社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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この退職は自己都合か?会社都合か?


2013年3月21日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今回は「この退職は自己都合か?会社都合か?」を解説します。


年度末を迎え、人事異動などが活発に行われる時期となり、

これと同時に、転職、退職の動きも活発となっています。


そのため、私のところにも退職に関するご相談が増えています。


そして、よくトラブルとなるのが退職の理由が

「自己都合か?会社都合か?」ということです。


簡単に書けば、社員自らが退職を申し出るのが「自己都合」で、

逆に、会社から退職を迫られるのが「会社都合」です。


こう書くと、自己都合か会社都合かの判断は簡単な印象を受けますが、

〇 給料遅配により、退職せざるを得なかった

〇 事業縮小で退職者を募ったら、募集以上の社員が退職した

〇 上司に「そろそろ違う仕事を考えたら?」と言われた

など、判断がつかない場合があります。


結果として、この判断は微妙になることも多いのですが、

これがトラブルの原因になることもあります。


なぜならば、失業保険と関係があるからです。


具体的には

〇 自己都合・・・失業保険がすぐにもらえず、3ヶ月後の支給となる

〇 会社都合・・・失業保険がすぐに貰える

ということです。


その社員の雇用保険の加入期間によっては、

給付される期間に違いが出る場合もあります。


さらに、退職金制度がある場合は、

〇 自己都合・・・退職金の支給が会社都合の半分

〇 会社都合・・・退職金が満額貰える

となっていることが大半です。


このように、退職の理由で社員が貰えるお金が変わってくるので、

退職する社員にとってはどちらになるかが重要なのです。


これに関する裁判がありますが、まずは自己都合と判断された判決です。


<東京地裁 平成15年11月>

〇 会社から「3ヶ月の間、給料が遅配となる」と説明された

〇 社員は会社の存続に疑問を感じ、すぐに退職した

〇 この退職は「会社都合である」と主張したが、会社は認めなかった

〇 社員が納得しないで裁判となった


そして、裁判所は以下の判断を下したのです。

〇 全社員に対して、会社の現状を伝え、雇用の維持を確保しようとした

〇 退職した社員は自らの意思で会社の将来性を考えて判断した

〇 この判断は社員個人の判断で、自己都合である

〇 会社が勝訴した


これに対して、会社都合と判断された裁判もあります。


<東京地裁 平成9年8月> 

〇 会社が給料の不払いを起こした

〇 社員が「給料を貰えないのなら辞めます」として退職した

〇 自己都合分の退職金しか支給されなかった 

〇 社員が「この退職は会社都合だ」として裁判をおこした


裁判所の判断は以下となったのです。

〇 給料の不払いによる退職はやむを得ない理由である

〇 この理由は会社が社員に対して「労働契約の解約」と考えられる

〇 この退職は会社都合である

〇 会社は敗訴し、退職金を再計算し、残額を支払った


この2つをみてみると、「業績が厳しく、給料を支払えなかった」

という共通がありますが、給料の不払いに関する取り扱いが

異なります。


自己都合と判断された裁判では以下となっています。

〇 給料遅配の理由が説明されている

〇 3ヶ月の遅配で、回復の見込みがあることも社員に伝えられている


一方、会社都合と判断された裁判では以下となっています。

〇 単に給料の不払いが発生している

〇 社員に対し、説明などもなされていない

〇 退職は自己都合として、強引に自己都合分の退職金を支払っている


この違いは「会社が社員に対する説明責任を果たしているか?否か?」

ということです。


しかし、その前にもっと大事なことがあるのです。


それは「退職の意思確認」についてです。


まず、社員から「退職したい」等の話があったら、

下記の対応をすることが重要です。


たとえば、「会社の状態が悪いので退職したい」とのことであれば、

「自己都合での退職ですね」ときちんと確認しましょう。


また、退職届等を必ず書面でもらうことが重要です。


これは後々、裁判等になったときは大きな証拠となるからです。


しかし、強引に退職届にサインをさせることはやってはいけません。


例えば、

〇 面談の場でサインするように、強引に迫る

〇 「今、サインしないと、退職金が出ない」と脅す

ということです。


このようなことがあった場合は「脅迫」となり、

退職そのものが「無効」となってしまうからです。


結果として、退職理由でのトラブルを回避するためには

以下を準備することをお薦めします。


〇 退職願(理由を具体的に記載)

〇 退職後進路(アンケートとして)

〇 離職票

〇 退職時のメール等

→ 例:最初に退職の打診があったメール

→ 例:最初に上司に退職の旨を伝えた際の面談メモ


退職理由でトラブルになった場合、裁判になる可能性が高くなります。


しかし、これらの手続きを明確に行えば、その確率が下がるので、

忘れないように行うことが重要です。


また、

○ 社員の退職の承認は役員会などで行うこと

→ 社長のみの決裁では感情移入があり、トラブルとなる場合もあり

→ この旨を就業規則に記載しておく

○ 退職時の面談を行うこと

→ ボタンの掛け違いを無くすようにする

も重要です。


いかがでしょうか?


退職理由はその社員にとっては大きな意味を持つため、

自己都合か会社都合かは大きな問題です。


もちろん、会社にとっても会社都合の場合は

○ 助成金がもらえなくなる

○ 退職金の額が膨らむ

○ 労働基準監督署、ハローワークの調査対象になるかもしれない

などの意味があるので、どちらであるかは重要なのですが。


いずれにせよ、会社にとっても社員にとっても、

退職理由は大きな問題です。


ここを明確にするために、上記で解説した手続きを

きちんと踏んでいくことが重要なのです。

 

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ご注意ください。

 

■編集後記

小学館の雑誌「DIME」に私の取材記事が出ました。


「課長の失敗学」というコラムです。


先週の土曜日に発売となったのですが、

最初に雑誌を手に取ったときは、自分の記事が分かりませんでした。


取材に何十枚も撮られた写真が見当たらない・・・、

と思ったら、P120の表示の上に小さく丸囲みでありました。


これををブログにアップしましたので、よろしければ、ご覧ください。

http://ameblo.jp/utsumisr/entry-11492365827.html


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