社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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社内不倫に対する処分は?


2013年7月 4日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

いつもありがとうございます。

 

今回は「社内不倫に対する処分は?」を解説します。


ある社長さんから以下のご相談をお受けしました。

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お恥ずかしい話ですが、弊社の課長(既婚)が、同じ部署の女性社員

(未婚)と不倫をしています。


他の社員も知っており、少なからず職場に悪い影響を与えています。


この2人に懲戒処分を検討していますが、問題は無いでしょうか?
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社内不倫などの問題は非常にプライベートな問題であり、

繊細な部分もあるので、会社がどこまで踏み込むかが難しい問題です。


ただし、回りの社員への影響を考えたら、放置しておくわけにもいかず、

何とかしないといけません。


この問題は企業規模を問わず、時々ご相談を受けることがありますので、

法的な対応も含めて整理していきます。

 

まず、不倫とは「配偶者に対する不法行為(民法709条)」に該当し、

非常に私的な問題といえます。


しかし、社内不倫があるとしても、

すぐに懲戒処分とはならないのも事実なのです。


これに関する裁判があります。


<繁機工設備事件 旭川地裁 平成元年 12月27日>

○ 既婚男性社員と女性社員が不倫関係にあった

○ 社内で親しく話していたり、女性社員の家に男性社員の車があるなど、

  社内に不倫が知れ渡る

○ この状況を取引先から社長が伝えられ、女性社員に交際をやめるよう、

  忠告するも継続していた

○ 社長はさらに2人の交際について社内外で非難があるので

  2人にやめるように説得するも聞き入れられなかった

○ 社長は女性社員に「会社全体の風紀、秩序を乱し、企業の運営に支障

  をきたした」として解雇した

→ 就業規則に「職場の風紀、秩序を乱した場合は懲戒処分」と記載あり

○ 納得のいかない女性社員は裁判を起こした


そして、裁判所は以下の判断をしました。

○ 女性社員が就業規則にある「職場の風紀・秩序を乱した」とはいえない

→ 具体的な影響がみえていない

○ 社員の私生活上の行為は企業秩序とは無関係なので、

  原則として懲戒の対象とはなり得ない

○ 解雇は無効として会社は敗訴した


この裁判では「社員の私生活」と「企業秩序」とは「無関係」と

判断されています。


具体的に業務上の影響が出ていなければ、

懲戒処分の対象とならないのが考え方の原則でしょう。

 


しかし、これと逆の裁判結果もあります。


<長野電鉄事件 長野地裁 昭和45年3月24日>

○ 妻子ある観光バスの運転手が未成年のバスガイドを妊娠させた

○ 「会社の従業員間の秩序を著しく破った」として会社は解雇とした

→ 就業規則に「職場内の異性との交際については、特に慎まなければ

  ならない」と記載

○ 運転手は裁判所に解雇無効の訴えを起こした


裁判所は以下の判断をした


○ 会社の社会的地位、名誉、信用等を傷つけ、会社に損害を与えたので、

  解雇はやむを得ない

○ 会社が勝訴した


この裁判では具体的な損害を挙げています。


それは、観光バスの運行ということもあり、

○ 事故や不正行為の原因となることもある

○ 乗務計画にも差し支えが生ずる

○ 運転手とバスガイドという関係から、業務が宿泊を伴う場合、

  宿を別にするなどして、男女関係に対して配慮していたが破られた

と判断したのです。


さらに、類似の裁判もあります。


<池田高校事件 大阪地裁 平成2年8月10日>

これは妻子ある高校教師が教え子と在校中に交際し始め、

卒業後に男女の仲になり、懲戒免職処分が有効とされた事例です。


この裁判では教師という立場が社会的に与える影響を重視して、

解雇を有効としました。

 


このように仕事の内容、職務上の立場、責任に照らして、

社内不倫が企業秩序を害して具体的な影響があれば、

懲戒処分の対象となるのです。


冒頭のご質問に戻りますが、単に不倫をしていて社内に悪影響を

及ぼしているだけでは、懲戒処分は難しいでしょう。


悪影響が具体的なものであれば、処分が可能な場合もあるでしょうが、

○ 社内の空気が微妙だ

○ 他の社員が気を使う

程度では無理と考えられます。


とはいえ、このような問題は切実な問題です。


まずは、本人達から事情をよく聞き、会社が対応に苦慮していることを

伝えていきましょう。


また、具体的に対策を行なうならば、配置転換、子会社への出向なども

考えられます。


いずれにせよ、業務上のマイナスになることはあっても、

プラスになることはないので、しっかりと対策すべき問題です。

 

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ご注意ください。

 

■編集後記


この春の労働局の調査の内容が専門紙に紹介されていました。


これによると、相変わらず、未払い残業に関する記事が多かったのですが、

その中でもパソコンの記録で驚くべき内容がありました。


労働基準監督署の調査では業務の始業、終業をパソコンのログイン、

ログオフで調べる場合もあり、ログオフした時間が残業終了時間と

みなされる場合が多いのです。


しかし、ログオフしないで、電源を強制終了する場合は

ログオフの記録が残らない場合もあるそうです。


その記事によれば、これを逆に利用して、

実残業時間を過少申告させていた会社があったとのことです。


強制終了でデータが消滅するリスクの方が大きいと思いますが、

やりすぎですね・・・。   


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