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社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所
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2015年2月19日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
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◆平成27年2月号の内容
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○ 制服に着替える時間は労働時間か?
○ 細かいミスを繰り返す社員の対応について
○ 社員が突然、ヒゲを生やして来たのですが・・・
○ 通勤災害(労災)になる場合、ならない場合
今回は「セクハラを放置すると大変なことに・・・」を解説します。
セクハラ(セクシャルハラスメント)のご相談は多く寄せられていますが、
個人的な問題やプライバシーの侵害など、細心の注意を払いながら、
解決への道筋を考えなければならないので、時間がかかる事があります。
しかし、「会社としての対応がよくわからない」、「事実の確認方法が
わからない」といって放置してしまうことが見受けられますが、これは
会社のリスクが増すばかりです。
なぜなら、会社はセクハラに対する迅速、かつ、適切な対応をしないと、
職場環境配慮義務を怠ったとして被害者に対して損害賠償責任を負うこと
があるのです。
これに関する裁判があります。
<厚生農協連合会事件 津地裁 平成9年11月5日>
〇 女性看護師と女性准看護師が上司である男性看護師からセクハラを
受けていた
〇 「いいケツしとるな」などの発言をされていた
〇 すれ違いざまにおしりなどを撫でられた
→ 行為は複数回に及ぶ
〇 女性看護師は男性看護師の上司(主任)に「男性看護師と深夜勤務を
したくない」旨を申し入れた
→ 以前、深夜勤務で一緒になった時に体を触られた
〇 主任は「何とかする。注意する。」と答えただけであった
→ 主任は男性看護師に注意をしなかったため、他の看護師が被害にあった
〇 女性看護師は主任に対して再度対処を求めたが「1日だけ待ってくれ」
と言っただけであった
→ その日の深夜勤務中に女性看護師が大腿部を触られる被害を受けた
〇 被害のあった翌日に女性看護師は師長に対して対応を求めた
→ 師長は院長、事務長等に相談し、関係者の事情聴取を行い、
女性看護師に報告を行った
→ 男性看護師には制裁処分が行われ、副主任の役職が解かれた
→ シフトを組む際、被害があった女性看護師らと夜勤で一緒にならない
ような勤務表を作成した
〇 女性看護師と女性准看護師は男性看護師に対して不法行為を理由
として、会社には職場環境配慮義務違反を理由に慰謝料等の請求を
行った
→ 慰謝料はそれぞれ330万円
そして、裁判所は以下の判断としたのです。
〇 男性看護師の行為はセクハラに当たり、不法行為に該当する
〇 以前から男性看護師がひわいな言動を行っていたのに、会社は
何も注意をしなかった
〇 女性看護師が主任に対し「男性看護師と深夜勤務をしたくない」旨を
申し入れたが何の対策も行わなかった
→ 師長にも会社にも報告がない
→ 男性看護師に注意もしなかった
〇 その後、夜間勤務でセクハラ行為が行われ、対応策を取ったものの
それ以前は監督義務者らは、何ら対策を取らずに見逃していた
〇 男性看護師の行為を見逃していたことは、女性看護師等に対し、
職場環境配慮義務を怠ったものと認められる
〇 慰謝料は男性看護師、会社とも「各50万円」とする
このようにして、セクハラを行った者はもちろん、会社の対応が適切で
ない場合も不法行為が認定されてしまうのです。
ここで、この裁判で会社が怠ったとされる「職場環境配慮義務」について、
詳しくみていきましょう。
職場環境でセクハラ等が存在する場合とは
〇 従業員の意に反する性的な言動や行為によって職場環境が不快である
〇 セクハラ等があるので、従業員が業務をするのに悪影響がある
〇 セクハラ等があるので、従業員が安心して働けない
等の状態であり、これらを取り除いて、快適な職場環境を提供するように
配慮することが義務とされているのです。
この裁判の場合、主任が女性看護師からセクハラ等のことを告げられても、
何もしなかった点が大きく、結果、新たな行為が発生したということが
職場環境配慮義務に違反した状態となったのです。
セクハラの苦情等が寄せられた場合、迅速に対応することが必要となり、
第2、第3の被害が発生しないように努めることが重要です。
そのため、会社の対応としては
〇 セクハラ防止の教育を実施する
〇 セクハラ被害を訴える従業員に対し、相談窓口を設置する
〇 実際に被害があった場合は、当事者双方から事情聴取を行う
〇 対応の遅れから、さらなる被害が発生した場合、会社の責任は
重大と評価される
→ セクハラ防止の措置は速やかに実行されるべき
等が必要となってくるのです。
しかし、セクハラの判断はとても難しい場合があります。
加害者がセクハラ行為を認めれば、事実の追及を行って、社内的な
制裁等を実施すればよいのですが、加害者がセクハラ行為を否定した場合
は大変です・・・。
証拠となるような写真や録音データ、メール等の客観的証拠があれば、
これらと供述の整合性を合わせることが重要です。
もし、客観的なものが存在しない場合は第三者の供述を集めることとなる
のです。
そして、それぞれの供述を集めて、整合性を検証し、「不自然な流れが
無いか」を確認して、会社が判断を下すという流れになるのです。
例えば、社内恋愛で2人の中が壊れ、嫌がらせとして「セクハラ行為が
あった」という裁判があったのですが、愛称で呼びあうメールがあり、
「性的関係は同意の上」となったケースもあります(東京地裁 平成18年
11月28日)。
このように、セクハラについての取り扱いはとても難しい部分もありますが、
被害者からの申告があった場合は日時、場所、第三者などの存在の確認を
必ず行うことが必須ですし、加害者についても同様です。
主観的な判断や先入観で物事を進めると、大きな失敗となることもあり、
客観的な事実を抑え、早急な対応を実行することが重要なのです。
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■編集後記
今度の日曜日(2月22日)に東京マラソンが開催されます。
一昨年は抽選に当たって、42.195キロを走りましたが、
昨年はボランティアでランナーをサポートしました。
今年は沿道で応援する予定です!
抽選10倍をクリアしたランナーに声援で後押しします。
来年は走りたいな!!
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