社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

労働問題のご相談、労使トラブルのご相談なら 東京都 港区の社会保険労務士 内海正人

繁忙期に長期の有給休暇取得の申請があったら?


2014年3月27日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 

今回は「繁忙期に長期の有給休暇取得の申請があったら?」を解説します。

 

 

有給休暇を取得する際に、問題となるのがその時期についてです。

 

 

先日も以下のご相談がありました。

 

-------------------------------------------------------------------- 

当社の繁忙期である春先に「長期の有給休暇を取得したい」と、

 

ある社員が有給の申請をしてきました。

 

 

仮に認めたら、他の社員も士気も下がるし、猫の手も借りたい時期なので、

 

何とか断りたいのですが、何か方法はありませんか?

--------------------------------------------------------------------

 

 

年次有給休暇は原則として社員が希望するとおりの時季に与えなければ

 

なりません。

 

 

しかし、社員の希望する時季に年次有給休暇を与えると、会社の運営に

 

大きな支障が発生してしまう場合は他の時季に変更することができます。

 

 

これは「年次有給休暇の時季変更権の行使」といい、会社が社員に対し、

 

「あなたが有給を採ったら業務が正常に回らないので、別の日に有給を

 

取得して下さい」ということです。

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<時事通信社事件 最高裁 平成4年6月23日>

 

 

○ 記者が約1ヵ月の長期で連続した年次有給休暇を申請した

 

○ 会社は記者に対し「2回に分けて休暇を取ってほしい」と回答した

 

○ 会社は後半の約半分に時季変更権を行使して出社を要請したが、

 

  記者は出社しなかった

 

○ 会社は記者の期間中の欠勤を理由にけん責処分を行い,賞与を減額

 

○ 記者は「時季変更権行使の要件を欠く違法なものである」とし、

 

  けん責処分の無効および減額された賞与の支払等を求めて提訴した

 

 

そして、最高裁の判断は以下となったのです。

 

 

○ 記者の担当職務は科学技術に関する専門的知識を要するもので、

 

  代替者を見つけて、長期にわたって確保することは困難である

 

○ 休暇の取得がもたらす事業運営への支障や程度につき、会社がその判断

 

  を行うことは当然である

 

○ 後半部分についてのみ時季変更権を行使しており、時季指定に対する

 

  相当の配慮をしている

 

○ 時季変更権の行使は適法である(会社勝訴)

 

 

この裁判でのポイントは「会社側にある程度の裁量的判断が認められる」

 

という点です。

 

 

ただし、この判断は合理的で客観的なものであるべきで、

 

この裁判では「代替記者の変更が厳しい」ことが挙げられています。

 

 

さらに時季変更権の権利濫用を防ぐため、以下の要件が掲げられています。

 

 

○ 事業の正常な運営を妨げる場合(個別的、具体的、客観的に判断)

 

→ 他の社員の休暇取得、欠勤等により人員が不足する場合の時季変更権

 

  の行使は正当(新潟鉄道郵便局事件 最高裁 昭和60年3月11日)

 

 

→ 教師の期末テスト当日の休暇に対する時季変更権の行使は正当

 

  (道立夕張南高校事件 最高裁62年1月29日)

 

 

→ 短期間の集合研修期間中の休暇に対する時季変更権の行使は正当

 

  (NTT年休事件 最高裁 平成12年3月31日)

 

 

○ 会社の配慮義務

 

これは「できる限り、本人の指定した時季に取得させようと務める義務」

 

となり、具体的には代替要員の準備等です。

 

 

○ 年次有給休暇の利用目的

 

社員が年次有給休暇を取得する目的により有給休暇を「承認する、しない」

 

ということは問題となりますが、時季変更権行使を検討する段階では考慮

 

することができます。

 

 

例えば、同時に2人の社員から有給申請があって、うち1人は出社しない

 

と業務が回らない場合等は取得する目的を聞いて判断するということです。

 

 

このような要件をクリアして、時季変更権行使となるので、ハードルとして

 

はやや高いと言えるでしょう。

 

 

単に「人が足りないから有給休暇は認められない」は厳しいでしょうし、

 

冒頭のご相談のケースも同じと考えられます。

 

 

 

 

だから、このような場合は以下のステップをご検討ください。

 

 

(1)有給休暇の取得をずらしてもらうように任意でお願いする

 

会社側から「繁忙期の説明」「社員の不足」など、具体的な説明を行い

 

理解を求めるところからスタートするのです。

 

 

このケースで多くの社員は有給取得の時季を変更してくれます。

 

 

(2)時季変更権行使を検討する

 

任意の説明に応じてくれない場合は時季変更権が行使できるかどうかを

 

検討しましょう。

 

 

前に挙げた要件がクリアできるかがカギとなります。

 

 

(3)時季変更権行使を実行する

 

この場合は「○月○日以外にしてください」と文書等で通知する

 

ことが良いでしょう。

 

 

その際に、指定された日に有給休暇を取得されると問題となる理由を記載

 

することにより客観性がさらに高まります。

 

 

実際の現場では(1)を飛ばして考える社長がとても多いですが、

 

最初の話の持って行き方で、難なく繁忙期に働いてもらうことが可能となる

 

ケースが多いのも事実です。

 

 

いきなり「時季変更権を行使する」と会社から言われたら社員も

 

びっくりしてしまうでしょう。

 

 

このような問題が起きたら、まず相互の理解を深める姿勢から入りましょう。

 

 

それでも駄目な場合は時季変更権の行使を「検討」すべきなのです。

 

 

いきなり法的な権利を振りかざすのは、どんなに正当なことであっても、

 

自ら信頼関係を壊しに行くようなものなのです。

 

 

 

--------------------------------------------------------------------

(株)日本中央会計事務所・日本中央社会保険労務士事務所

取締役・社労士 内海正人(うつみまさと)

住所:東京都港区西新橋1-16-5コニシビル4階

電話:03-3539-3047

 

○顧問契約、単発のご相談(就業規則、雇用契約書など)のお問合せ

https://www.roumu55.com/komon.html

--------------------------------------------------------------------

 

●ご友人、知人にもこのメルマガをご紹介ください。

https://www.muryou-report.net/magazine/

 

 

●恵まれない方のために

 

皆さんが1クリックすると

協賛企業が慈善団体に寄付してくれます(1クリック=1円)。

 

今、自分がここにいられることに感謝し、1日1回クリックしませんか。

 

私も毎日、ワンクリックしています。 http://www.dff.jp/

 

 

●本メールマガジンは専門的な内容を分かりやすくするため、

 

敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

だいぶ春めいてきましたね。

 

 

昨日、会津若松の出張から戻ってきたら、東京は桜の開花宣言となって

 

いました。

 

 

暖かくて、過ごしやすい季節となりましたが、現場では「給料の額を

 

どのようにするか?」というご相談で大忙しです。

 

 

増税の影響もあり、各社給料アップを考えていますが「どこまで上げる

 

のか?」が難しいですね。

 

 

そんな中でこの年度末はバタバタですが、お困りの方がいらっしゃれば

 

ご相談にのります。 


管理職として能力がない社員への対応は?  |  セクハラに対する会社の責任とは?

無料でダウンロード

94%の会社が陥る
思わぬ組織の落とし穴!

『組織・人事の解決ノート』

組織・人事の解決ノート

下記にご入力頂ければ、無料レポートをお送り致します。

●お名前:

●メールアドレス:

解雇
社会保険
就業規則
労働時間
労使トラブル
その他
ノウハウを検索
弊社の運営するサイト


TOPお読み頂いた方の声お申し込みよくある質問事業理念事務所概要セミナー実績
ノウハウ |プライバシーポリシー特定商取引に関する法律に基づく表示

 私はチーム・マイナス6%です

 

社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所
社会保険労務士 内海正人

〒105-0003 東京都港区西新橋1-16-5 コニシビル4F
TEL 03-3539-3047 FAX 03-3539-3048
E-mail utsumi@j-central.jp