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2014年5月22日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、カリスマ社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
牛丼「すき家」の店舗でアルバイト不足により、店の営業ができない、
という報道がありました。
これは全国的に「売り手市場」になっていることが理由でしょう。
そんな中でも中小企業は常に人材不足であり、社員やパート社員の
採用面接を継続的に行なっているケースも少なくありません。
しかし、その採用や面接の方法には不備があり、確認すべきことを
確認せず「確かに、聞かなかったけど、そうだったのか・・・」という
ことはよくあります。
また、法的に確認すべきことを面接、内定の段階で伝えていないことも
よくあり、これが後々のトラブルを引き起こしているケースも多いです。
結果、社員の採用という入口に不備があることは「本当に」多いのです。
また、入口ではなく、出口の解雇というシーンでも「完全に方法論が
間違っている、足りない」ということが原因で会社が不利になっている
ことも多々あります。
起きた状況は同じでも、どういう方法を採用するかにより、
結果は大きく変わるのです。
この「会社の入口」、「出口」のノウハウをまとめたものが
下記DVDです。
多くの会社が陥りがちな盲点をまとめていますので、ご覧ください。
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「採用・面接の極意と戦略的解雇の方法」
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ひな型(ワード)15種類が入っています。
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今回は「パート社員用の就業規則がなかったら・・・」を解説します。
すかいらーく、ユニクロなどのサービス業、日本郵政が非正規社員※を
正社員にする動きが報道されています。
※ アルバイト、パート社員など
そのせいでしょうか、非正規社員と正社員の線引きがより注目されており、
企業規模を問わず、非正規社員と正社員との違いについてのご質問を
頂くことが多くなりました。
以下、一部、非正規社員をパート社員と表記して解説します。
例えば、
○ パート社員の給料は、時給にしなくてはいけないのか?
○ パート社員にもボーナスを支給しなくてはならないのか?
○ パート社員にも退職金を支給したいが、問題ないか?
などがありました。
これらのご質問は会社でルール等を決めれば、可能です。
パート社員でも時給でなく、日給や月給でもOKですし、ボーナスや
退職金制度を設けてもよいのです。
法律では、非正規社員と正社員は「短時間労働者と労働者」という区分が
されているだけで、これは単に働く時間が短いか長いかの違いだけです。
だから、これらの身分の違いにより待遇に違いを出したい場合は、
就業規則等で定めて運用する必要があるのですが、多くの会社では
「パート社員用の就業規則」を作成していないのが現状です。
しかし、パート社員用の就業規則が無いと、その違いは「無い」となり、
パート社員も正社員も同じ待遇である、となってしまうのです。
これに関する裁判が以下となっています。
<日本ビクター事件 横浜地裁 昭和41年5月27日>
〇 臨時工であるが更新により長期にわたり雇用されている従業員がいた
〇 突然、30日分の平均賃金を支払われ、勇退扱いとされた
〇 この扱いが不当と裁判に訴えた
そして、裁判所の判断は以下となったのです。
〇 臨時工に関する就業規則はない
〇 臨時工ではあるが、更新により長期間の雇用関係が継続している
〇 常用工(=正社員)に対する取り扱いと同様にすべき
〇 従業員側が勝訴
結果として、正社員の就業規則を臨時工にも準用すると判断されたのです。
また、似た判決は他にもあります。
〇 日本油脂王子工場事件 昭和24年10月 東京地裁
〇 清風会事件 昭和61年8月 東京地裁
このように、正社員の就業規則をきちんと作成しても、パート用の就業規則
を作成し忘れると大変なことになってしまうのです。
もちろん、これは就業規則を補完する賃金規程、退職金規程等についても
同じことがいえます。
パート社員と正社員の待遇に違いを出すなら、これらも別々に作成する
必要があるのです。
例えば、正社員には退職金を支給するが、パート社員には支給しない会社
があったとします。
しかし、退職金規程は正社員用のものしかありません。
この場合、長年勤めたパート社員は退職金の請求ができる可能性が高く
なってしまうのです。
これは実際の裁判にもなっていますが、和解で終わっており、判決に
なっていないため、結果は公開されていませんが、和解ということは
一定額の退職金を支払ったことでしょう。
上記で、なぜ、「可能性」と書いたかというと、正社員用の退職金規程が
準用される可能性が高いからです。
これは退職金に限らず、「特別休暇」「賞与の支給」なども同じです。
このような事態にならないために、パート社員と正社員の待遇に違いを
出したい場合は、勤務実態に合わせた別々の規程を作る必要があります。
もちろん、1つの就業規則の中で別項目として記載してもOKですが、
使いやすさ、見やすさなどから別々に定めた方がいいのです。
ここで、別々に定める時に注意することがあります。
それは「従業員の定義」を明確にすることです。
具体的な記載例をみてみましょう。
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正社員:この就業規則において正社員とは、期間の定めのない労働契約
に基いて雇用された従業員であって、長期的に会社の業務に携わること
を前提に採用された者をいう。
パートタイマー:この就業規則においてパートタイマーとは、有期従業員
であって、1週間の所定労働時間が正社員に比べて短く、時間給によって
雇用された者をいう。
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このように、適用される前提を定めておくことで、誤解を与える余地を
潰すのです。
特に、退職金、賞与、特別休暇以外で問題となりやすいのが
○ 昇給
○ 労働時間
○ 残業、休日出勤の取扱い
○ 転勤
などですので、ここの部分ははっきりと条件を明示して下さい。
最後にもう1点。
パート社員用の就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出る場合、
パート社員代表の意見を聞いて提出するのではありません。
パート社員を含む「全社員」の代表者の意見が必要となります。
もちろん、この代表者は正社員用の就業規則に関して意見を述べた
代表者と同じでも構いません。
今日のテーマは保全ができていない会社が多い部分なので、きちんと
覚えておいてくださいね。
社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
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(株)日本中央会計事務所・日本中央社会保険労務士事務所
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ご注意ください。
■編集後記
今週の日経ビジネスに興味深い記事がありました。
それは「バイトの反乱で営業不能」という記事です。
牛丼「すき家」のある店舗で店員不足で、24時間営業にもかかわらず、
営業時間の短縮が行われたとのことです。
記事によると、アルバイト店員が足りなくなり、営業を短縮したり、
休業せざるを得なくなったとのことでした。
これは外食店のみのことではなく、医療、介護等も似たような状況であり、
誰かが外れれば、サービスの提供を止めなくてはいけないとのことも
あり得るのです。
人口が減って、労働力の供給が先細くなってきて、構造的な人手不足が
見えてきたということでしょうか。
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