社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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地域採用の社員と事業縮小の解雇


2012年11月 8日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今回は「地域採用の社員と事業縮小の解雇」を解説します。


先日、次のようなご相談を受けました。

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景気が低迷しているので、一部の営業所を閉鎖しようと考えています。

その際に、地元採用の社員がいますが、どうすればよいでしょうか?
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支店や営業所を閉鎖する場合、多くの会社が人員の配転で悩みます。


もちろん、転勤が可能な社員ばかりであれば問題も無いのですが、

「地域限定」で採用した社員が問題になることもあります。


通勤可能な場所に配置転換が可能ならばいいのですが、

転居が伴う場所にしか拠点がない場合もあります。


そんなときにいきなり解雇というわけにはいきません。


そこで、地域限定採用だったとしても配置転換は検討し、

雇用の確保を前提とした対策を立てるべきです。


ただし、

○ 住居はそのままとした場合の配置転換後の通勤時間

○ 転居の可能性

を慎重に判断し、配置転換を検討することが必要です。


しかし、これができない場合もよくあり、

その場合は解雇を検討しなければなりません。


これに関する裁判があります。


<トムス事件 札幌地裁 平成24年2月>

○ 札幌支店の営業事務を合理化するため、統廃合を実施する

○ 札幌支店の営業事務の職がなくなるので、

  会社都合で退職か、東京本社勤務のどちらかの選択を迫る

○ 社員は地域限定採用を主張し、どちらも受けられないと主張

○ 会社は会社都合で退職か、東京本社勤務の選択を再度迫り、

  転勤を拒めば解雇となる旨を説明

○ 納得いかない社員は裁判に訴えた


そして、裁判所の判断は

○ 事業の統廃合は必要なので、事業縮小はやむを得ない

○ 営業事務職の廃止に伴い、人選の余地はない

○ 仕事が無くなっても、すぐに解雇ではなく転勤等の回避努力がみられる

○ 解雇はやむなし

とし、会社が勝訴したのです。

 


ここでのポイントは「リストラをする際の下記の解雇要件」です。


それは

○ 部署閉鎖が企業運営上、やむを得ない必要がある時

→ 上記の裁判では、経営の効率化のため統廃合は必要と判断


○ 閉鎖予定の部署に勤務する社員を他に充当できない場合

→ 上記の裁判では、札幌の仕事が無くなるが東京転勤を代替案として提示


○ 解雇選定の理由が客観的、合理的理由

→ 上記の裁判では、支店での営業事務の仕事がなくなるのでこれに当たる 

となっているのです。


上記のような場合(事業縮小によりやむを得ない場合)、

解雇が認められます。


結果として、この裁判では「地域限定採用だから解雇できない」

ということは大きく問われていないのです。


だから、経営が厳しい場合、リストラによる解雇の要件に該当すれば、

「解雇はやむなし」ということになるのでしょう。

 


ただし、ここで注意が必要です。


上記の裁判では「地域限定採用」が大きく取り上げられていませんが、

これは雇用契約時の勤務地限定が「口頭レベル」の可能性があったからです。


もし、勤務地限定が雇用契約書に明記されていれば

○ リストラによる退職を勧められた場合、特別退職金

○ 転勤命令に対して「転勤手当等」の特別手当

などが要求され、認められる可能性もあるのです。


だから、勤務地限定の社員を雇用する場合、

○ 営業所限定

○ エリア限定

○ 都道府県限定

などの働く場所を明記しましょう。


そして、事業縮小の際の取り扱いなども事前に取り決めて

明記しておくべきです。


具体的には、

雇用契約書に「営業所閉鎖の際は、会社都合の退職となる場合がある」

などと記載しておくことです。


こうしておけば、社員も納得して退職に応じる可能性が高くなり、

トラブル発生の確率が低くなるのです。 


「当社に限って、そんなことは無い」とお話しされる社長もいますが、

いつどこでどうなるかわからないのが今のビジネスです。


ほぼ無いリスクであっても、0.1%でも可能性があるならば、

ヘッジできるものはしておくべきなのです。


明記することによるデメリットは無いのですから。

 


以前にもご紹介しましたが、元内閣総理大臣官房・内閣安全保障室長の

佐々淳行さんの言葉に下記のものがあります。

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危機管理の要諦は、最も悲観的に準備して、最も楽観的に対応すること。

最悪なのは、楽観的に準備して、悲観的に対応すること。
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多くの会社が楽観的に準備して、悲観的に対応しています。


どんな小さなリスクにも備えておくことが重要なのです。

 

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ご注意ください。

 

■編集後記


昨日まで、京都、奈良に行ってきました。


もちろん、仕事ですが、なんか修学旅行みたいですね!


車窓から少し紅葉が見れて嬉しかったです。


そして、秋の深まりを感じました。


特にこの時期の奈良、京都は観光には絶好のシーズンですね。


仕事だけではなく、古都を満喫したいです・・・(涙)。


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