社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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飲酒を勧めたら、パワハラですか?


2013年11月21日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 

今回は「飲酒を勧めたら、パワハラですか?」を解説します。

 

 

今年も後1ヶ月を残すだけとなり、

 

忘年会などの予定が入ってくる時期となりました。

 

 

こんな時期だからこそ知ってもらいたいことが、今回のテーマです。

 

 

上司が飲酒を強くすすめたら「パワハラ」となるのでしょうか?

 

ということです。

 

 

簡単に言うと「俺の酒が飲めないのか!」ということです。

 

 

もちろん、強引にすすめたり、飲めない社員に無理させる場合は

 

パワハラに該当するでしょうが、その線引きはどうなるのでしょうか?

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<ザ・ウィンザーホテルズインターナショナル事件 東京高裁 

 

平成25年2月27日>

 

 

〇 平成20年5月11日 上司と部下が出張先の居酒屋で飲んでいた

 

→ 部下は「酒が弱い体質」と断ったが、飲酒を強要されたと主張

 

 

〇 翌日、夕方の帰路で部下は「体調が悪い」とレンタカーの運転を

 

  断ったが、運転させられた

 

→ 部下は「酒が残っている」と主張

 

 

〇 平成20年7月1日 帰社命令に反して直帰した部下に対し、

 

  携帯電話の留守電に怒りのコメントを残す

 

 

〇 平成20年8月15日 上司から「辞めろ、ぶっ殺す」と携帯電話

 

     の留守電に残っていた

 

 

〇 部下は適応障害を発して退職したが、これは上司のパワハラが原因と

 

  主張し、裁判所に訴えた

 

→ 会社と上司に対し慰謝料1,000万円の支払いを求めた

 

 

そして、第一審の東京地裁(平成24年3月9日)では、

 

 

〇 飲酒の強要は上司としての立場を逸脱した行為であるが、

 

  許容の範囲(酒量はコップ3分の2程度)

 

 

〇 レンタカーの運転についても、部下が運転した時間は5分から10分

 

  程度なので、許容の範囲

 

→ 飲酒後12時間以上を経過している(二日酔いとは言えない)

 

 

〇 帰社命令違反については、直帰が常態化していたので、

 

  直ちに違反は微妙

 

 

〇 平成20年8月15日の携帯電話の留守電の発言は不法行為である

 

 

〇 適用障害は上司のパワハラとは関係なし

 

 

〇 不法行為に対する慰謝料70万円の支払い命じた(会社が一部敗訴)

 

 

しかし、この結果に納得のいかない部下は控訴し、東京高裁の結果は

 

以下となったのです。

 

 

〇 飲酒の強要について「酒は吐けば、治る」などと言って、

 

  飲ませたことは、単なる迷惑行為ではなく不法行為(=パワハラ)

 

 

〇 翌日の運転の件は、体調を崩していた部下に対して、わずかな時間

 

  でも運転させたことは、上司の立場を利用した不法行為(=パワハラ)

 

→ 本来は、運転させないという判断をしなければいけない

 

 

〇 帰社命令違反は、就業規則に直行直帰は原則禁止となっているが、

 

  発言の内容が不法行為に該当する

 

 

〇 平成20年8月15日の携帯電話の発言は不法行為(=パワハラ)

 

 

〇 適用障害は上司のパワハラとは関係なし

 

 

〇 不法行為に対する慰謝料150万円の支払いを命じた(会社が一部敗訴)

 

 

この東京高裁の決定は

 

〇 上司の立場を利用した行為かどうか?

 

〇 上司の行為が普通の人が考える許容の範囲を大きく超えているか?

 

がポイントとなっています。

 

 

そして、パワハラを受けた結果について、地裁と高裁の判断は

 

異なっています。

 

 

地裁では、部下のお酒の弱さに関する資料が提出されており、

 

その範囲では「飲みすぎではないので、不法行為とは言えない」と

 

されました。

 

 

しかし、高裁では部下の問題ではなく、上司の行為そのもので

 

結果を導いています。

 

 

さらに、車の運転に関しても地裁では「5分から10分程度の運転」

 

なので許容範囲としましたが、高裁では「体調不良者に運転させること」

 

が不法行為に該当するとしたのです。

 

 

このようにパワハラによる不法行為の線引きは厳しくなっています。

 

 

仮に、部下が二日酔いにならなくても、上司が立場を利用しての行為は

 

パワハラと認定されてしまう可能性が高くなっています。

 

 

また、この裁判でも留守電の記録が証拠として採用されていて、

 

感情にまかせた発言がダイレクトにパワハラと認定されているのです。

 

 

このような観点からも、社長や上司の発言は慎重に行わなくては

 

いけないということなのです。

 

 

現場でこの話をすると、多くの社長が「寂しい世の中になったね・・・」

 

とこぼされますが、時代の流れで考え方が変わって来たのも事実です。

 

 

これからのシーズンはお酒が入る機会も多くなります。

 

 

お酒が入ると勢いもつき、行き過ぎた行動になるケースもあります。

 

 

社長や役員の仕事は楽しく飲むことだけではなく、そういう管理職の

 

行為を早め早めに察知し、制することも仕事なのです。

 

 

 

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ご注意ください。

 

 

 

■編集後記(内海)

 

 

一昨日、ポールマッカートニーのコンサートに行ってきました。

 

 

見に来ている人たちの年齢層もやや高めでしたが、

 

自分たちの「青春」を振り返っているように楽しんでいました。

 

 

今回の日本での公演はビートルズ時代の歌が中心で、

 

「もう生では聞けない」と思った歌が、実際に聞けて感動しました。

 

 

ロックのコンサートを見て、目頭が熱くなったのは初めてでした・・・。


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