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取締役にも残業代を支払わなければならないのですか?


2016年9月20日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 


 

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○ プロジェクト終了で社員を降格させることは可能か?

 

○ 業務中のSNSへの書き込みは懲戒処分になりますか?

 

 

○ 同一労働、同一賃金について


 

 

 

今日は「取締役にも残業代を支払わなければならないのですか?」

 

を解説します。

 

 

「名ばかり管理職」という言葉は、労務管理においてすっかり定着した感が

 

あります。

 

 

この言葉が知られるようになったのは「日本マクドナルド事件(東京地裁

 

平成20年1月28日)」の影響が大きかったのです。

 

 

この事件は「直営店の店長を管理職とみなして、残業代を払っていないのは

 

違法だ」として、埼玉県内の男性店長が未払い残業代など約1,350万円の

 

支払いを求めて裁判を起こしたのです。

 

 

そして、東京地裁は「店長の職務内容から管理職とはいえない」として

 

会社に約755万円の支払いを命じる判決を下し、新聞、テレビなどで

 

大きく報道されました。

 

 

その当時、「わが社の課長やマネージャーは法的に管理職に該当しますか?」

 

と多くの会社から、お問い合わせを頂いた記憶があります。

 

 

管理職として処遇すれば、残業代、休日出勤手当の支払いが免除される

 

と法律で決まっているので、これを「悪用」した結果が「名ばかり管理職」

 

登場となったのでしょう。

 

 

 

 

あれから8年程度経過したのですが、「管理職に該当するか?」という

 

ご質問は根強く、最近では「社員を取締役にさせたので問題ない」と

 

お話しされた社長もいらっしゃいました。

 

 

確かに会社と取締役の契約関係は「委任契約」であるとされているので、

 

労働基準法の適用はありません。

 

 

しかし、役員だから、取締役だから「残業代などを支払わなくても大丈夫」

 

ということではないのです。

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<類設計室事件 京都地裁 平成27年7月31日>

 

 

〇 Aは学習塾を経営する会社に入社し、試用期間6カ月経過後に

 

  取締役への就任を承諾する書面を提出し、取締役となった。

 

→ 肩書は「教育コンサルタント」であった。

 

→ Aの業務内容は主に営業(入塾勧誘)であった。)

 

 

〇 Aはその後、会社を退職するが、残業を強いられたにもかかわらず、

 

  残業代の支払いを受けていなかったとして未払の残業代等を請求する

 

  裁判を起こした。

 

→ 未払残業代約548万円、遅延損害金、そして付加金※を請求した。

 

※ 会社が法律に違反して、残業代等を支払わなかった場合、

 

  裁判所は労働者の請求に基づいて未払金の他に「これと同一額の付加金」

 

  の支払いを命じることができる。

 

→ 会社は取締役であったことを理由に支払わなかった。

 

 

そして、裁判所は以下の判断をしたのです。

 

 

〇 会社はAに未払残業代とこれに遅延損害金、さらに付加金を支払うよう

 

  に命じた。

 

→ 会社側敗訴となった。

 

 

この裁判で争点となったのは「Aが法的に労働者と言えるのか?」という

 

点でした。

 

 

6ヵ月の試用期間経過後に取締役への就任を承諾する書面を提出し、取締役

 

となったのです。

 

 

この書面には会社経営に参加する旨が記載されていました。

 

 

そして、これ以外にも

 

〇 就業開始日

 

〇 就業場所

 

〇 業務内容

 

〇 就業時間、休憩時間

 

〇 給与

 

〇 欠勤等の査定

 

〇 通勤手当

 

〇 退職

 

〇 競業避止義務など

 

以上の項目に従うこととなっていたのです。

 

 

会社の主張では「Aは取締役であり、労働者ではない」でしたが、

 

裁判所は業務の実態、Aの処遇等を調査し、「Aは労働者である」と

 

判断したのです。

 

 

実際に取締役に就任を承諾する書面に「労働契約に記載しなければいけない

 

項目」が網羅されているのは、明らかに労務管理を意識してのものでしょう。

 

 

 

さらに会社とAとの関係をみていくと

 

〇 取締役の登記がされていないこと

 

→ 社内的には取締役と会社が主張するも、社内の役職名として

 

  「取締役」と呼んでいるだけ

 

 

〇 全正社員が参加する会議は取締役会と同視できないこと

 

 

〇 出退勤が厳格に管理されていたこと

 

→ 会社は自由出勤であると主張したが、厳格な勤怠管理体制を

 

  実施していた

 

 

〇 Aの給料23万円は会社の取締役としては安いこと

 

となっていたのです。

 

 

よって、裁判所は「本件は残業支払いを意図的に逃れようとした」とし、

 

未払残業代、遅延利息等とともに付加金の請求も認めたのです。

 

 

 

この裁判から言えることは、労働基準法は契約の形式で判断されるもの

 

ではなく、会社における業務内容、業務遂行の状況、給料の額等で

 

総合的に判断されるのです。

 

 

仮に、取締役として登記されていても、報酬が従業員と同様であり、

 

会社の業務命令によって業務をこなしていれば「労働者」として判断

 

されるでしょう。

 

 

法律で決まった形式を整えることはとても重要で大切なことですが、

 

それだけでは管理職としてみなされず「残業代の支払い」は逃れられない

 

のです。

 

 

 

 

取締役、管理職、労働者の問題がいつの時代も解決されないのは、

 

組織の大きさや業務のやり方が大企業、中小企業、零細企業で大きく

 

異なるからです。

 

 

数人の組織と数千人の組織とでは考え方が異なりますし、運用も大きく

 

異なります。

 

 

しかし、法律では一律に線を引かなくてはいけない場合があるからです。

 

 

「取締役はなぜ取締役なのか?」、「管理職はなぜ管理職なのか?」等の

 

本質を考えて、それに伴う処遇で対応しないとこの問題は解決しません。

 

 

ある意味、法律だけに頼れない問題ともいえるでしょう。

 

 

 

 

最後に復習となりますが、管理職に該当するポイントを挙げました。

 

 

〇 経営者と一体的な立場にあるか?

 

→ 経営会議等に出席し、意見を言える立場にあるか

 

→ 人事権を含めた権限があるか等

 

 

〇 労働時間に自由裁量があったか?

 

→ 始業、終業の時刻を自分で決められるか

 

→ 欠勤控除等の対象外であるか等

 

 

〇 処遇について

 

→ 管理職にふさわしい報酬を得ていおるのか?

 

→ 時給換算した場合、最低賃金をクリアしている等

 

 

以上の条件をクリアして管理職と認められるのです。

 

 

もし、皆さんの会社で「管理職として処遇しているけど、法的には

 

問題ないのか?」と疑問を持たれたら、弁護士や社労士などの専門家に

 

ご相談下さい。

 

 

 

 

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ご注意ください。

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敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

9月3日に東京で社労士向けのセミナーに登壇しました。

 

 

内容は「意外に知らないあるあるネタ」で残業代の計算方法や

 

就業規則に書いてはいけないことをお伝えしました(笑)

 

 

そうしたら、本当に皆さんの反応が良くて、調子に乗って時間を

 

オーバーして話してしまいました・・・。

 

 

でも、話をして、とても楽しかったです!!


通勤手当が水増しされていたら・・・  |  内規は就業規則の一部なのでしょうか?

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