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2013年10月31日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
今回は「定年と再雇用について」を解説します。
平成25年4月1日から法改正があり、定年を迎えた社員について、
「原則、希望する者【全員】を65歳まで雇用を継続すること」
となりました。
ちなみに、改正前は各社で再雇用の基準を定めることができました。
しかし、改正後は「就業規則の解雇の基準に該当する者」以外は
原則として、希望者全員を再雇用しなければならなくなったのです。
この「雇用を継続する」という意味がなかなか伝わらないので、
多くの会社は混乱してしいます。
たとえば、
〇 定年が法的に65歳まで延長となった
〇 定年後も同じ給与でなくてはならない
〇 何が何でも65歳まで社員を雇用しなければならない
等と勘違いされています。
しかし、そうではなく、「社員に65歳まで働く場を提供してください」
という意味です。
だから、正社員でなくてもОKですし、給料も自由に設定できます。
また、「この社員は継続して雇用したくない」という場合は
排除できるケースもあります。
これに関する裁判があります。
<房南産業事件 横浜地裁 平成23年10月20日>
〇 石油製品を運搬する作業員が60歳定年を迎えた
〇 会社は再雇用を拒否
→ 作業員は作業ミスばかり起こしている作業手順違反の常習者
〇 作業員は定年後も雇用は継続すべきと主張し、裁判を起こした
そして、裁判所の判断は以下となったのです。
〇 作業員は定年まで15年も会社に勤務しながら、数量ミス等の
初歩的なミスを引き起こしている
〇 作業員は作業手順を守る意識が高くない
〇 作業員が「経験豊富で豊かな業務経験を有している」とは言い難く、
継続雇用の採用基準を満たさない
〇 請求を棄却(会社側の勝訴)
この裁判は改正前のものではありますが、再雇用の要件として
「経験豊富で豊かな業務経験を有している」と明記されています。
この要件を満たしていないので「再雇用しなくてもOK」となったのです。
そして、裁判所も作業員の仕事ぶりと仕事の内容を比較して、
継続雇用を拒否してもやむを得ないと判断しています。
しかし、平成25年4月1日からは再雇用の基準は撤廃されて、
「就業規則に定める解雇、退職事由に該当する場合には、
継続雇用しないことができる」となったのです。
だから、上記裁判を現時点の法律で考えると、作業員がミスを繰り返した
状況が解雇事由に合致すれば、再雇用を拒否できます。
では、これを踏まえて、就業規則の解雇の参考条文をみてみましょう。
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第〇条 従業員が次の各号のいずれかに該当する場合は解雇とする。
(1)精神又は身体に故障があるか、又は虚弱、傷病、
その他の理由により業務に耐えられない、又は労務提供が不完全
であると認められるとき
(2)協調性がなく、注意及び指導しても改善の見込みがないと
認められるとき
(3)職務の遂行に必要な能力を欠き、かつ、他の職務に転換させること
ができないとき
(4)勤務意欲が低く、これに伴い、勤務成績、勤務態度その他の
業務能率全般が不良で業務に適さないと認められるとき
(5)正当な理由なき遅刻及び早退、並びに欠勤及び直前休暇要求が多く、
労務提供が不完全であると認められるとき
(6)特定の地位、職種又は一定の能力を条件として雇い入れられた者で、
その能力及び適格性が欠けると認められるとき
(7)事業の縮小その他会社のやむを得ない事由がある場合で、かつ、
他の職務に転換させることもできないとき
(8)重大な懲戒事由に該当するとき
(9)前号に該当しない懲戒事由に該当する場合であっても、
改悛の情が認められなかったり、繰り返したりして、改善の見込み
がないと認められるとき
(10)非違行為が繰り返し行われたとき
(11)会社の従業員としての適格性がないと判断されるとき
(12)天災地変その他やむを得ない事由により、事業の継続が不可能
となり、雇用を維持することができなくなったとき
(13)その他前各号に準ずるやむを得ない事由があるとき
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もし、上記裁判の作業員がこの条文に当てはめるならば、
(3)(4)(11)に該当すると考えられます。
結果として、ミスを繰り返したり、問題を起こす社員までも、
「65歳まで再雇用しなければいけない」ということではないのです。
定年という1つの区切りで、再雇用するかしないかを考えるきっかけ
となるのです。
ただし、こういう場合を想定するなら、就業規則で明確な条項を
記載しておく必要があります。
仮に、この部分があやふやだと「再雇用しなくてはいけない」と
なってしまうのです。
平成25年の法改正で、再雇用を拒否するポイントはあくまでも
「就業規則に定める解雇、退職事由に該当する」ことなのです。
皆さんの会社の就業規則はどうなっていますか?
解雇、退職事由につき、「能力不足等で解雇できる」という旨が
定められているでしょうか?
もし、記載がなければ、早急に付け加えるべきです。
なお、就業規則等にこの項目を追加することは解雇、退職事由の拡大に
なるので、労働者に対する不利益変更となります。
そのため、手続きに関しては労働者代表との合意、調印が必要に
なりますので、ご注意ください。
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ご注意ください。
■編集後記
来月中旬に私の新刊が発売されます。
会社組織のしくみについて記載した本ですが、
やっと執筆が終わったばかりで、ほっとしております。
今回の書籍のメインテーマは「仕事ができる人に長く働いてもらおう!」
ということです。
先日の厚生労働省の発表でもありましたが、新卒の社員が入社して
3年経過する間に3割以上の人が離職してしまうとのことです。
こんな環境に一石を投じることができればと考えています。
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