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行き過ぎた業務指導と懲戒処分


2016年9月 7日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 


 

◆「月刊 労務対策」

 

旬な労務の情報(DVD、CD、冊子)を毎月お届けします。

 

◆平成28年9月号(Vol.22)の内容

 

○ 在職中に持ち出した情報に対する損害賠償について

 

○ 同僚とのトラブルの対処法は?

 

○ プロジェクト終了で社員を降格させることは可能か?

 

○ 業務中のSNSへの書き込みは懲戒処分になりますか?

 

○ 同一労働、同一賃金について


 

 

 

今日は「行き過ぎた業務指導と懲戒処分」を解説します。

 

 

上司は部下の仕事ぶりを注意し、時には叱るなどして業務指導を行って

 

部下の成長を手助けしています。

 

 

この上司と部下との関係で、「業務指導なのか?」「パワハラなのか?」、

 

が問題となって、トラブルに発展するケースがあるのです。

 

 

なぜなら、指導とパワハラの境界線があやふやで、とらえ方によっては

 

指導かも知れませんし、パワハラとなるかもしれません。

 

 

このことばかり気にして「上司が部下のご機嫌を取ってばかり」では、

 

本来の指導もできなくなってしまいますが、行き過ぎた指導はパワハラと

 

なる可能性が高いのです。

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<M社※事件 東京地裁 平成27年8月7日>

 

※ 不動産仲介、管理、賃貸を営む会社

 

 

〇 営業部長Aは大阪支店から異動してきた部下Bの成績が悪いので、

 

  厳しく指導を実施した。

 

 

〇 部下Bに対し、部会、個人面談で、「自発的に退職に追い込む発言」を

 

  繰り返していた。

 

 

〇 部会でBに対し、以下の発言があった。

 

→ 仕事があっていない。お前は浦和(現営業所)では無理だ。

 

→ お前は周りの人間に迷惑を掛けている。申し訳ないと思わないのか。

 

→ 今までどうせ適当にやって生きてきたんだろう。

 

→ 手数料を稼いでないんだからやる気がないんだ。何年やってんだ。

 

  仕事があっていない。

 

→ お前の年収は幾らだ。

 

→ 諸経費を考えて2,000万円稼がないと合わない。

 

→ 2,400万円稼いでやっと黒字社員だ。それならいても良いよ。

 

→ 2,000万円稼げないと会社には必要ないんだ。

 

→ 従来の研修でどうしようもないと判断したのが2人、その内の1人が

 

  お前だ。

 

→ 12月までに2,000万円手数料を稼がないと、会社を辞めると

 

  一筆かけ。

 

 

〇 その後、部下Bは個人面談に呼び出されて以下の発言があった。

 

→ 稼がないと辞めろ。

 

→ 責任を取れ。

 

→ お前の子供は幾つだ。お前の成績表を子供にみせたらもうわかるだろう。

 

  お前がいかにダメな親父かわかるだろう。

 

 

〇 その他の社員に対しても複数のパワハラと思われる言動があった。

 

 

〇 会社は営業部長Aの発言等をパワハラと認定し、降格処分を実施した。

 

→ 営業部長から担当部長に1段階等級を下げた。

 

 

〇 これに対し、Aは「パワハラは存在しなし、就業規則にパワハラ防止の

 

  記載がない」「降格は不当」と裁判を起こした。

 

 

そして、裁判所は以下の判断を下したのです。

 

 

〇 部下に対する職務にからむ単なる「いじめ」、「嫌がらせ」ではなく、

 

  度を超したハラスメントともいえる退職を意図したもので、退職を

 

  強要しこれを迫ったものである。

 

 

〇 同社の就業規則にはパワハラ防止についての記載はないが、

 

  社内に配布された「コンプライアンスの手引き」で、パワハラに対する

 

  記載があった。

 

→ パワハラとは権力、地位を利用したいやがらせで、個人の人格、

 

  尊厳を傷つけ、さらに、職場環境を悪化させ、部下に雇用不安を与える

 

  可能性があるコンプライアンス違反行為である。

 

→ コンプライアンスの手引きが配布されており、パワハラが就業規則の

 

  懲戒処分に該当する行為と記載され、周知されていた。

 

 

〇 パワハラが存在し、降格は違法ではない(会社側が勝った)。

 

 

この裁判を詳しくみてみましょう。

 

 

Aは就業規則にパワハラ防止が記載されていないので、仮にパワハラが存在

 

しても懲戒事由に該当しない、また、会社の調査がずさんであると主張し、

 

懲戒処分である降格は不当行為と主張しました。

 

 

しかし、会社はパワハラについての指導啓発を継続して行っており、

 

ハラスメントのない職場作りが経営上の指針であることも明確にしていた

 

のである。

 

 

よって、Aは幹部としての地位、職責を忘れ、かえって、相反する言動を

 

取り続けたものであるから、降格処分を受けることは当然のことであると

 

裁判所も認めたのです。

 

 

 

調査についは、Aに対して賞罰委員会による審議で弁明の機会を与え、

 

また、社員に対して丁寧な調査が実施された結果、事実と認定しているので

 

これに対しても問題は認められないとしたのです。

 

 

パワハラ認定のポイントはこの会社のコンプライアンス手引きでの

 

〇 個人の人格、尊厳を傷つける

 

〇 職場環境を悪化させる、

 

〇 部下に雇用不安を与える 

 

が基準となっています。

 

 

上司は、指導等の中で上記の基準を意識することが重要ですし、

 

ここが指導とパワハラの境界線と考えるべきでしょう。

 

 

さらに、この裁判のポイントは、就業規則にパワハラの記載がないのに

 

懲戒処分を科しているという点です。

 

 

本来、懲戒処分を行う場合は「どんなことをしたら、こういう処分になる」

 

と就業規則に定めていることが必須なのです。

 

 

しかし、この裁判ではその条件が欠落していたのですが、コンプライアンス

 

の手引きを会社全体に周知させ、会社としてのハラスメント撲滅について、

 

裁判所が効果を認めて懲戒処分を有効としたのです。

 

 

もし、コンプライアンスの手引きが周知されていなければ、会社の姿勢が

 

「ハラスメントのない職場作り」が経営上の指針でなければ、この結果には

 

ならなかったでしょう。

 

 

ある意味、特殊な状況だったのですが、ハラスメントに対する取り組みが

 

評価されたのです。

 

 

このように、会社として、社員に対し会社の経営方針をきちんと示すことで、

 

社員に業務に専念できる環境を整えることが重要なのです。

 

 

それから、皆さんの会社ではきちんとパワハラ防止に対する文言を

 

記載し、パワハラが発生したら懲戒処分の対象となることを明記すること

 

が大切です。

 

 

上記の裁判はコンプライアンスの手引きの運用が周知、実行されていた

 

ので、評価されましたが、それよりも就業規則に記載するほうが、

 

余計なトラブルが発生しないからです。

 

 

 

 

社員が数字を追って仕事をすることは、当たり前かもしれませんが、

 

大変なプレッシャーです。

 

 

部下の立場にしてみれば、真面目に頑張っていても営業成績が残せないこと

 

はありますが、それを「やむを得ない」とか、「それでも良し」とは通常は

 

考えていないはずです。

 

 

成績を挙げられないことに悩み、苦しんでいるはずでしょう。

 

 

にもかかわらず、数字が挙げられないことをただ非難するのは意味のない

 

ことどころか、いたずらに部下の心に精神的苦痛を与えている行為です。

 

 

部下の悩みを汲み取って適切な気付きを与え、業務改善につなげるのが

 

上司としての本来の役目ではないでしょうか。

 

 

このような労務関連の情報を「メルマガよりも深く」解説し、

 

毎月、皆さんのお手元にDVDとしてお届けするのが、

 

「月刊 労務対策」(講師:内海正人)です。

 

 

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これらの事実が発覚した場合は法的措置を取らせて頂きますので、

 

ご注意ください。

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●本記事は専門的な内容を分かりやすくするため、

 

敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

パートタイマーへの社会保険の適用拡大がいよいよ今年の10月から

 

開始されます。

 

 

まずは501人以上の企業が対象になりますので、適用は限定的です。

 

 

しかし、いずれは要件が変更され、多くのパートタイマーが適用となること

 

が想定されるので、対象外の会社であっても情報は押さえておきましょう。

 

 

具体的な内容は

 

〇 1週間の所定労働時間が20時間以上

 

〇 月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)

 

〇 1年以上継続して雇用される見込みがある

 

〇 被保険者の数が501人以上の企業

 

〇 学生でない

 

となっております。


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