


また、法律では緊急電話の対応等につき、


○ 相当の手当が支払われている(平均賃金の1/3程度)

たとえば、1時間あたりの平均賃金が900円の人が

10時間、携帯電話をONにしていたら、

「300円×10時間=3,000円」程度の手当が必要


○ 回数は月1回程度

この回数の定義は明記されていないのですが、

電源ONの携帯電話を持っているのが、月1回程度(例:持ち回り担当制)


などであれば、問題無いとされています。


結果として、相当の手当があり、月1回程度の携帯電話の電源ONは

通常の業務にはなりません。


しかし、現実問題として、こういう状況にある会社は微妙な要素を

含んでいることが多いでしょう。


だから、このような運用を実施する場合、

○ きちんと就業規則等に記載すること

○ 手当を支給すること

○ 具体的な運用を明確にし、場合によっては運用の改定

が必要になるのです。


ここは多くの会社からご質問を頂く部分なので、覚えておいてくださいね。

 

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ご注意ください。

 

■編集後記


今年の夏休みはソウルに行ってきます。


3回目のソウルなので、ある程度は慣れていますが、

毎回、新しい発見もあり、楽しみですね。


焼肉、チヂミ、参鶏湯。


美味しいものも多いので、色々と食べてきます!


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