社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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退職勧奨から解雇に進めるための注意点


2012年9月 6日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今回は「退職勧奨から解雇に進めるための注意点」を解説します。


「いつも問題を起こす社員がいるのですが、辞めさせたいのですが、

どうしたらいいでしょうか?」


こういうご相談を頂く機会は多いのですが、

いきなり辞めさせることを検討するのは時期尚早です。


まずは、 

○ 上司の指導

○ 社内、社外での教育

○ 配置転換、職種転換により別のチャンスを与える

などの方法を検討しましょう。


そして、それでも駄目なら次のステップの「社員に退職を勧めること」

を実施するのです。


これが「退職勧奨」です。


指導や教育を十分に実施してきたが、

「もはや問題点が改善されない」と判断される場合はすぐに動きましょう。


この場合、

○ 問題がある事を納得させる

○ 自主的に退職するように勧める

ことが重要です。


ちなみに、退職勧奨に違法性はありませんが、拘束力もありません。


ただし、

○ 脅す

○ だます

○ 執拗過ぎる勧奨

などを行う場合は、違法となる事があるので、注意が必要です。


これに関連する裁判があります。


<全日本空輸事件 大阪高裁 平成13年3月>

○ 客室乗務員が労災により約4年間休職した

○ 復職後、復帰者訓練を受け、模擬演習で不合格と判定された 

○ 不合格のため、客室乗務員に仕事を与えなかった

○ その後、30数回の面談を行い、大声を出したり、机をたたいたりして、

  退職を迫った

○ 3回目の訓練が不合格となった後、

  労働能力の低下等を理由として客室乗務員を解雇

○ 客室乗務員は「違法な解雇」を主張し、裁判所に訴えた。


そして、高等裁判所の判断は下記となりました。

○ 退職強要の期間が4ヶ月

○ 面談の回数が30回

○ 面談時の発言が客室乗務員に向け、「寄生虫」「他のCAの迷惑」など、

  社会通念上、許容しうる範囲を超えている

○ 解雇は無効である、会社が敗訴

 

また、これと似たような裁判があります。


<下関商業高校事件 最高裁 昭和57年7月>

○ 同高校は教師を辞めさせようとして、教育委員会へ出頭させた

○ 教育委員会で「あなたが辞めたら2、3人雇えます」といって

  短期間に11回~13回程度の退職勧奨が実施された


そして、最高裁の判断は「退職勧奨の回数が執拗すぎる」とし、

違法としたのです。


このように退職勧奨は何度も行なってしまうと、違法性が高くなります。


この2つの裁判では退職勧奨や面談の回数が記載されていますが、

これはあくまでも個別事情によるものです。


「何回したら違法」ということは決められていません。


しかし、やんわりと勧めていては辞めないこともあるため、

執拗に誘導してしまうこともあるのが現実です。


しかし、この場合は違法と判断されるのです。


だから、

○ 本人に退職を勧め、意思確認を行う

○ 自主退職について「No」がでたら面談等はストップする

○ 次のステップとして解雇を考える

とするのです。


そして、解雇をするならば、次のことを検証しましょう。


○ 配置転換をし、様子を見たか?

○ 十分な教育、指導を実施したか?

○ 勤務態度の不良(例:遅刻)がある場合、その程度はどのぐらいか?

○ 問題発生の回数はどの程度か?

○ 他の社員と公平に取り扱っているか?

○ 就業規則の懲戒規定にはどのように書いてあるか?

などを検証することが重要です。


裁判で「解雇は有効(=会社の勝訴)」とされる場合、

必ずといっていいほど事前の対応が検証されています。


これはすぐに解雇ということではなく、

問題の程度と改善のチャンスを与えていることを重要視しているのです。


解雇を決断する前には上記のポイントを検証することが重要なのです。

 


結果として、辞めさせたいと思う社員がいたとしても焦らず、

○ 配置転換、指導などを行なう 

○ 退職勧奨をする

○ 解雇を検討する場合は、上記検証を行なう

ということが重要なのです。


そして、上記検証が「解雇するには不十分」と考えれば、

解雇を実施することは一度取り止め、指導等の強化を考えましょう。


不当解雇として争うこととなれば、長い時間がかかり、

精神的にも経済的にも大きな損失となります。


退職勧奨から解雇については一連の流れの中で、

ポイントを抑えて実行することが重要なのです。

 

ご相談を頂く多くの社長さんにこのお話をすると

「頭ではわかっているが、どうしてもクビにしたい・・・」

とお話されます。


気持ちはわかりますが、即解雇となるとトラブルのもととなります。

実際、裁判で何年も争った場合で2,000万円の和解金を支払った

事例もあるのです。


トラブル防止のためにも冷静な判断が必要なのです。

 

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ご注意ください。

 

■編集後記

この編集後記でもお知らせしたとおり、

先月末に北海道マラソン(フル)を走りました。


記録は散々な結果となりましたが、夏の札幌の街を楽しんできました。


札幌テレビ塔、中島公園、北海道大学、旧北海道庁、そして大通公園と、

名所を駆け抜ける事ができて大変満足しています。


しかし、30度を超えるフルマラソンはかなり過酷ですね。


次は東京マラソンを走りたいですが、抽選倍率はなんと10倍・・・。


厳しいですね・・・。 


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