社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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セクハラの懲戒処分に関する【新たな】考え方


2015年3月 5日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 


 

◆「月刊 労務対策」

 

旬な労務の情報(DVD、CD、冊子)を毎月お届けします。

 

 

◆平成27年3月号の内容

 

○ 転勤を拒否したら、解雇できますか?

 

○ パワハラは会社と上司の問題です

 

○ セクハラを放置すると大変なことに・・・

 

○ 懲戒処分をしたら、その後にいろいろなことが発覚

 

○ あと3年後が大変に・・・(改正労働契約法について)


 

 

今回は「セクハラの懲戒処分に関する【新たな】考え方」を解説します。

 

 

セクハラ(セクシャルハラスメント)の問題が大きく報道されていますが、

 

まだまだ誤解をされている部分が多くあります。

 

 

セクハラについて整理をしてみると、

 

〇 性的嫌がらせ

 

〇 相手が望まない性的言動すべて

 

のことを指します。

 

 

ただし、セクハラは「セクハラ」と「セクハラでないもの」との境界線が

 

非常に分かりづらい事が問題点です。

 

 

「そんなつもりはなかったのに、知らない間に加害者になっていた」という

 

場合がないように、セクハラについて最低限の知識を身につけておくこと

 

が大切なのです。

 

 

特に注意しなければいけないのは、親しさを表すつもりの言動であった

 

としても、本人の意図とは関係なく、相手を不快にさせてしまう場合があり、

 

内容によってはセクハラと判断されてしまうケースがあることです。

 

 

そして、事が起きた場合、会社は職場環境を悪化させるとして懲戒処分を

 

実施しないといけなくなります。

 

 

これに関する裁判が以下です。

 

 

<海遊館セクハラ事件 最高裁 平成27年2月26日>

 

 

〇 課長代理の40代の男性社員2人は20~30代の女性派遣社員2人

 

  に性生活を話題にしたり、性的発言を繰り返した

 

→ 浮気相手との性生活の話

 

→ 女性派遣社員に向かって「夜の仕事とかしたらええやん」

 

→ 30歳女性派遣社員に向かって「30歳は22、3歳の子からみたら

 

  おばさんやで」

 

 

〇 会社はセクハラ防止教育を実施しており、課長代理の2人も研修等

 

  を受けていた

 

→ セクハラ防止について「こんな事を守っていたら話なんかできない」と

 

  話していた

 

 

〇 1年以上にわたるセクハラ発言等で女性派遣社員2人は被害を会社に

 

  申告し、会社が調査を実施した

 

 

〇 調査の結果「1人は出勤停止30日間、もう1人は出勤停止10日間

 

  とし、それぞれを降格」という懲戒処分を行った

 

 

〇 男性社員は懲戒処分の無効を求めて、裁判をおこした

 

→ 重い処分なのに事前の警告が無く、手続きが不当

 

 

そして、大阪地裁では「管理職が弱い立場の女性にみだらな発言を

 

繰り返した悪質な行為だ」として「処分は妥当」と認めたのです。

 

 

しかし、大阪高裁では「会社から事前に警告を受けていないことを考慮

 

すると、懲戒解雇に次ぐ重い処分を突然したのは権利の濫用」と判断し、

 

男性側の逆転勝訴としたのです。

 

 

最終的に、最高裁は「会社の処分手続きに問題はない」と結論づけました。

 

 

この理由は

 

〇 会社はセクハラ禁止文書を作成し、職場で周知していた

 

〇 全従業員にセクハラ防止研修を義務付けていた

 

〇 管理職としてセクハラへの懲戒処分を当然に認識すべきであった

 

〇 セクハラ発言の多くが密室で行われ、会社が被害を認識して警告や

 

  注意する機会はなかった

 

ということで、「会社は厳正に対処した」ということなのです。

 

 

この裁判で男性社員から主張されたことがありますが、これがセクハラを

 

継続的(1年超)に行われた理由と推測されます。

 

 

それは、

 

〇 女性派遣社員から明白な拒否の姿勢が示されていない

 

〇 言動について「許されている」と誤信した

 

ということです。

 

 

しかし、最高裁は

 

〇 職場におけるセクハラ行為は被害者が心の中では著しい不快感、

 

  嫌悪感を抱いても、職場の人間関係の悪化等を懸念して抗議、抵抗、

 

  会社への申告を差し控えたり、躊躇(ちゅうちょ)したりしてしまう

 

 

〇 管理職からの報復行為も懸念される

 

などの事情も考えて、判断したのです。

 

 

 

 

一般的な懲戒処分に該当する行為があった場合、

 

〇 事前に注意を行う

 

〇 それでもダメなら実際の処分を実施する

 

という流れとなります。

 

 

しかし、セクハラの処分については、その事情も踏まえ、

 

「待ったなしで処分することが可能」ということが今回の裁判で明らかと

 

なったのです。

 

 

この裁判の詳細をよく読むと、会社としての姿勢が問われており、

 

セクハラ禁止の文書の周知や全員参加の研修の実施が評価されています。

 

 

もし、会社の取り組みができていなかったり、中途半端なものであれば、

 

最高裁の結果も異なっていたかもしれません。

 

 

会社としてセクハラ問題を考える第一歩は「セクハラ防止、禁止の事前の

 

取組」なのです。

 

 

そのため、周知、研修等が実施されていなければ、急いで実施しましょう。

 

 

何か起きる前に手を打つことが重要であり、会社としてやるべきことを

 

やっておくことが「会社を守ること(=会社の責任を回避すること)」

 

なのです

 

 

 

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ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

昨日は、福岡、天神で労使トラブルのセミナーでした。

 

 

ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 

 

このセミナーは私が経験した事例を基に話をさせていただいており、

 

とても好評とのことです。

 

 

労使トラブルの原因の第一は「ボタンの掛け違い」から始まるので、

 

初期の動きが重要になってきます。

 

 

今回も福岡の皆様に有意義な情報をお届けできたと感じております。


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