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通勤手当が水増しされていたら・・・


2016年9月13日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 


 

◆「月刊 労務対策」

 

旬な労務の情報(DVD、CD、冊子)を毎月お届けします。

 

◆平成28年9月号(Vol.22)の内容

 

○ 在職中に持ち出した情報に対する損害賠償について

 

○ 同僚とのトラブルの対処法は?

 

○ プロジェクト終了で社員を降格させることは可能か?

 

○ 業務中のSNSへの書き込みは懲戒処分になりますか?

 

 

○ 同一労働、同一賃金について


 

 

 

今日は「通勤手当が水増しされていたら・・・」を解説します。

 

 

通勤手当の不正は会社の規模に関わらず、よくご相談をお受けします。

 

 

そして、内容を細かく聞いてみると次の3つに集約されます。

 

 

〇 転居したが、転居届を会社に提出するのをうっかり忘れていた。

 

 

〇 通勤経路が変わったが、支給額が減るので会社に届け出を

 

  故意に提出しなかった。

 

 

〇 転居等の事実が無いのに、通勤手当が増額となる届出を会社に提出し、

 

  本来もらう額より多額の通勤手当を受給していた。

 

 

いずれにせよ、上記の事実が明確となった場合は以下のことを

 

実施して下さい。

 

 

〇 状況を確認する

 

→ なぜ提出しなかったのか?

 

→ 悪意があったのか?なかったのか?

 

 

〇 過大支給となった部分の返金をさせる

 

→ 額によっては分割も検討

 

 

〇 懲戒処分を検討する

 

→ 就業規則の該当条項の確認

 

 

 

もちろん、通勤手当の不正申請は懲戒処分の対象となるのですが、

 

そのためには、就業規則に「給与の不正申請は懲戒処分」という旨の

 

記載が必要となります。

 

 

以下が参考条文となります。

 

 

---------------------------------------------------------------------

(制裁の事由)

 

第〇条 従業員が次の各号のいずれかに該当するときは、情状に応じ、

 

訓戒、譴責、減給、出勤停止又は降格降職とする。

 

(中略)

 

〇 虚偽の申告、届出を行ったとき

 

 

2、従業員が次の各号のいずれかに該当するときは、諭旨解雇又は

 

懲戒解雇に処する。

 

ただし、情状により減給又は出勤停止とする場合がある。

 

(中略)

 

〇 重大な虚偽の申告又は届出を行ったとき

---------------------------------------------------------------------

 

 

「通勤手当の不正申請」は上記の条文の虚偽の申告、届出に該当するので、

 

この条文が無いと懲戒処分の対象とはなりません。

 

 

この条文では、

 

〇 前半:虚偽の申告、届出 → 軽い処分(訓戒など)

 

〇 後半:重大な虚偽又は届出 → 重い処分(懲戒解雇など)

 

となっています。

 

 

だから、悪質な場合は懲戒解雇となるのです。

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<かどや製油事件 東京地裁 平成11年11月30日>

 

 

〇 社員は品川に居住しながら、宇都宮市に住民票を移し、4年半の間に

 

  合計231万円の通勤手当を不正受給した。

 

 

〇 就業時の勤務態度も問題が多く、よく離席していた(相当な頻度)。

 

 

〇 会社は社員を懲戒解雇とし、社員はこれを不服として裁判所に訴えた

 

 

そして、裁判所の判断は以下となりました。

 

 

〇 通勤手当の不正受給は就業規則に記載される懲戒解雇に該当する。

 

→ 約4年半の間の過大な通勤手当の不当利得は情状酌量の余地なし

 

 

〇 勤務態度の問題は、上司に無断で離席し、業務遂行をほとんど放棄、

 

   不誠実な勤務態度であった。

 

→ 出勤しても大半は上司に無届けで離席し、連絡が取れない状況になり、

 

  業務を放棄していた不誠実な勤務態度は懲戒解雇事由に該当

 

 

〇 懲戒権の行使は妥当として、会社が勝訴した。

 

 

この裁判は、虚偽の届出をして「積極的」に詐欺を行ったことが

 

懲戒解雇の事由のポイントとして取り上げられていますし、勤務態度の

 

問題も後押しとなっています。 

 

 

さらに、その不正受給額が大きいことも裁判で指摘されたのです。

 

 

しかし、動機が悪質ではなく、額も小額ということで懲戒解雇が無効と

 

なった裁判もあるのです。

 

 

<光輪モータース事件 東京地裁 平成18年2月7日>

 

 

〇 社員は通勤経路を安い経路に変更し、それを会社に届け出ず、

 

  4年8ヶ月間で合計34万円を不正受給した

 

 

〇 会社はこの事実を突き止め、社員を懲戒解雇とした

 

→ 他の社員に示しがつかない

 

 

〇 社員はこれに納得いかず、裁判を起こした

 

 

そして、裁判所は以下の判断を行ったのです。

 

 

〇 故意、または、重大な過失により会社に損害を与えたという

 

  就業規則上の懲戒事由に該当する

 

→ 懲戒事由には該当するが、懲戒解雇は重すぎる

 

 

〇 通勤時間が長くなっても、自分の労力をかけて交通費を節約した

 

→ 詐欺的な要素はない

 

 

〇 不正受給額が小さい

 

→ 経路等の違いなので、悪質ではない

 

 

〇 会社に賃金をカットされたことによる穴埋めが目的だった

 

 

〇  情状酌量の余地もあり、解雇処分は重過ぎると判断(会社が敗訴)

 

 

さらに、類似の裁判「アール企画事件(東京地裁 平成15年3月28日)」

 

があります。

 

 

この裁判は、通勤手当の不正受給を3年間行っていて過重支払の合計額が

 

約103万円となっていたので懲戒解雇を実施したのです。

 

 

そして、社員は解雇予告手当の請求を行ったのですが、裁判所は「社員の

 

行為は悪質であり、刑法に該当する犯罪行為である」として、懲戒解雇は

 

有効で、解雇予告手当の支払いは不要としたのです。  

 

 

この3つの裁判から分かることは

 

〇 不正受給した金額の大小

 

〇 悪質性の程度

 

により、懲戒解雇が有効となるかどうかが分かれるということです。

 

 

 

 

多くの会社で見受けられるのは、悪質性はそんなに高くなく、

 

光輪モータース事件のように、「少し浮かす」だけと考えられます。

 

 

しかし、「少し」だからと言って放置しては、他の社員に示しが

 

つきません。

 

 

状況確認の上、しかるべき措置(悪質性が小さければ、返金してもらい、

 

始末書の提出をさせる)を実施することが重要なのです。

 

 

但し、冒頭でも触れましたが、就業規則に「虚偽の申請」等についての

 

罰則が記載されていなければ、懲戒処分は実施できません。

 

 

この点がきちんと押さえてあるか、就業規則の確認を行いましょう。

 

 

そして、状況の把握へと進むことが大切なのです。

 

 

 

 

なお、通勤経路が2つあり、所要時間が大して変わらない場合は

 

「通勤定期代の安い方の経路を会社が指定する」ということも可能です。

 

 

さらに、マイカー通勤を認める場合には、交通事故防止のためにも

 

マイカー通勤規定の作成をお勧めします。

 

 

自転車通勤を認める場合には「直線距離が3キロ以上である場合のみ認める」

 

などの規定を設けるとよいでしょう。

 

 

そして、社内での運用基準を設けておくことが大切なのです。

 

 

 

 

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無断使用、無断転載を禁じます。

 

これらの事実が発覚した場合は法的措置を取らせて頂きますので、

 

ご注意ください。

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●本記事は専門的な内容を分かりやすくするため、

 

敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

9月7日の読売新聞で以下の記事がありました。

 

 

「政府は、労働者に事実上無制限の時間外労働(残業)を課すことが可能と

 

される労働基準法の「36協定」の運用を見直し、1か月の残業時間に

 

上限を設定する検討に入った。」

 

 

いよいよ政府も残業規制に本腰を入れてきました。

 

 

残業の上限を設定し、罰則も検討するとのことで、これでサービス残業

 

ブラック企業の存在を排除しようとしています。

 

 

安倍首相も「これからはモーレツ社員禁止」と言う発言もあったので、

 

本当に働き方にメスが入る時代がくるでしょう。


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