社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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受動喫煙と安全配慮義務について


2014年8月21日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

今回は「受動喫煙と安全配慮義務について」を解説します。

 

 

東京都内では「歩行喫煙禁止」が定着して、くわえタバコの人を見ること

 

があまり無くなりました。

 

 

飲食店なども「分煙」に力を入れており、お昼時等は「全面禁煙」を実施

 

しているお店も少なくありません。

 

 

しかし、出張先などの様子を見ると、分煙となっているエリアはまれで、

 

禁煙、喫煙が混在している地域が多いのも事実です。

 

 

確かに、タバコを吸うか吸わないかは個人の自由となっていますが、

 

肺がんや心筋梗塞のリスクがあるのも事実です。

 

 

また、喫煙者が吸っているタバコの副流煙をタバコを吸わない人が

 

日常的に吸い込んだ場合、健康被害を引き起こすリスクも高くなります。

 

 

当然、職場で副流煙を吸い込むという受動喫煙が発生する場合、

 

会社はこれを防止しないといけないのです。

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<江戸川区事件 東京地裁 平成16年7月12日 >

 

〇 職員が受動喫煙による(と思われる)急性障害が発生した

 

〇 急性障害の診断書を上司に提出

 

〇 上司は診断書提出後3ヶ月間にわたって喫煙環境下で職員を働かせた

 

〇 職員はその間、目やのどの痛み、頭痛などが続いた

 

〇 その後、異動となったが、この間の取り扱いについて裁判所に訴えた

 

 

そして裁判所は以下の判断を下したのです。

 

 

〇 地方公共団体の職員に対する受動喫煙に対する安全配慮義務に違反

 

〇 職員は受動喫煙で精神的、肉体的苦痛を負った

 

〇 慰謝料5万円の支払いを命ずる

 

 

この裁判は職場における受動喫煙による健康被害に関して、使用者に対する

 

安全配慮義務違反による損害賠償請求が初めて認められたものとなります。

 

 

しかし、「5万円の慰謝料なら・・・」と思われた方もいらっしゃるかも

 

しれませんが、この裁判は「3ヶ月」で職員を異動させているので、

 

安全配慮義務の程度が浅く済んだのかもしれません。

 

 

 

 

これ以外の裁判でも厳しい判断が下されているものがあります。

 

 

<滝川市の建設資材製造会社の裁判 札幌地裁滝川支部 平成22年

 

3月4日(和解)>

 

〇 会社では全社員が自分の席で喫煙が可能な環境であった

 

〇 社員は入社直後から頭痛などに悩まされ分煙対策を要望

 

〇 会社側は応じず、社員を解雇

 

〇 社員は不当解雇を主張し裁判所に訴えた

 

〇 会社は訴えられた事実を知った後、解雇を撤回し、分煙措置を取った

 

〇 社員は職場復帰したが、不整脈が出るなど症状が悪化し、三つの病院

 

  で化学物質過敏症と診断された

 

〇 社員は「会社は受動喫煙防止を義務付けた健康増進法に違反している」

 

  と主張

 

〇 会社は「社員の過剰な過敏体質が根本的な原因」として、職場での

 

  受動喫煙と化学物質過敏症との因果関係は認めなかった

 

 

その後、裁判官が和解勧告を出し、双方が応じ、裁判は終わったのですが、

 

和解金額は「700万円」だったのです。

 

 

この裁判の特筆するポイントは和解金額が大きいことです。

 

 

なぜなら、受動喫煙問題で、これまでに会社が社員に解決金を支払った

 

ケースは、2006年10月に札幌簡裁で調停が成立した80万円が

 

最高額だったからです。

 

 

 

 

このように受動喫煙については、会社の安全配慮義務が問われる時代と

 

なってきました。

 

 

だから、受動喫煙の被害を受けた社員に対して、真摯に話を聞かなければ

 

なりません。

 

 

さらに、業務中の受動喫煙による体調の変化を具体的に訴えたり、

 

健康診断により、社員に受動喫煙による健康への悪影響が生じている可能性

 

を認識した場合は、次の措置を取ることが必要となります。

 

 

〇 全面禁煙導入

 

〇 分煙措置(喫煙室設置、喫煙場所の設置等)

 

 

仮に、受動喫煙の被害を放置した場合、現在では上記裁判よりもさらに

 

厳しい結果となる可能性があります。

 

 

ちなみに、今年の6月25日に「改正労働安全衛生法」が公布されました。

 

 

この中に「受動喫煙防止のため、事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置

 

を講ずることを努力義務とする規定を設ける」となっています。

 

 

法律では「努力義務」となっており、直接的な罰則はありませんが、

 

裁判等では「今以上に厳しく罰せられること」は必須です。

 

 

もし、皆さんの会社が喫煙対策をとられていないということであれば、

 

就業規則等も含め、分煙等のルール、設備等を至急検討する必要がある

 

でしょう。

 

 

問題が発生してから対策をとるのでは遅すぎます。

 

 

確かに、受動喫煙によって体調がどう変化するかということは個人差の

 

問題もあります。

 

 

しかし、結果として、体調不良などを訴える人がいることも事実であり、

 

分煙、全面禁煙は時代の要請でもあります。

 

 

だから、こういうことを対策した環境を整えていかなければ、

 

「公器としての会社の使命」を達成し得ないことも事実なのです。

 

 

 

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また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

お盆休みなどで、長期のお休みをとられた方も多くいらっしゃると

 

思いますが、休み明けのメールチェックは大変ですよね。

 

 

こんな悩める人に驚きのニュースが先日入ってきました。

 

 

「ドイツ自動車大手ダイムラーは、社員が仕事に関わる電子メールを気にせず

 

休暇を過ごせるようにするため、休暇中の社員宛てに届くメールを自動削除

 

するシステムを導入した」

 

 

休暇の旨を伝えたり、緊急要件の対応者を置くなどの工夫がされているよう

 

ですが、果たしてこのシステムを導入して混乱は生じないのでしょうか?

 

 

そんなことを疑問に思いました。  


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