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出向者が起こした問題に対する損害責任は出向元? 出向先?


2016年7月28日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 


 

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○ 正社員と契約社員の給料の差額は問題か?

 

○ 懲戒解雇の場合、退職金を支払わなくてもOKか?


 

 

 

今日は「出向者が起こした問題に対する損害責任は出向元? 出向先?」

 

を解説します。

 

 

多くの会社で出向という制度を利用しています。

 

 

その中で、こんなご質問を頂くことがあります。

 

 

「社員が会社に対して損害を与えたので、損害賠償を実施したいのですが、

 

実際はどのぐらいまで請求できますか?」

 

 

この場合、損害を発生させた状況により、異なる結果となります。

 

 

例えば、下記事例があります。

 

 

〇 茨城石炭商事事件(最高裁 昭和51年7月8日)

 

・ タンクローリーの運転手が前方不注意で交通事故を起こし、損害が発生

 

・ 会社は運転手に損害賠償を請求

 

・ 労働者の損害賠償責任は4分の1までとした

 

 

この裁判では損害賠償請求の一部を認めていますが、

 

多くの裁判例では損害賠償責任なしとしたものも多くあります。

 

 

〇 小川重機事件(大阪地裁 平成3年1月22日)

 

・ 会社は業務命令違反で在庫が過剰発生して損害が発生したと主張

 

・ 会社の指示が通っていなかったこと等から損害賠償の必要なしと判断

 

 

〇 光栄機設事件(大阪地裁 平成10年1月23日)

 

・ 社員の顧客対応に不適切な点があったが債務不履行とまでいえない

 

・ 損害賠償は認めない

 

 

もちろん、従業員に過失を認めて損害賠償を肯定した事例もありますが、

 

100%という事案はありません。

 

 

では、今回の本題ですが、会社から出向した社員が出向先で

 

問題を起こした場合、どのように考えればいいのでしょうか?

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<名古屋鉄道事件 名古屋高裁 平成26年2月13日>

 

 

〇 社員は名古屋鉄道から第三セクターへ出向を命じられ、

 

  経理関係の業務を担当していた。

 

 

〇 社員は出向中の約5年間に出向先の預金から現金を引き出して、

 

  馬券を購入していた。

 

 

〇 期末監査において、社員の横領が発覚し、会社(第三セクター)は

 

  社員を業務上横領で告訴し、社員は起訴※された。

 

※ 社員は名古屋地裁で、執行猶予付き有罪判決が確定

 

 

〇 社員は約8,910万円を横領し、約2,549万円を弁済し、

 

  約6,361万円が未収となっていた。

 

 

〇 出向先(第三セクター)は出向元の会社と社員に対し、

 

  社員の横領により受けた被害額(社員が弁済した残額)の支払いを

 

  求め、裁判を起こした。

 

 

そして、裁判所は以下の判断を下しました。

 

 

〇 出向元(名古屋鉄道)には人選の落ち度があり、

 

  被害額の5割を負担させるのが相当である。

 

 

〇 横領を防止する体制が無かったので、出向先(第三セクター)の

 

  責任も被害額の5割とする。

 

 

この裁判のポイントは「出向元の会社に責任があるのか?」という点です。

 

 

ちなみに、出向契約には以下の条項がありました。

 

 

--------------------------------------------------------------------- 

出向元は、出向者が法令又は出向先の規約等に違反したことにより、

 

出向先に損害を与えた場合、その行為により出向先が被った損害を補填

 

する。ただし、その原因が出向先の責めに帰すべき事由によるときは

 

この限りでない。 

---------------------------------------------------------------------

 

 

人選は出向元が行っているので、法令違反を起こさず、出向先に損害を

 

負わせない社員を出向させるべきです。

 

 

よって、上記の条文があることで、出向元の会社は出向者の身元保証を

 

行っていると考えられます。

 

 

しかし、出向先の会社も5年もの間、出向者の横領を放置した内部体制に

 

問題があり、経理担当者が自由に会社の現預金等を出し入れできることも

 

大きな落ち度とのことでした。

 

 

結果として、両社同程度の責任が認められるので、損害について、

 

それぞれ5割を負担するべきとしたのです。

 

 

この結果を踏まえると、出向元については

 

〇 出向者の人選を慎重に行う

 

〇 過去に懲戒等の履歴が無い者を選出する

 

〇 出向先の監視体制(内部体制)等をチェックする

 

ことが留意するポイントとなっています。

 

 

そして、出向先は

 

〇 出向者の受け入れをきちんと実施し、担当業務の確認を行う

 

〇 不測の事態に出向元に補償させる条文を記載した出向契約を結ぶ

 

〇 横領等ができないような監視体制を確立する

 

ということがポイントです。

 

 

さらに、よくある問題として、

 

〇 使えない社員だから出向させる

 

〇 問題がありそうな社員だから、出向させる

 

ということがあります。

 

 

この考え方は「完全に」間違っています。

 

 

なぜなら、出向先で大きなトラブルを発生させた場合、

 

出向元でも大きな責任をとらざるを得ないからです。

 

 

また、出向を受け入れる会社も

 

〇 親会社からくる出向者だから問題ない

 

〇 大手の支援だから全て任せよう

 

〇 取引先からの出向者だから大丈夫だろう

 

というのは危険です。

 

 

結果として、本人の問題であり、「出向元が大手等であるから安心」

 

ということはあり得ないのです。

 

 

だから、出向先は指導、管理体制を構築し、

 

プロパー社員と同様の管理体制で迎えることが大切なのです。 

 

 

このように、出向元、出向先で考えることは異なります。

 

 

ただし、色々なことを想定して、出向契約書を作成することが

 

最初のスタートとなります。

 

 

あらゆるリスクは実現する可能性がありますので、何が起きても

 

大丈夫なように文書を作成することが大切なのです。

 

 

 

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ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

7月は労働保険料の申告、社会保険の基礎算定と業界的には

 

繁忙期でした。

 

 

特に年金事務所の算定調査は、時間指定で呼び出しがあり、

 

詳細にチェックされるので、特に何もないと考えていても

 

ドキドキしてしまいます(笑)。

 

 

問題なく順調に調査も終わり、一息ついているところです。

 

 

ただ、秋風が吹くころは労働基準監督署の調査が増える時期ですね。

 

 

この時期に連絡が入ったら、厳しい調査になる可能性が高いです。


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