社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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採用後に前職の非行が発覚したら解雇ですか?


2013年11月14日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 

今回は「採用後に前職の非行が発覚したら解雇ですか?」を解説します。

 

 

ある社長から以下のご相談を受けました。

 

 

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仕事のできるマネージャーを採用したつもりだったのですが、前職で

 

セクハラ、パワハラ問題を起こしていたのです。

 

 

そろそろ入社して1年が経ちますが、解雇できるのでしょうか?

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前職の問題がどうであれ、一度採用してしまったら、

 

なかなか解雇できないのも事実ですが、これに関する裁判があります。

 

 

<学校法人尚美学園事件 東洋地裁 平成24年1月27日>

 

○ 教員を採用

 

○ その後、前職でのセクハラ、パワハラが発覚

 

○ 3年前の採用時にはその問題は聞かれず、採用内定となっていた

 

○ 学校は「採用時にセクハラ、パワハラでの問題を告知しなかった」

 

  ことを理由に解雇した

 

○ 教員は「この解雇は無効だ」と主張し裁判所に訴えた

 

 

そして、裁判所は以下の判断を下したのです。

 

 

○ 応募者が採用面接時に、自分に不利益な質問を受けても、

 

  虚偽の回答をしていなければOK

 

→ 質問に対しての虚偽はNGということ

 

 

○ 応募者が自分に不利なことを積極的に話す必要はない

 

→ 自発的に告知をする法的義務はない

 

 

○ 採用の時に応募者がどんな人物なのかを審査するのは採用側の責任

 

 

○ 今回の採用面接は虚偽回答のレベルではないので、解雇は無効

 

 

この裁判のポイントは

 

○ 採用面接での質問で、会社が質問をしないでスルーした場合、

 

  本人が積極的に話す必要はない

 

○ 採用面接とは応募者の人物像やスキルを会社が判断するもので、

 

  慎重を期し、注意を払って行うこと

 

ということがクリアになったのです。

 

 

仮に、前職でトラブルを抱えていたか否かについて、

 

会社としても「想定しうる質問」を用意しておく必要があるのです。

 

 

いきなり「セクハラ、パワハラで問題を起こしましたか?」とは

 

質問できませんが、以下の質問から話題を狭めていくことが大切です。

 

 

○ 前職の退職理由

 

○ 退職の経緯

 

○ なぜ転職したいのか

 

○ 前職の会社や社員との意見の相違等があったときの状況

 

→ その時の本人の対応

 

○ 懲戒処分の有無

 

○ 懲戒処分を受ける可能性のある行為の有無

 

などの質問を現場や職位に合わせた形で質問することが大切なのです。

 

 

最終的には、セクハラ、パワハラに関して言えば、

 

「前職でセクハラ、パワハラの問題を起こしませんでしたか?」

 

と質問してもOKなのです。

 

 

また、履歴書などで「賞罰の有無」を記載する欄がありますが、

 

この「罰」は通常は確定した有罪判決を指し、起訴猶予事件や公判中

 

のものは該当しません。

 

 

よって、有罪が確定しなければ履歴書の賞罰の欄は「賞罰なし」の

 

記載となるのです。

 

 

もし、この事実を虚偽、又は、隠匿したら解雇は有効となる場合も

 

あるでしょう。

 

 

また、実際の裁判でも同様の結果となっています。

 

 

<メッセ事件 東京地裁 平成22年11月10日>

 

〇 賞罰の欄に虚偽の記載

 

〇 解雇したが不当解雇と訴えらえた

 

〇 解雇は有効(会社勝訴)

 

 

ここでもう一度、解雇が有効になる場合を整理すると

 

○ 採用面接時に「虚偽の回答」を行った場合

 

○ 履歴書の賞罰欄に虚偽の記載をした場合

 

ということが第一の条件となるのです。

 

 

まずはここをチェックすることが重要です。

 

 

また、内定を出す前に本人がフェイスブックやブログでどういう記事を

 

書いているかをチェックしている会社もあります。

 

 

そういう部分には「本人の本音」が書かれていたりするものです。

 

 

さらに、本人の名前をネットで検索している会社もあります。

 

 

実例ですが、採用後にネットで検索したところ、

 

ある軽犯罪の常習者だったので、解雇した事例もあります。

 

 

しかし、こういうことは聞かなければ分からないし、

 

そもそも聞くことをしていないということもよくあります。

 

 

内定前にネットで検索することも重要でしょう。

 

 

最低限の質問するべき項目を検討し、その内容は必ず聞くように

 

マニュアルを作成することも必要です。

 

 

そうしないと、質問する内容、レベルは面接者のスキル、気分によって

 

変わってしまいます。

 

 

それは「最低限の確認事項を確認していないリスクを抱えた面接」

 

ということになるのです。

 

 

 

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また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

先日、沖縄に出張したとき、地元の同業の方々とお食事させて

 

いただ来ました。

 

 

この時におもしろかったのは「沖縄では2時間飲み放題」は無いそうで、

 

大体は「3時間飲み放題」のメニューだそうです。

 

 

この理由は、沖縄の人はのんびりしているので、2時間程度の宴なら、

 

人が集まらないので、3時間にしないといけないとのことでした。

 

 

ところ変われば、メニューの設定も変わるのですね。

 

 

確かに、のんびりと食事が運ばれていましたね。 


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