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2013年5月30日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
今回は「喫煙についてのクレームがあったら・・・」を解説します。
先日、セミナーの時にご相談がありました。
それは
○ 事務所内で喫煙可としているが、クレームがあるので、禁煙にしたい
○ 喫煙時間が長い社員がいるので、給料を減額したい
ということです。
タバコの煙の問題は、何年も前からありましたが、
特に厳しくなったのは平成15年5月の健康増進法の施行からです。
この法律の25条は以下となっています。
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受動喫煙の防止
第25条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、
事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する
者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環
境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するた
めに必要な措置を講ずるように努めなければならない。
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ただし、この条文は「努力義務」が定められているだけで、
罰則はありません。
しかし、この法律を受けて、同じ時期に厚生労働省が
「職場における喫煙対策のためのガイドライン」を発表しました。
これによると「事業場の全面禁煙か、分煙が望ましい」とされています。
実際に「タバコの煙で健康を害した」として裁判になった例があります。
<江戸川区(受動喫煙賠償)事件 東京地裁 平成16年7月12日>
○ 職員が目やのどの痛みを感じたため、上司に分煙措置を要望したが、
聞き入れられなかった
○ 配属が変わり、席も喫煙場所からもっとも遠いところへ指定されたが、
分煙にはならなかった
○ 職員は特別区人事委員会に禁煙・分煙の措置要求を行ったが、
却下された
○ 安全配慮義務違反として、国家賠償法に基づく医療費と慰謝料を請求
そして、裁判所は以下の判断を行ったのです。
○ 受動喫煙による肺ガンリスク等を肯定
○ しかし、区役所はそれなりの分煙は図られていたと判断
○ 精神的・肉体的苦痛に対する慰謝料の支払い(5万円)を区に命じた
また、神奈中ハイヤー事件(東京高裁 平成18年10月11日)でも、
安全配慮義務の観点から「受動喫煙防止は必要」とされたのです。
では、勤務時間中の喫煙を禁止することができるかをみてみましょう。
まず、社員は労働契約で「職務を誠実に遂行すべき義務」を有しています。
だから、就業時間中は職務に専念し、
私的な行為は差し控えなければなりません。
これを「職務専念義務」といい、喫煙行為はこれに反すると考えられます。
しかし、多くの就業規則では「職務に専念すること」の記載はありますが、
具体的な喫煙禁止の旨は記載されていないでしょう。
喫煙禁止を実施するならば、この規定を記載し、
より明確に社員へ注意喚起する必要があります。
具体的には以下となります。
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第○条
社員は、勤務時間中は喫煙をしてはならない。
2.社員は勤務時間外であっても、会社の敷地内で喫煙してはならない
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また、全面禁煙ではなく、分煙の規定は以下となります。
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第○条
社員は、勤務時間、休憩時間を除いて喫煙してはならない。
2.社員は、会社敷地内では喫煙室以外の場所で喫煙してはならない
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このように最初は就業規則の整備を行い、
ルールとして禁煙、分煙を徹底しましょう。
次に「喫煙している時間分の給料の減額が可能か?」を
みてみましょう。
これについては昨年秋に報道(産経新聞 平成24年10月23日)
されたものが参考となります。
「敷地内が全面禁煙となっていた大阪府立高校で、勤務時間中に敷地外
で喫煙した教職員に対し、大阪府教育委員会が敷地外の喫煙時間は
労働時間に該当しないと判断し、この時間分の給料を返納させた」
このような判断がありますが、多くの会社では大目にみてきた、
というのが現実でしょう。
さらに、就業規則に禁煙規定もなく、いきなり「喫煙中の時間は減額」
としたら、労働条件の不利益変更に該当する可能性があります。
だから、最初にやるべきことは、
就業規則の改定前に喫煙者に理解を得ることです。
そして、就業規則の改定後は
○ 産業医等による禁煙指導
○ 禁煙治療の案内、サポート等
○ 禁煙手当の支給
などを実施しましょう。
結果として、就業規則に「就業時間中の喫煙は禁止する旨を書き、
上記の喫煙指導などを行ない、それでも就業時間中に喫煙する社員が
いた場合には、給与の減額が可能と考えられます。
それから、国の助成金制度である「受動喫煙防止対策助成金」
の活用も検討しましょう。
これは喫煙室設置の費用を助成するもので、
喫煙室設置前に労働局に交付申請をして手続きを行います。
なお、助成金の対象は「労災保険に加入している中小企業」
となっています。
また、交付額は上限200万円で、助成率は設置費用の2分の1です。
例えば、喫煙室設置工事の費用が150万円であれば、
助成金は75万円が支給されます。
詳細な内容は以下をご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000031xcl.html
このように「受動喫煙防止」については健康志向の強まりとともに、
会社としても無視できない問題となっています。
実際、セミナーでもご質問が出ましたし、
関心の高い部分かと思いますので、覚えておいて頂ければと思います。
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ご注意ください。
■編集後記
先週の出張時の行きの飛行機から富士山が見えました。
山梨県側から、雲を突き抜けてその姿を見せてくれました。
さすが霊峰富士ですね。
世界遺産としても貫禄も!!
その写真をブログにアップいたしましたので、ご覧下さい。
http://ameblo.jp/utsumisr/entry-11540249521.html
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