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懲戒解雇の場合、退職金を支払わなくてもOKか?


2016年6月30日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 


 

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今日は「懲戒解雇の場合、退職金を支払わなくてもOKか?」を解説します。

 

 

社員が不祥事を起こした場合は懲戒解雇等の対象となりますが、

 

その際の退職金の支給を支給するのか?しないのか?

 

ということが問題になるケースがあります。

 

 

この場合、会社は「支給したくない」と感情的にもなりますが、

 

実際には、支給しなければならない場合もあります。

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<小田急電鉄事件 東京高裁 平成15年12月11日>

 

 

〇 社員は電車内での痴漢行為を行った。

 

〇 痴漢が発覚し、これを理由に社員の懲戒解雇が実施された。

 

〇 社員は懲戒解雇無効を主張、退職金920万円の請求した。

 

〇 第1審では懲戒解雇と退職金の不支給の両方とも有効と判断。

 

〇 社員は控訴した。

 

 

そして、第2審は以下の判断をしたのです。

 

 

〇 懲戒解雇は有効である。

 

〇 本来支給される退職金のうち、3割の額の支給が認められるべき。

 

 

なぜ、このような結果となったのかを詳しくみてみましょう。

 

 

退職金には給料の後払い的な性格もあります。

 

 

また、退職後の生活保障的な意味もあり大幅減額のような変更は

 

退職後の社員の生活にも大きな影響を与えます。

 

 

しかし、退職後に競合行為を行う場合など、労使の信頼関係を

 

壊すような行為があった場合などに、減額支給や不支給が認められます。

 

 

しかし、そうした行為がない場合には一方的に支給しないことは

 

認められるべきではありません。

 

 

当然、退職金の不利益変更についても、退職金の複合的な性格を

 

十分に考慮しなければならないのです。

 

 

上記事件では痴漢行為は「私生活上の問題」で業務関連性はありません。

 

 

また、社員は20年あまり真面目に勤務してきたので、長年の功労を

 

消し去るほどの不信行為があったとはいえないと判断され、本来の3割

 

の退職金の支給が認められたのです。

 

 

 

 

しかし、業務上横領の場合などは、異なる結論となっています。

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<北海道市町村職員退職手当組合事件 札幌高裁 平成27年9月11日>

 

 

〇 死亡した職員は生前、業務上の横領を行っていた。

 

→ 横領の金額は18万円

 

 

〇 死亡に伴って死亡退職金が支払われるが、制裁処分として退職金は

 

  払われなかった。

 

 

〇 職員の妻は退職金(763万円)の全額が支払われないのは

 

  違法であるとして裁判を起こした。

 

→ 被害が18万円なので、重すぎると主張。

 

 

〇 第1審では妻の請求が容認されたので、組合は控訴した。

 

 

そして、第2審の判断は以下となったのです。

 

 

〇 死亡した職員は公務員の信頼を失墜させた。

 

〇 不正な着服は額の大小を問わず、行為自体が問題である。

 

〇 被害額の弁償はされていない。

 

〇 職員の勤務態度は問題が多かった。

 

〇 退職金を支払わない判断は妥当である。

 

 

以上により、組合側の勝訴となったのです。

 

 

小田急電鉄事件は私生活上の問題であって、業務との関係は

 

なかったのですが、北海道市町村職員退職手当組合事件は

 

業務上の横領なので、退職金全額の不支給がOKとなったのです。

 

 

さらに、「被害額が少額」と主張がされたのですが、

 

弁償も行われず、横領自体が悪質と判断されたのです。

 

 

また、生前の勤務態度が悪かったこと等もこの判断で考慮されています。

 

 

 

 

このように、退職金を支払わないことについては、

 

不祥事が業務上での行為か?私生活上での行為なのか?で

 

判断が異なってきます。

 

 

ただし、退職金は「後払い給料としての性格」もあるので、

 

その取扱いは慎重に行うべきです。

 

 

まず、退職金を支給しない、または、減額することを考える場合、

 

〇 本来は退職金規定でいくら支給するのか?

 

〇 懲戒処分等の理由が業務上なのか否か?

 

〇 勤務態度はどんな態度であったのか?

 

〇 会社への貢献はどう評価するのか?

 

などを基準として考えましょう。

 

 

そして、重要なことは就業規則への記載です。

 

 

懲戒解雇をする場合、「退職金は支給しない、または、減額することが

 

ある」という旨を就業規則に「明記」しておくのです。

 

 

この書き方があやふやだとトラブルの火種になる場合もあるのです。

 

 

また、減額の場合、不祥事の程度に応じて、

 

自社の前例や過去の裁判の割合などを考慮して、

 

類似する事例を当てはめて考えましょう。

 

 

「ざっくり何割減額」と感覚で計算するのではなく、

 

会社なりの根拠をもって計算し、積み上げることが重要です。

 

 

退職金は金額も大きくなることが多く、これが不支給、減額となると、

 

「事件を起こした自分も悪いが、今まで貢献してきたことも事実だ」

 

「不支給、または、この割合の減額はあんまりだ」

 

とトラブルになることもあります。

 

 

こういうことを防ぐためにも、就業規則に明記するとともに、

 

事が起きてしまった場合は労務トラブルに詳しい社会保険労務士や

 

労働法に強い弁護士に相談することが重要なのです。

 

 

 

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■編集後記

 

 

梅雨ですが、関東は水不足が心配されています。

 

 

ダムの貯水率が20%を切っているところもあるとのことで、

 

本当に干上がっちゃうのではないでしょうか。

 

 

逆に、九州は大雨で、被害も出ています。

 

 

必要なところに降らずに、必要のないところは大雨で、

 

大変な状況になっています。

 

 

バランスよく降らないですね・・・。


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