社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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組織を乱す社員への対応について


2016年6月 9日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 


 

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今日は「組織を乱す社員への対応について」を解説します。

 

 

組織を乱す社員がいると周りの人達が苦労し、会社はその対応に

 

頭を悩ませます。

 

 

問題社員は発言や態度で職場を混乱させ、上司の指示に従わなかったり、

 

周りの同僚のモチベーションを低下させたり、お客様とトラブルを

 

起こしたりと、自己中心的な行動が見られます。

 

 

実際、このような場面でどんな対処をするのが良いのかというと、

 

〇 感情が先行していることがほとんどなので、法的にどう位置付け

 

  られるのかを考える

 

〇 就業規則の服務規定で、今回の件がどの条項に合致するのかを

 

  検討する

 

等となります。

 

 

これらを考えて、問題社員の発言や行動が労働契約の関係において、

 

「何が」問題なのかを明確にする必要があるのです。

 

 

もちろん、問題社員が会社の規則を守らない、指示に従わない、

 

他の社員とトラブルを発生させる、協調性を持たない等のことは

 

労働契約で労働者の義務違反になるのです。

 

 

 

 

しかし、問題社員をひとくくりで考えてしまうと、「何が問題なのか?」

 

「どこが規則に抵触しているのか?」などが曖昧になっています。

 

 

そして、「就業規則の罰則には当てはまりそうですが・・・」などと

 

迷ってしまう場合が非常に多いのも事実です。

 

 

たとえば、「協調性不足で解雇したい」というケースですが、

 

「どんな行為が協調性不足なのか?」という「証拠」が無いことも多いです。

 

 

協調性が不足していると感じた発言、行動を「ありのまま」に

 

記録しておくことが重要となるのです。

 

 

そして、具体的な対応ですが、まずは口頭注意です。

 

 

これも記録を残しておくべきです。

 

 

さらに、数回の口頭注意を行っても改善が見込めなければ、

 

書面による改善指導になります。

 

 

書面によることで、会社としては正式な注意ということになるのと、

 

記録として残すことにより、証拠としての意味も持ちます。

 

 

文書の表題としては「注意改善書」、「改善指導書」、「厳重注意書」

 

などが考えられます。

 

 

以上の文書で改善されれば問題ありませんが、

 

それでも改善見込みがないと懲戒処分や解雇を検討せざるを得ません。

 

 

しかし、

 

〇 横領が発覚した

 

〇 故意に損害を与えた

 

〇 刑事罰が確定した

 

などでなければ、解雇はできないと考えている社長さんも大勢います。

 

 

そんなことはありません。

 

 

上司の指示に従わない、勤務態度が悪いなどで解雇が成立した事例も

 

多くあるのです。

 

 

これに関する裁判が以下です。

 

 

<三菱電機エンジニアリング事件 神戸地裁 平成21年1月30日>

 

 

〇 社員は上司の指示に従わず、上司を愚弄するメールを送りつけた。

 

〇 長時間離席をしていた。

 

〇 業務の納期を無視した。

 

〇 業務と関係ないウェブページの閲覧を繰り返していた。

 

〇 会社は数回、書面による注意、指導を実施した。

 

〇 それでも改善されないので、出勤停止の懲戒処分を2回実施した。

 

〇 それでも改善されなかったので、会社は解雇を実施した。

 

〇 社員はこれは不当解雇である主張をし、裁判を起こした。

 

 

そして、裁判所は以下の判断をしたのです。

 

 

〇 解雇は有効(会社側の勝訴)

 

 

なぜ、この結論だったのかみてみると、

 

〇 会社と社員の労働契約を維持することはできない

 

〇 会社が解雇する理由は、誰が見ても明確である

 

と判断されたからです。

 

 

この裁判と類似するものもあります。

 

 

<セコム損害保険事件 東京地裁 平成19年9月14日>

 

 

〇 社員は入社当初から上司を批判するメールを送信していた。

 

〇 職場の座席の移動を禁じられても無視していた。

 

〇 これらの行為に厳重注意を受けたものの言動に変化はなかった。

 

〇 会社は「これ以上の雇用関係は継続できない」として解雇をしたが、

 

  社員は「違法な解雇である」として裁判所に訴えた。

 

 

そして、裁判所は以下の判断をしたのです。

 

 

〇 会社は社員の問題行動に適切に対応している 

 

〇 解雇は有効である(会社側が勝訴)

 

 

この裁判でも

 

〇 会社と社員の労働契約を維持することはできない

 

〇 会社が解雇する理由は、誰が見ても明確である

 

と判断したのです。

 

 

さらに、職場の周囲の人達ともあつれきを招いているとして、

 

「会社と社員の関係性は破壊しており、回復は困難である」としたのです。

 

 

これらの裁判をみても「社員の反抗的な態度、命令の無視」などで

 

解雇が有効となっています。

 

 

社員が起こす問題は様々ですが、単発的な問題はその都度解決できます。

 

 

しかし、たびたび繰り返す問題の発言や行動に対しては

 

〇 問題の記録

 

〇 口頭注意

 

〇 書面による注意改善指導

 

を実行しないといけません。

 

 

そして、その先に「懲戒処分」「退職勧奨」「懲戒解雇」が段階的に

 

実施されるべきでしょう。

 

 

横領、損害、刑事罰などが無くても、大丈夫なのです。

 

 

ただし、この問題でよく相談されるのは「すぐに解雇したい」

 

ということですが、問題言動、行動を繰り返す社員への対応には

 

ある程度の期間は必要です。

 

 

不当解雇を主張されないためにも(されても勝つためには)、

 

段階的な対応を実施して、やむを得ない解雇として理由づけることが

 

重要なのです。

 

 

問題社員を放置することで、他の真面目に働いている社員を守り、

 

会社組織の秩序を守ることが大切です。

 

 

仮に、裁判になっても会社として対応が正当であることが主張できれば

 

問題はありません。

 

 

それよりも、放置して周りに悪影響が広がる方が、

 

将来的に問題は大き問題に発展する可能性があるのです。

 

 

いずれにせよ、横領等の重要な状況でなくとも、

 

社員の問題行動、発言がひどく、会社が注意しても改善されなければ、

 

解雇は有効になるケースがあるということです。

 

 

そのためには、

 

〇 就業規則や労働契約書を「適正に」記載すること 

 

〇 口頭注意を記録に残し、書面での注意をする

 

ということが重要なのです。

 

 

様々なご相談をお受けする中で感じることは

 

「問題社員の言動、行動が改善されるケースは少ない」

 

ということです。

 

 

結果として、退職勧奨、解雇に至るケースもある訳ですから、

 

皆さんはしっかりと「証拠」を残しておくことが重要なのです。 

 

 

 

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■編集後記

 

 

昨日から出張で福岡に来ております。

 

 

新規のお客様のご相談で小倉におじゃましています。

 

 

小倉は数年ぶりですが、海鮮がおいしいですね!

 

 

前に来た時にごちそうになったイカのお刺身が忘れられず、

 

東京で同じ味を求めても出会うことはありませんでした・・・。

 

 

博多、小倉ではこの味が堪能できるので楽しみです。


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