社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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降格人事はどこまで可能か?


2012年11月22日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

11月も半ばになりましたが、今月は労働基準監督署の調査が多い月なので、

うちの事務所の電話もかなり鳴っています。


もちろん、私が調査に立ち会うこともありますが、

完全に論点が浮き彫りになってからお問い合わせ頂く方もいらっしゃいます。


そこから盛り返すことも可能ですが、

できれば、早めに事前の対策を打っておくことが重要です。


また、実際の調査が来ていないとしても、

調査で問題になることは早めにリスクヘッジしておくことが大切です。


下記DVDでは私が対応した「15億円の未払い残業代を3億円に

圧縮した実例」も含め、様々な論点を解説しています。


この実例のお客様も事前に対策してあれば、

15億円の指摘を受けることさえなかったのです。


是非、ご覧いただき、早めの対策を講じてください。


よろしくお願いします。

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では、1分セミナーにいきましょう。


今回は「降格人事はどこまで可能か?」を解説します。


経済環境が停滞している今、

降格人事についてのお問い合わせも多くあります。


そんな中、ある社長から次のご質問を受けました。

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営業課長が発注ミスをしましたが、これで3回目です。

ヒラの営業マンに降格を考えていますが、問題ありませんか?
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まず、降格についてみていきましょう。


降格には

1、人事権の発動による降格

2、制裁としての降格(今回のご質問)

があるので、個別にみていきましょう。


まずは、1についてです。


降格とは人事権の発動の一部で、会社が自由に命じることができ、

社員はこれに従わなければなりません。


また、出向、転勤などと同じで、

降格は「基本的には」拒否することはできません。


なぜなら、多くの会社は入社時に誓約書を提出してもらっており、

その誓約書に労働契約、就業規則、その他の会社の規則をを守ることが

記載されていて、それに同意しているからです。


つまり、「会社の命令に従います」と宣言しているからなのです。

 


ただし、今回のご相談は「課長から一般社員」という降格で、

極端な降格と考えられ、これに関する裁判例があります。


<バンク・オブ・アメリカ・イリノイ事件 東京地裁 平成7年12月>

〇 同社は合理化が必要だったので、管理職に協力を求めた

〇 A課長は合理化に対し、消極的だった

〇 同社は多くの課長職を降格し、A課長も降格となった

〇 元課長Aは受付業務を命じられ、自ら退職した

〇 元課長Aは「受付への配転は違法」として裁判所に訴えた


そして、裁判所の判断は


〇 採用、配置、人事考課、異動、昇格、降格等の人事権は会社が有する

〇 人事権は会社の判断で行使される

〇 社会通念上、著しく妥当性を欠く人事異動は違法

〇 受付業務は契約社員が担当していて、

  勤続33年の課長Aを異動させる場所ではない

〇 職場にいたたまれなくさせ、自ら退職の決意をさせる意図の下に

  とられた措置ではないかと推察される

〇 元課長Aの人格を傷つけたとし、本件は違法な行為である


として会社が負け、慰謝料100万円の支払いが命令されたのです。

 


異動、昇格、降格などの人事権は「基本的には」会社の判断でOKで、

法律の制限はかかりません。


しかし、極端な降格や異動は上記判決のように、

違法行為となってしまう可能性があるのです。


もちろん、降格そのものが違法ではありませんが、

下記のことをチェックする必要があります。


〇 合理的理由があるか

→ 就業規則に降格の理由が記載されているか?

→ 労働契約書で降格理由が記載されているか?


〇 降格の前例はどうなっているか?

→ 例:部長から課長へ 前例あり → 降格しやすい

→ 例:部長から係長へ 前例なし → 降格は厳しい


営業会社のように、中には昇格、降格が日常茶飯事で、

激しく上がったり、下がったりする会社の場合は

部長から係長などへの2階級以上の降格が認められる可能性もあるでしょう。


ただし、一般的な昇格、降格は1階級ずつなので、

2階級以上の上げ下げをする場合は合理的理由と前例を

しっかりと抑えて実施する必要があります。

 

次に、2についてです。


会社に対して大きな損害を与えた場合など、制裁の意味での降格もあります。


この場合は単に辞令等で降格を告げるのではなく、

ルールにのっとった手続きを行いましょう。


具体的には下記の流れで実施してください。


○ 懲罰委員会等を開催し、複数の役員で決定する

→ 社長等の1人の決定ではなく、公正な手続きを踏む


○ 降格となった本人の意見を聞く

→ 弁明の機会を与える


○ 議事録を保存しておく

→ 裁判等の証拠として残しておく


冒頭のご相談も正にこれに当たるので、

この流れに沿って実施するようにお伝えしました。

 


さらに、1、2に共通する話ですが、

降格に関してよくある質問が給料についてです。


「降格して、部長から課長になったので給料を下げることができるか?」

という事です。


この場合、【理由もなく】給料を下げることは

「労働条件の不利益変更」となり、法律で禁じられています。


しかし、【降格人事という理由】により給料を下げることは可能です。


例: 部長手当10万円 → 課長手当 5万円 


この場合は部長から課長に降格し、職務上の責任の範囲が変わったので、

手当の額が下がったというだけです。


だから、これは「労働条件の不利益変更」には該当しないのです。

 


このように同じ降格といっても2種類あり、


1、人事権の発動による降格

→ 合理的理由と前例があれば、会社が命ずればOK


2、制裁の意味での降格

→ 懲罰委員会等を開催する手続き必要


となるのです。


降格は社員にとってもいいことではなく、

トラブルの原因ともなりやすいものです。


それだけに十分な注意をして、対応することが大切なのです。

 

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(株)日本中央会計事務所・日本中央社会保険労務士事務所
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また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

ご注意ください。

 

■編集後記

11月は労働基準監督署の調査強化月間なので、

全国各地からお問い合わせを頂きます。


来月は大阪、京都、奈良、岡山というハードな出張が決まっています。


もしかしたら愛知にも行く可能性があります。


どこでも参上しますので、お気軽にお声がけくださいね。


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