社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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精神疾患からの復職について


2012年11月15日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今回は「精神疾患からの復職について」を解説します。


うつ病等の精神疾患が多いという話はこのメルマガで何度となく

お知らせしてきました。


この中でよく問題となるのが「復職のタイミング」です。


一般の病気やケガは回復の状況が客観的に把握できることが多いのですが、

精神疾患の場合はそうではありません


外見からの判断は不可能なので、医師の判断に委ねるケースとなりますが、

ここで問題となるケースがあります。


それはうつ病等になった社員の主治医の診断書に「復帰可能」と

記載されていても【すぐに】再発したというケースです。


そもそも仕事からのストレスでうつ病になっていることも多いので、

復帰そのものが再発の原因となっていることもあるのです。


このために、復職させる場合は【慎重に】判断することが重要なのです。


なぜならば、

○ 主治医の判断のみで復職させても再発することが多い

○ 社員の症状を会社が実際に確認することができない

というのが現実だからです。


これを防止するためにも就業規則で復職の定義を明示し、

職場復帰までの手続きを確立することが重要です。


以下に参考となる条文を掲載しました。

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(復 職)

第○条 従業員の休職事由が消滅したと会社が認めた場合、

又は休職期間が満了した場合は、原則として、休職前の職務に復帰させる。

但し、旧職務への復帰が困難な場合又は不適当と会社が認める場合には、

旧職務とは異なる職務に配置することがある。


2 休職中の従業員が復職を希望する場合には、

所定の手続により会社に申し出なければならない。


3 休職事由が傷病等による場合は、休職期間満了時までに治ゆ

(休職前に行っていた通常の業務を遂行できる程度に回復することをいう)

又は復職後ほどなく治ゆすることが見込まれると

会社が認めた場合に復職させることとする。


また、この場合にあっては、必要に応じて会社が指定する医師の診断

及び診断書の提出を命じる場合がある。
--------------------------------------------------------------------


この条文での重要なポイントは

○ 復職は本人の申し出

○ 復職を認める場合は会社の判断

○ 会社指定の医師※の診断を命じる場合あり

※ 本人の主治医でないということがポイントです。

という部分です。


あくまでも主導権を会社が握っていることが重要です。


しかし、この話をすると、

「会社指定の医師の診断が本当にポイントとなるのでしょうか?」

とご質問を受けることが多いです。


これに関連する裁判が以下です。


<建設技術研究所事件 大阪地裁 平成24年2月>

○ 社員が長時間労働のため、うつ【状態】※となる

※ うつ状態とうつ病の違いに関しては後で解説します。

○ 有給休暇を使い、自宅療養を行う

○ 有給休暇を消化し、欠勤となったので産業医の診断を受けさせた

○ 就業可能と診断されるも、その後、社員は4か月半も欠勤した

○ 会社は解雇を実施したが、社員は不当解雇を主張し、裁判となった


そして、裁判所の判断は

○ 長時間に渡り、働かせたことは会社の安全配慮義務違反

→ 会社が「慰謝料400万円」を社員に支払うこと


○ 4か月半にわたり欠勤することは正当な理由なし

→ 産業医の診断、会社の判断を正当とした

→ 精神疾患は完治していた


○ 不当解雇に当たらない

とし、解雇の争いについては会社が勝ったのです。

 

この裁判で特筆すべきポイントは「産業医の判断」

を取り上げていることです。


長時間労働で社員が精神疾患に追い込まれたことは、

裁判所も認めています。


しかし、その後の回復の状況等について産業医の判断を取り上げ、

解雇を認めていることは、単に主治医だけの判断では決められない

ということでもあるのです。


さらに、この裁判で興味深い記述があります。


それはこの産業医がうつ病と認めなかった点で、

ここでは、「うつ状態とうつ病との違い」を明確にしています。


それは、

○ うつ病患者には自殺の危険がある

○ うつ病患者であれば「生気に乏しい、焦燥感、思考の停滞」などがある

○ うつ病患者は必要以上に自らを責める

となっています。


しかし、今回の社員はどれにも当てはまらなかったという事です。


ここまで産業医が判断してくれれば、

会社としても安心して復職の判断ができるでしょう。


だから、【専門の】医師の判断が重要なのです。


ちなみに、内科や外科が専門の医師が産業医をしている場合もあるので、

心療内科が専門などの医師の判断を仰ぐことが重要です。

 


うつ病になった社員を復職させることは本当に難しい問題です。


だからこそ、就業規則でルールを明確にすると共に、

【専門の】医師とタッグを組んで対応することが重要なのです。


厚生労働省のデータを見ても、うつ病患者は増加傾向にあります。


そして、こういう精神疾患の問題は「急に」やってきます。


何の前触れもなく、ある日突然に社員が精神疾患になって、

「どうしましょう・・・」とご相談頂くケースがほとんどです。


「明日は我が身」なので、日頃からの対応が重要なのです。

 

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ご注意ください。

 

■編集後記

寒暖の差が激しく、ちょっとしたことで体調を崩しがちです。


私も数日前から首の後ろが痛く、風邪気味です・・・。


が、昨日病院に行ったら「首の痛みは肩こりからです」とばっさり!


少し恥ずかしい思いをしました(笑)。


風邪は万病のモトですが、全ての原因を風邪にしてはいけませんね。 


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