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段階を踏まずに解雇をしたら無効か?


2016年3月17日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 


 

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○ 有給休暇の本当の取扱い


 

 

 

今日の1分セミナーは「段階を踏まずに解雇をしたら無効か?」を解説します。

 

 

「勤務不良の社員を辞めさせたい」というご相談は非常によくありますが、

 

これを理由に実際に解雇を行った例は少ないことも事実です。

 

 

なぜなら、解雇を実施するには、

 

〇 きちんと記載した就業規則が必要

 

〇 そこに記載した処分を段階的に実施

 

という状況でないと、解雇そのものが有効とはならないからです。

 

 

例えば、就業規則等に反して懲戒委員会等を開催しなったために、

 

懲戒解雇が無効とされた裁判があります。

 

 

<中央林間病院事件 東京地裁 平成8年7月26日>

 

 

〇 病院オーナーの依頼により、ある医者が院長に就任した。

 

〇 院長は病院を誹謗中傷し始めた。

 

〇 院長の発言により、職員の不安をあおり始めた。

 

〇 院長は規定に反して、勝手に医療機器を購入した。

 

〇 病院オーナーは規定違反の旨の通知を院長に通知した。

 

〇 そして、今後を考えて、懲戒解雇を検討した。

 

〇 病院の就業規則には「職員の懲戒は懲戒委員会に基づいて実施」と

 

  記載があったが、病院オーナーは総婦長との相談で解雇を実施。

 

〇 院長は解雇無効を訴えて裁判を起こした。

 

 

そして、裁判所は以下の判断をしました。

 

 

〇 院長という肩書きのため、就業規則による懲戒委員会は必要ないと

 

  考えられるが、本人の弁明を聞く機会等の代わりの方法がとられて

 

  いない。

 

〇 病院オーナーと総婦長との相談のみで解雇を実施したことは、

 

  瑕疵が大きい手続きである。

 

〇 懲戒解雇が無効とされ、病院側が負けた。

 

 

このように、就業規則に厳格な規定が定められていても、

 

運用を間違えると、解雇が無効となってしまう可能性があるのです。

 

 

一般的には、

 

〇 始末書の提出など

 

〇 減給、出勤停止など

 

〇 退職勧奨の実施

 

〇 弁明の機会を与える

 

〇 懲戒解雇の実施

 

という流れとなります。

 

 

懲戒解雇の実施前に、懲罰委員会などで本人の弁明の機会を与えた上で、

 

判断することがより客観的とみられるのです。

 

 

懲戒処分も軽いものから重いものへと段階的に実施し、

 

それでも駄目なら手続きに乗っ取り、解雇の判断をすべきなのです。

 

 

 

 

しかし、この流れを踏まずに解雇を実施した場合、

 

全てが無効となってしまうのでしょうか?

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<南淡漁業協同組合事件 大阪高裁 平成24年4月18日>

 

 

〇 職員は信用業務(貯金担当)だった。

 

 

〇 職員は無断振替を行って、規律違反を犯した。

 

 

〇 組合は重大な規律違反と判断し、職員を解雇とした。

 

→ 弁明の機会等は与えられなかった。

 

 

〇 これに対し、職員は組合が指導や警告を行わず、弁明の機会も無く、

 

  懲戒処分が軽いものも何も無かったのは不当解雇と主張し、

 

  解雇無効を訴えた。

 

→ 給料等と慰謝料として、約100万円を請求した。

 

 

〇 地裁判決では、いきなり解雇ではなく、指導や警告を行っていれば、

 

  改善できたとして、解雇は行き過ぎと判断した。

 

 

〇 ただし、慰謝料は10万円となった。

 

 

〇 その後、双方が控訴した。

 

 

そして、控訴審では次の判断がされました。

 

 

〇 無断振替や代筆行為は組合の信用を著しく傷つけた。

 

 

〇 この職場は4人しかおらず、職員は会話等をせずに孤立していたため、

 

  他の職員との会話や伝達さえも行わない状態が長く続き、説明や意見を

 

  求められる状態ではなかった。

 

 

〇 段階的な処分の実施もこの職員の態度から考えると、改善の可能性は 

 

  考えられない。

 

 

〇 組合は無断振替等の発覚後、退職届を求めたが、この職員は黙り、

 

  弁明の機会等は当然に不可能と考えられた。

 

 

〇 解雇は有効。

 

 

第一審では改善される可能性を考えて、解雇無効と判断されましたが、

 

控訴審では職員が4人しかいないという職場の環境等を深く検討し、

 

現実的な判断が下されたのです。

 

 

しかし、この事件の第一審や前半で取り上げた中央林間病院事件のように、

 

段階的な処分や手続きの不備で解雇無効となるケースもあります。

 

 

ここはケースバイケースになるので、状況次第となります。

 

 

そこで、考えるべきことは

 

〇 懲戒処分が段階的に可能か?

 

〇 可能であれば、就業規則に記載された手続きを段階的に実施する

 

〇 不可能であれば、「なぜ不可能なのか?」を記録し、保存する

 

という流れです。

 

 

以上を行えば、トラブルになった際の対応がスムーズにいくのです。

 

 

ただし、その際は労働法に強い弁護士や社労士などの専門家に

 

事前に相談するべきです。

 

 

日本の裁判は前例を重んじる傾向にありますが、会社によって、

 

職場環境が異なり、また、組織も違います。

 

 

裁判でも真逆の判断がされることは多いので、「〇〇事件で有効だから

 

大丈夫だろう」と考えるのは、非常に危険です。

 

 

勤務不良の状況次第、会社の環境、手続きの状況などにより、

 

懲戒処分(特に、懲戒解雇)が有効か無効かは分かれます。

 

 

会社が「早急に処分したい」という気持ちも理解はできますが、

 

ここで失敗し、裁判となるケースも少なくありません。

 

 

そうなると、勝つにせよ、負けるにせよ、会社としての様々な負担が

 

大きいことも事実です。

 

 

最もベストな方法は「勤務不良の社員には『納得して』お辞め頂く」

 

ということなのです。   

 

 

 

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これらの事実が発覚した場合は法的措置を取らせて頂きますので、

 

ご注意ください。

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敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

エステ業界大手の「エステティックTBC」の福岡県の店舗に3月4日、

 

労働基準監督署から是正勧告が出されたとのことです。

 

 

十分な休憩を与えず、従業員を長時間働かせた上、時間外労働に対する

 

賃金も支払っていなかったようです(産経新聞 3月14日より)。

 

 

社員の自社商品の自腹購入も問題となっており、まだまだ問題が

 

いろいろ出てきそうな気がします・・・。

 

 

TV番組の「ガイヤの夜明け」で労働基準監督署の調査の内容が

 

特集されたり、日々の報道でこのようなニュースがあり、

 

なかなか終息とはいかないようです。


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