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問題を繰り返す社員は解雇可能か?


2016年4月14日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 


 

◆「月刊 労務対策」

 

旬な労務の情報(DVD、CD、冊子)を毎月お届けします。

 

◆平成28年4月号(Vol.17)の内容

 

○ 経歴詐称で解雇ができますか?

 

○ 労働時間の認定方法はどうなっているのですか?

 

○ 段階を踏まずに解雇をしたら無効か?

 

○ 残業時間はどちらでカウントするのか?

 

○ 有給取得と給料の取扱い、手当の減額は可能か?


 

 

 

今日は「問題を繰り返す社員は解雇可能か?」を解説します。

 

 

「周りの社員とうまくやっていけない社員がいるのですが、

 

本人はそのことに気がついていないようで、勝手気ままに過ごしています。

 

自分の主張は強くするのですが、上司の命令さえ聞きません。

 

協調性に問題があり、周りの社員も振り回されているので、この社員を

 

解雇することはできませんか?」

 

 

少し前に、このようなご相談を頂きました。

 

 

職場の秩序を乱す社員は他の社員にストレスをかけ、

 

その存在が組織をマイナスの方向に向かわせてしまうこともあります。

 

 

しかし、すぐに解雇できないのが法律となっています。

 

 

解雇するには

 

〇 客観的なそれなりの理由

 

〇 誰が見ても解雇に値する相当性

 

が必要で、以下のような段階的な対応が必要です。

 

 

(1)問題言動の発生を記録

 

→ いつ?、どこで?、誰に対して?、どのような内容?

 

 

(2)口頭にて注意を実施

 

→ コミュニケーションによる改善(まずは軽めに注意する)

 

 

(3)書面にて改善指導

 

→ 口頭注意で改善がみられない場合、正式文書として発行

 

→ 裁判等になった時の強力な証拠となる

 

 

(4)懲戒処分

 

→ 就業規則に「懲戒の事由」と「処分内容」を必ず記載しておく

 

→ 弁明の機会を設ける

 

 

(5)退職勧奨

 

→ 懲戒処分にも関わらず、問題行動の改善がみられなければ、

 

  退職することを勧める

 

 

(6)解雇

 

→ 退職勧奨により自ら退職を選択しない場合、解雇を実施

 

 

このプロセスの目的は問題社員に改善をしてもらうことです。

 

 

だから、実際に改善されれば、懲戒処分、退職勧奨、解雇などは

 

実施しなくてもいいのです。

 

 

 

 

冒頭のご相談の場合、理由は多くありますが、決定的な理由が無く、

 

誰が見ても「解雇に値する」という判断ができないので、解雇は

 

厳しいと考えられますが、これに関する裁判があります。

 

 

<カジマ・リノベイト事件 東京高裁 平成14年9月30日>

 

 

〇 社員は上司の指示に従わない。

 

・ 書類の処理方法

 

・ コピー作成の拒否

 

・ 上司の書類を無断で読む

 

 

〇 会社はこの社員に対し、「職場秩序に悪影響を与える」として、

 

  けん責処分を実施した(けん責等の理由は以下)。

 

・ 会社の導入したソフトを利用せず、自分が慣れたソフトを使用

 

・ 仕事のミスについて「上司がしっかり引継ぎしないから」と侮辱

 

・ 上司の説明について「ネチネチと話をするのは止めて下さい」と反論

 

・ 派遣社員を「無能力」と決めつけて指導せずに時間外労働を

 

  させないようにとの指示に従わず、また、時間外勤務集計表の編綴の

 

  やり方を指示通りにしない

 

・ 職場内で独り言を声高にいう

 

・ 隣の席の従業員に対し、「居眠りばっかりして、そんな時間があるなら

 

  自分でコピーしなさいよ」と言って傷つける

 

・ 現場や下請けからの電話による問い合わせに対し、独断で処理、

 

  事後報告もしない

 

・ 取引業者からの労務費請求に対し、請求書提出が遅れたといって

 

  無断で支払いを翌月に延ばす

 

・ インターネットに社内の業務ミスや批判記事を掲載

 

 

〇 会社は改善がみられない為、けん責を合計4回実施した。

 

 

〇 会社は反省を促すため始末書の提出を命じたが、提出しなかった。

 

 

〇 会社は処分通知書を社員に渡したら、これをシュレッダーに投入した。

 

 

〇 会社は社員を解雇とし、社員は解雇無効を裁判所に訴えた。

 

 

〇 第1審の東京地裁(平成13年12月25日)は解雇無効と判断した。

 

 

そして、第2審の東京高裁は以下の判断を下したのです。

 

 

〇 懲戒処分の対象となる事柄1つ1つを取り上げると、些細なものが

 

  多いが、会社全体として考え、秩序維持の観点から「自分のやり方」、

 

  「自分の態度」を変えない等は違法性が高い。

 

 

〇 4回のけん責を通告されても改善する姿勢がみられなかった。

 

 

〇 会社から弁明する機会が与えられていた。

 

 

〇 就業規則に「勤務成績又は能率が著しく不良で、就業に適しないと

 

  認めるとき」との解雇条項があることなどから、解雇権の濫用には

 

  当たらないとした。

 

 

〇 多数の問題があれば客観的合理的な理由となり、注意指導による

 

  改善の機会が与えられていても、改善されなければ社会相当性を

 

  備えていることになる。

 

 

〇 解雇は有効(1審と逆の判断となり、会社側が勝った)

    

 

この裁判のポイントは以下の部分です。

 

 

〇 具体的にどういった点に問題があるのかを本人に伝えている

 

・ 会社として記録を行っている(多くの会社はこれが抜けることが多い)

 

 

〇 改善を促している(口頭のみ)

 

 

〇 口頭のみの改善で効果が無ければ、改善指導は文書を用いて実施する

 

・ 会社の正式な文書として発行し、裁判等となった場合の証拠力を

 

  高める

 

 

〇 些細な事でも、きちんと記録をとり、それに対して口頭注意を行い、

 

  さらに、改善指導書を発行し、就業規則通りに運用が細かく実施した

 

 

このように、解雇を実施するには細かいところまで気を使い、

 

就業規則の条文等を忠実に運用することで、有効性が高まるのです。

 

 

しかし、実際には「すぐに解雇したい」という社長が多いのも事実ですが、

 

すぐに解雇を実施しても、訴えられて「不当解雇」となるだけです。

 

 

会社が問題社員と向き合い、改善の機会を与え、それでも改善しないなら、

 

他の社員への影響も考え、会社を守るために解雇するのです。

 

 

この場合、可能な限りトラブルを防止するために、会社が問題社員に

 

対応したプロセスを明確にし、解雇の正当性を高めていくことが重要です。

 

 

特に文書での注意指導のプロセスが欠けていることが多いですので、

 

次の文書を参照して下さい。

 

 

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〇〇殿                    平成〇年〇月〇日

 

                       〇〇株式会社

          注意指導書        総務部長○○

                    

 貴殿については、これまでも勤務上の問題があったため、上長から口頭

 

による指導注意を重ねてきましたが、いまだ下記の問題が発生しており、

 

改善がみられないので、本書をもって注意を行うとともに、改善を求め

 

ます。

 

 今後改善が認められない場合、就業規則に従った処分の実施をせざるを

 

えませんので、真摯に受け止めて改善に取り組んで下さい。

 

             記

 

           <以下省略>

--------------------------------------------------------------------- 

 

 

色々なご相談等で感じるのは、「雇用関係を早急に解消したい」という

 

強い思いは感情的には理解します。

 

 

しかし、一定のプロセスを踏まずに強引に行なうと、

 

後で痛い目に合うこともあり得るのです。

 

 

1人の社員にかかる解雇の案件は最低でも半年ぐらいの期間をかけ、

 

対応方法を考えるべきでしょう。

 

 

ただし、この場合は他の社員が振り回されることになるので、

 

これらの社員に対するケアも必要になります。

 

 

他の社員も頑張る、耐える、という必要が出てくることもありますので、

 

現場の士気にも影響してきます。

 

 

それだけに、早急に対応したい気持ちは理解できますが、

 

一定の期間をかけないと、より傷口を広げることになるのです。

 

 

 

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また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

先日、ある勉強会に出て人材のあり方の面白い考えを習いました。

 

 

それは、

 

〇 目指すは「人財」

 

〇 現実には「人材」

 

〇 人事の失敗から生まれるのが「人在」

 

〇 職場の人間関係構築に失敗すると「人罪」

 

ということです。

 

 

会社は人がいないと成り立ちません。

 

 

今、目の前の人の能力を最大限に生かすことを考えないと、

 

会社の発展はないとのことでした。


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