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在職中に持ち出した情報に対する損害賠償について


2016年8月 4日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 


 

◆「月刊 労務対策」

 

旬な労務の情報(DVD、CD、冊子)を毎月お届けします。

 

◆平成28年8月号(Vol.21)の内容

 

○ 内部告発した社員は解雇できない?

 

○ 飲み会後の事故は労災か?

 

○ 出向者が起こした問題に対する損害責任は出向元?、出向先?

 

○ 長時間の残業で、社員が倒れたらp>

 

○ 労働基準監督署の調査について


 

 

 

今日は「在職中に持ち出した情報に対する損害賠償について」を解説します。

 

 

業務上の情報を社員が勝手に持ち出したら、その情報によっては

 

会社存続の危機となる場合があります。

 

 

具体的には、

 

〇 新商品の概要

 

〇 開発中の新規技術

 

〇 製品や商品の仕入れ値

 

など、他社には知られてはいけない情報が多くあります。

 

 

そのため、多くの会社では社員が情報漏えいをしないように

 

就業規則で情報の取り扱いについて定めたり、情報管理規程を作ったり

 

しているのです。

 

 

しかし、社員がこれらを守らないと、情報は洩れてしまいます。

 

 

これに関する情報があります。

 

 

2015年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書(特定非営利

 

活動法人日本ネットワークセキュリティ協会)より

 

 

漏えい件数799件の内訳は下記となっていました。

 

 

〇 1位・・・紛失、置き忘れ 243件(30.4%)

 

〇 2位・・・誤操作 206件(25.8%)

 

〇 3位・・・管理ミス 144件(18%)

 

〇 4位・・・不正アクセス 64件(8%)

 

〇 5位・・・盗難 44件 (5.5%)

 

○ 6位・・・不正な情報持ち出し 38件(4.8%)

 

 

上記の情報では、不正な情報持ち出しは5%弱も発生しているのです。

 

 

では、実際に不正な持ち出しが発生してしまった場合、

 

どのような対応が必要なのでしょうか?

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<レガシィ事件 東京地裁 平成27年3月27日>

 

 

〇 社員が在職中に顧客の情報が入ったデータを自分のUSBメモリに

 

  ダウンロードをして持ち帰った。

 

→ 自分と他の社員の担当顧客と業務対応時間等が集計されたシート

 

  であった。

 

 

〇 社員は退職後、すでに退職した別の社員にこのデータを渡した。

 

→ 退職したこの社員は別の社員とともにこのデータをベースに

 

  未払い残業代の請求をした。

 

 

〇 会社は情報漏えいに関し、退職した社員が原因と突き止めた。

 

→ 在籍中に顧客情報を含むデータを他の人に渡したので、

 

  機密保持義務違反として、損害賠償200万円の請求を行い、

 

  裁判を起こした。

 

 

そして、裁判所は以下の判断をしたのです。

 

 

〇 在職中に機密情報を持ち帰ったのは、就業規則の服務規律違反である。

 

 

〇 退職後については、就業規則に「退職した社員に守秘義務を課す

 

  根拠となる記載がない」、また、「特約等もないので秘密保持の

 

  義務は無い」と判断された。

 

 

○ 損害については、役員が今回の調査等を行い、本来の営業活動等が

 

  滞ったための利益喪失を主張したが、損害を認定できないとして

 

  認定されなかった。

 

 

〇 会社側が敗訴となった。

 

 

 

 

この裁判では秘密保持について、

 

在職中と退職後の取り扱いを「異なるもの」と判断しています。

 

 

この件について、会社側は「就業規則の機密保持に関する事項は、

 

退職後も信義則上、義務として付随する」と主張しました。

 

 

しかし、裁判所は「就業規則は在職時を規制する」とのことで

 

認めてくれませんでした。

 

 

そして、退職後の機密保持に関する取り決めが無いことから、

 

機密保持の義務を否定したのです。

 

 

会社は損害賠償についても「調査により営業活動等が滞った」と

 

主張しました。

 

 

しかし、裁判所は「具体的にどの作業にどれだけの時間を費やしたのか?等の

 

立証されておらず、損害額の認定ができない」と判断されたのです。

 

 

この裁判を踏まえ、皆さんは情報等の漏えい起こった場合を仮定して、

 

次のことは必ず押さえておきましょう。

 

 

〇 就業規則に機密保持の取り扱い、漏えい時の罰則等を記載する。

 

→ 情報の重要度等で段階別に管理する方法を考えましょう。

 

 

〇 退職時に在職中の情報に対する機密保持義務を約束させる。

 

→ 退職時に「情報に関する誓約書」をもらいましょう。

 

 

○ 情報漏えい等が発生した場合、どこの部署が管轄し、どんな対応を

 

  取るのかを事前に決めておく。

 

→ 通常は総務部等が情報を一元化し、役員等に報告する流れです。

 

 

まず、在職中の行為に関しては就業規則等に明確に記載することで、

 

制限がかけられます。

 

 

具体的には懲罰の対象し、防止に力を入れるということです。

 

 

そして、退職時については誓約書を必ず書かせることです。

 

 

ただし、誓約書があるから「情報漏えいが起こっても、

 

誓約書が全て守ってくれる」と思ってはいけません。

 

 

しかし、これが無いと事例の裁判のように「退職後の機密保持に関する

 

取り決めが無いので、機密保持の義務を否定」となってしまいます。

 

 

情報漏えいは「漏れてしまった情報の機密性、重要性」で、

 

その取扱いが大きく変わります。

 

 

皆さんは会社を守るために、

 

上記に挙げた3つのポイントは必ず守って下さい。

 

 

最低限、ここを押さえれば裁判等で戦う余地が出てくるからです。 

 

 

 

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敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

先週は会津若松に出張でした。

 

 

東北のさわやかな風を感じてと行きたいところでしたが、

 

盆地特有の気候で、気温は35度・・・。

 

 

東京よりも暑く、初夏を感じるのではなく、猛暑を感じてしまいました。

 

 

しかし、遠くに磐梯山が見えて、心は安らぎました。

 

 

仕事が立て込んでいたので、おいしい地元のお酒はお預けでした(笑)。


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