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2014年9月11日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
今回は「赤字の会社でもリストラができない?」を解説します。
景気の回復という言葉が報道等をにぎわし、人手不足で困っている業種も
出てきました。
一方、地域格差も大きく、また、業績が今一つの会社もまだまだ多く、
私のところには「退職勧奨」「リストラ」等のご相談が多いのも事実です。
このような中、次のご相談がありました。
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赤字の部署があり、希望退職を募集したところ、10人中2人が募集に
応じてくれなかったため、整理解雇を検討しています。
整理解雇を実施するにあたって、注意する事はありますか?
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似たようなご相談はよくあるので、整理解雇について整理してみましょう。
整理解雇とは、事業不振を理由に事業再建を行なう場合、その一環として、
人員整理を行うことです。
そして、整理解雇は、解雇される本人達に何の責任もないため、
法的な要件が科せられているのです。
それが次の「整理解雇の4要件」と言われているものです。
(1)人員整理の必要性
余剰人員の整理解雇を行うためには、削減をしなければ、経営を維持
できないという必要性が無ければならない。
(2)解雇回避努力義務の履行
社員の人員整理は最終手段であり、整理解雇を回避するための経営努力が
なされ、人員整理に着手することがやむを得ないと判断される必要がある。
(3)被解雇者選定の合理性
解雇するための人選基準が合理的で、かつ、公平でなければならない。
例えば、勤務成績を人選基準とする場合、基準の客観性、合理性が問題
となる。
(4)手続の妥当性
整理解雇については、社員に原因は無いから、会社は社員や労働組合
と協議し、説明する義務を負う。
説明、協議、納得を得るための手順を踏まない整理解雇は、他の要件を
満たしても無効とされるケースも多い。
整理解雇はこの4つの要件の「全て」を満たさないと無効とされる場合が
多いのです。
ただし、裁判によっては4要件を厳格に運用しないケースもあり、
○ 人員整理の必要性のみで判断する場合
○ 配置転換や手続の妥当性を考慮に入れて判断している場合
もあります。
これに関する裁判があります。
<三陸ハーネス事件 仙台地裁 平成17年12月15日>
〇 会社の主要な取引先が拠点を海外に移したため、事業廃止により、
全社員を解雇することを決めた
〇 解雇される社員に特別加算した退職金を提示し、また、再就職支援
の相談会等を実施
〇 社員の一部が解雇の有効性を争点とし、裁判を起こした
そして、裁判所は以下の判断をしました。
〇 会社は、その事業を廃止するか否かについて自由に決める権利がある
〇 事業廃止が自由だからと言っても、社員全員を解雇することが自由に
できるわけではない
→ 解雇するには客観的、合理的な理由が必要であり、社会通念上相当で
あること
〇 本件の解雇は権利の濫用とは認められず、会社側が勝訴した
この裁判で、社員側は「整理解雇の4要件が満たされていないから、
解雇権の濫用である」と主張していました。
しかし、裁判所の判断は上記(1)の「人員整理の必要性」について、
「ここで問題となるのは『人員整理の必要性』ではなく、『全ての事業を
廃止する必要性』である」と判断したのです。
このことにより、整理解雇の4要件そのものを議論するのではなく、
会社が事業を廃止することの合理性、解雇の手続きが妥当であったか否か等
がポイントとなったのです。
このように状況によって、整理解雇の4要件を満たさなければ、整理解雇が
できない、ということではないのです。
しかし、整理解雇の4要件が不十分とされ、会社側が負けた裁判もあります。
<東亜外業事件 神戸地裁 平成25年2月27日>
〇 赤字工場の操業休止に伴い、希望退職を実施したが、これに応じない
社員28名を解雇した
〇 社員28人のうち23人は解雇無効の訴えを起こした
そして、裁判所の判断は以下となったのです。
〇 整理解雇の4要件のうち、(1)と(4)については
(1)人員整理の必要性:工場休止はやむを得ないため、十分な合理性あり
(4)手続の妥当性:妥当に行われた
と判断され、会社の主張が認められました。
〇 しかし、整理解雇の4要件のうち、(2)と(3)については
(2)解雇回避努力義務の履行:求人を行っている他部署があるのに、
配置転換を行わなかったことは、回避努力を十分に検討したとは言い難い
(3)被解雇者選定の合理性:業務に必要な資格の有無等の資料が作成
されておらず、客観的な基準(年齢、勤続年数、役職、担当業務、資格等)
を加味したものでなく、十分な協議が行われたとは言い難い
と判断され、会社の主張が認められませんでした。
〇 以上の理由により解雇は無効(会社側敗訴)
このように整理解雇を実施する場合は、整理解雇の4要件を「検討」する
ことが重要です。
なぜ、「検討」と書いたかというと、4要件はマストではないからです。
事実、最初の事例(三陸ハーネス事件)では事業廃止による全員解雇であり、
4要件よりも基本的な会社の姿勢が問われています。
ただし、通常は2つ目の事例(東亜外業事件)のように4要件を徹底的に
追及される事となるので、4要件に沿った考え方で整理解雇を実施すること
が重要です。
ただし、要件を具備するには、細かい条件まで考えなければならず、
専門的な知識や知恵が必要になってくるのです。
2つ目の事例(東亜外業事件)では、赤字工場の休止でも、別部署で
求人を出していたことについて、「そこへの配属を検討しなかったことは、
解雇回避努力義務が足りない」と判断されているのです。
結果、かなり細かいところまでケアしていかないと、法的に整理解雇が
有効とはならないのです。
具体的に整理解雇等を考えている場合は、労働法に強い弁護士、社労士に
ご相談されることをお奨めします。
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ご注意ください。
■編集後記
先日の日曜日に社労士サミットというイベントがあり、同業者150人の
前で講演をしてきました。
大きなイベントで講演をすることは身が引き締まる思いもありますし、
初心に戻り、「頑張らなければならない」と感じる機会でもありました。
その後の懇親会で「是非、お話してください」という講師のご依頼も
頂き、嬉しかったですね。
講演は日本全国どこでも承りますので、是非、お問い合わせ下さいね。
よろしくお願いします。
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